白浅が 狐男に戯れられた時、
夜華にグッと抱き寄せられるシーン。
・・・その力加減はよく知っているものだった。
私は顔を上げて 微笑みながらそのよく知った人と
挨拶をした。「はは・・夜華、
ちょうどいいところに来たね」
・・・ここで白浅が思った事・・・妻と言われて
(確かに私は名義上 彼の将来の正妻帝后なので
正当な夫妻と言えなくはないと思った。今
このように戯れを受けてしまっては、
彼の沽券にかかわる事で、とうてい見過すことは
できないだろう。私を抱きしめる事によって
私に不敬を働いた馬鹿者に手厳しくしかりつける事も
至って理にかなう行為である。そうして 私は
調子を合わせて脇で見ていれば良かった。それが
私の役どころの本来あるべき姿なのだ。)
これって、白浅がすごく喜んでいるんだな
と思われるところ🤗
素素の記憶が無いから、白浅の恋は
七万年前の離鏡との恋しか思い出に無い。
戯れから守られ、抱き寄せられて
きっと 自分が男装していることも忘れ、
憧れの役どころ?(戯れられた女性が助けられるパターン
妻なら夫、娘なら正義の味方が来る、服は決まって白
これはまだ、崑崙虚にいた頃、人間界で
占いをしていた頃の思い出である、夜華は黒だが)
に、内心うふふ🤗自分がヒロインになった気分?
この後 川に、河灯を流すのだけど、私は、
もしかして
夜華は人間界に素素と暮らした時
いつまでも一緒にいられるようにと
願いを乗せて 流した思い出があるのでは?
と思った。いかにも思わせぶり・・・
・・そして 白浅は この一日をとても
満ち足りた気分で過ごしたのだった。
団子が帰りたくないと駄々をこね、夜も更けた。
宿に泊まることにする。
宿で夜華が頼んでくれた料理が美味しくない。
あまり食にこだわらない白浅だけど、
夜華が作る食事に舌が慣れたのか、
こだわりができた、と思うのだった。
ちょっとした事を仕掛けつつ、夜華は
実はそのたびに 白浅が 素素としての記憶を
いくらかでも持っているのでは?
と期待していたのではないか・・・
しかし、全く覚えていないと、
ここら辺で気づくらしい。
その夜、夢うつつに白浅は誰かに抱かれ、
ため息まじりの囁きをきいた。
「貴女の性格を知っているつもりだったが、
あれほどまでに断固とした所為をするとは思わなかった。
前世の事を忘れているなら それでもいい。
思い出して欲しい気持ちもあるが、永遠に思い出して
欲しくないと願ってもいる・・・」
・・・白浅は寝ぼけたとしか思わず、寝返りをうつと
団子を抱き寄せてまたぐっすりと寝入った。
夜華が どんなに素素を愛していたか、痛いほど
わかるシーンです・・・あの、人を疑うことを
知らず、純粋な素素。あんなにも深く愛していたのに
守ることが出来なかった・・・
あの素素はもういないと夜華はわかっている。
今、ここにいる白浅は、素素であって、素素ではない
誇り高く 教養もあり、女帝で 上神。
その美貌は四海八荒一 そして天帝の決めた許婚。
でも、もし 過去を思い出したら・・・
自分を許してもらえるのだろうか・・・
また去られてしまうかもしれない・・・
つらい夜華です。そんな切ない33話