転調
時代に伴い、曲はどんどん変化して行くよね。
スピードもそうだし、コード進行もそう、やはり速い曲や、
複雑になっていく傾向にあると思うね。
アニソンなんか目まぐるしく変わり過ぎて、良く覚えるなあって
思うよ(苦笑
転調もそうだよね。いくつも転調したり、また、無関係のところへ
なんの予告なく突然転調したり戻って来たりも日常茶飯事。
自分が幼少の頃になんとなく「ああ、これはコード進行が凄いな」って
意識した曲がいくつかある。
いや、多分、覚えているのがこれだけってことなんだけど。
「ヘイ・ジュード」ビートルズ
ずっと、Fメジャーが支配するまま曲は続いて行って、素晴らしいメロディと
素晴らしい盛り上りで曲は終演を迎えて、「ああ、凄くいい曲だなあ」と
思っていたら、大合唱が来て、まだ盛り上げるのかあって思っていたら、
まさかのE♭!いやあ、びっくりしたなあ。かっこよく聞こえたねえ。
いつだったろう?中学生かな。
ま、イエスタディだって、Fメジャー進行の、3つ目のコードにさりげなくA7と言う
予定外のコードが来てかっこいいし、こういう曲は無数にあるんだけど、
時代を考えると少し斬新に聞こえるのかな。普通はAmだもんね。
ヘイ・ジュードはずっと頭の中がFコードに支配されていて、最後にE♭が
出て来るコーラスメロディが凄く新鮮に聞こえたなあ。
「翼をください」赤い鳥
転調なんてあったっけ?って思うでしょ。
この曲を始めて知ったのは中学生の合唱コンクールのとき。
2年生だったかな。で、多分練習の時は女子(笑)がメロディを教えて
くれて、それを男子がイヤイヤ歌うと言うお約束の図式で、それでも
「ああ、いい曲かも」って思っていたかも知れない。
でも、何かの時に伴奏が入る機会があって、そのときにバックのコード
進行が初めてわかったんだけどさ。
「♪この大空に翼を広げ飛んでいきたいよー」の「よー」のところ。
多分みんなは初めからバックありきで聞いているからピンと来ないと
思うけど、バックがないと頭の中で勝手にコードを付けていたみたいで、
ここが想像と違っていたんだろうね、きっと。そのコード(バックの演奏)を
聞いたとき、「ああ、オシャレ~」って思ったんだね、きっと。
ここは仮にキーがGとすると、「飛んでいきたいよ」はC、G、となって、
問題の「よー」は脳内変換では多分、D7だったんじゃないかな。
ね、まったく普通でしょ?普通にその次の「悲しみの無い」の頭の
Gにきちんと行くためのD7だよね。
ところがだ、ここは「F」なんだよ。1小節だけFコードを挟んで、D7に
行って、次の小節頭のGコードにつなげる、と。
ちなみに「よ」の音はラ(A)、ラの音はFコードの中だと3度メジャーの
音になるので綺麗にFメジャーコードが成立するんだね。
この一瞬転調が凄くオシャレだと当時思ったなあ。
「今はもうだれも」アリス
ご想像の通り、出だしの「今はもうだれも~」の「も~」だよね(笑)。
Cメジャーキーの曲で、もう2番目のコードにいきなりE7が出てくる。
メロディは「ミ(E)」の音なので、定説通りいけば当然「Em」だよね。
オシャレにするとしても「Em7」か。
ところがまさかのE7。かっこいいよねえ、ここ。
ちなみにもっと有名なこのコード進行を使った曲でに「オアシス」の
「スタンド・バイ・ミー」があると思うんだけど、どうだろ?
あちらはGコードでBmコードの代わりにB7が出てくるわけだけど、同じ
2番目のコードなんだよ。ただ、B7に対してメロディは「シ(B)」ではなく、
ご丁寧にきちんと「ミ♭(E♭)」なので、ここはBmにするわけにいかないから
B7にして3度メジャーの音に落ち着かせるのが正解なんだろうけど。
アリスの場合も多分中学一年生くらいで、ギターを始めたばかりで、
「Cメジャーのキーで、E7を使うのはかっこいいな」って思ったなあ。
その他にもたくさん感銘を受けたし、少しひねったコードの曲は無数にある
んだけど、この辺がなんとなく意識して憶えていたってこと。
ところで、小室哲哉が作った渡辺美里の「マイ・レボリューション」の
サビ前の転調は認めない(笑)。
個人的意見だけど、「ごく自然にそこへ行っているのではなく、作為的に無理矢理理由を
付けてそこへ行くために小細工しました」感が半端ないのと、それがうまく出来てないから(笑)。
ファンの方、本当ごめんなさい。個人的意見です。
まあ、転調なんて作為的って言えばその通りなんだけど、なんかアレは凄くびっくりしたよ。
当時ビデオレンタル屋さんで働いていて、有線でこの曲がかかると、サビ前の違和感が
凄くて「変な転調だなあ、いや斬新なのか?」って思ってたなあ。
あれ以来、全然関係ないところへ飛んで行っちゃう転調も邦楽で増えたよね。
かっこいいときもあるけど、やっぱりさりげなく、凄くうまく転調して、尚且つ、またうまく
帰って来たりすると感激するよね。
あ、そうだ、感銘を受けた曲をもう一曲思い出した!
「ヒア・ゼア・アンド・エヴリホエア」ビートルズ
ビートルズと言うより、作曲はポール一人だろう。
キーはGメジャー。イントロもちょっと転調コードが出てくるけど、そこは置いといて。
Gメジャーコードからどんどんベース的に上がっていくコード進行なんだけど、普通に
Gメジャーキーの中で進んでゆく。(B7と言う例外もあるけど)で、問題はサビ。
サビはB♭に転調する。で、B♭に行く布石としてFコードを一回挟む。
ここがオシャレ。で、B♭メジャーキーなんで、今度はGはマイナーコードになるんだね。
同じ曲の中でGメジャーとGマイナーが混在する不思議。で、行きっぱなしでは
元に戻れず2番に進めないので、当然元のGメジャーキーに戻って来なければ
ならないんだけど、きちんとGメジャーに戻ってくるためにB♭キーのサビの中でも
通常使わないD7コードをさりげなく入れてメロディを作り、D7コードの違和感を
なくしておく。そしてサビの小節の最後にもう一度D7コードを出して、めでたく
Gメジャー、それもAメロの頭のメロディ(コードはGメジャー)に戻ってくると言う天才ぶり。
一つの無駄もない、完全なるピースがはまった曲って感じ。
こうやって説明しちゃうと作為的に感じるけど、なんというか、全て先にメロディありきで、
流れるように綺麗なメロディが来て、そのあとでよくよく調べてみたら、こんなにトラップが
仕掛けてあったのね、みたいな。綺麗にだまされました、みたいなね(笑)
ちなみにB♭に対してのD7の登場はさっきのアリス、オアシスと同じ使い方だね。
まだまだ無数にあるけど、当時「あ、凄い」って思って印象深かった曲でした!