先日、本番が終わった後、上手側のギターの方が、ベースの音が聞こえなくて
どうしたらいいのか、と聞かれたんですが、もちろん普通に「ベースの音が欲しい」と
言えばいい。いいんだけど、慣れていないとそういった事をどう伝えたらいいのか
わからないとも言っていたのね。それほどしょっちゅうライブハウスに出ている方では
ないようで、なんて言っていいのかわからないそうです。
ま、そういった困りごとがないようにリハをやるわけだけど、何も「ベースの音の
120ヘルツを10デジベルほど上げてください」などと言う必要はないので、普通に
「ベースの音が聞きたいんですけど」って自分の要求を言えばいいだけ。
そのために「問題はないですか?」って聞いているわけだからさ。
練習スタジオと違って、各アンプが前を向いていて、跳ね返りもあまりない環境だと
左右にいるギターとベースはドラムに阻まれてお互いに(いつもより)聞こえづらいと
いうことは十分ありえる。ただ、それが本当にやりづらいのか、慣れていないだけ
なのかの判断はしっかり把握する必要がある。
アンプ自体の音を上げたほうがいいのかモニターから返したほうがいいのかは
その時々だけど、PAさんと相談して色々やりやすいように調整すればいい。
その際は、あまり難しく考えないで自分の要求を言えばいいんだけど、もう少し
賢いというか、良いやり方は、マイナスに出来るものはないかと言うこと。
例えばコーラスをやっていて自分の声をもっと聞きたい場合、「自分の声をもっと上げて」と
言いたいところだけど、モニターの音が結構大きい場合「もしかしてリードVoが大きすぎて
自分の声が聞きづらいのかも知れない」と考えてみる。その可能性が高い場合は、
「自分の声がもっと欲しいんだけど、リードVoを下げたほうが効果的ですか?」みたいな
感じに聞いてみるとPAさんも把握しやすいと思う。リードVoも大きく、コーラスももっと
大きいと飽和状態になってきて耳が許容範囲を超えてしまう。邪魔しあう感じになって
あまり良くないので、まずは小さい値から始めてみるのもいいと思うよ。
もっと突っ込んで、「ここのモニターは何が返っていますか?」と聞いてしまうのもいい。
必要ないもの、生音で間に合うようなもので、いたずらに聞こえすぎていて邪魔だなと
思ったものは「返さないでください」とバッサリ切ってしまうのもいいと思う。
ちなみに自分がB&Voの場合は、自分のモニターからは「自分の声以外、何もいらない」と
初めに言ってしまう。ドラムは生音が聞こえるしギターもアンプから直接聞こえる。
コーラスもいらない。自分が歌うだけで精一杯なので、人の歌なんか邪魔なだけだ。
もちろん他のモニターから聞こえてくるから、それで十分。バッサリ切ってもらう。
家で素晴らしい環境でCDを聞いているわけではないから、ステージでは演奏に必要なもの
だけを死守することが大事で、それが出来てそのあと初めてもっとあったらいいなと思うものを
増やしていくのがいいと思う。
メタリカのドラマーがギターのみをモニターから返しているという話がある。
今はどうか知らないけど、これはメタリカのようなほぼギターリフで構成されている楽曲の
場合、ギターを中心にガッチリ合わせていくのが得策で、そうするとベースよりもギター
なんだろうと思う。もちろんベース音はアンプからの音が自然に聞こえてくるだろうし、Voも
返しているだろうけど、主にギターを返していると言うのは、優先事項がハッキリしている
からだろうと思われる。
このように自分で何が必要かを考えてモニター環境を作っていくのがベターに思う。
Voを主に聞いて演奏を組み立てていくならリードVoを中心に返せばいいし、ギターを
頼りにするならギターをたくさん返してもらえばいい(必要ならね)。
自分もうろ覚えで演奏しなければいけない場合で頼りになるギターが聞こえづらい場合、
「ギターを返してください」と言うときもある。ちょっと自信がないときはね。