”外音と中音をごっちゃにしているアーティストはとても多い”って
書いたけど、そうなんだよ、多いんだよねえ。
よくあるのが、PA表に「バラードなのでリバーブをお願いします」って
書いてあるのね。まあ、言われなくてもほぼ全国のライブハウスは、
全曲リバーブがかかっていると思う。ROCK系でもうっすらかけているはず。
余裕のあるところではドラムなんかにはゲートリバーブかけているかも。
あ、それは80年代か(笑)。
ま、それで、バラードになったらご要望通り大げさにかけるわけだけど、
これが、外音のみにかけるのが好みなのか、中音もたっぷり聞きたいのか、
その人の好みが別れるんだよねえ。
中音はあまりリバーブが無い方がハッキリ聞こえるので歌いやすいって人も
多いし、気分を出したいのでリバーブたっぷりが好みって人もいる。
ちなみにハウリングはリバーブは無い方が有利。少しだけ。
で、リバーブをかけてくれって注文も、外音だけなのか、中音にも欲しいのか
本人もイマイチよくわかっていない場合も多いね。
あと、ステージ内にいる状態で、外音を大きくしてくれって言う人もたまに
いるけど(音源使っている人など)、そこにいてはあまり判断できない
と思うけどね。それ中音と外音をごっちゃにしていないか?
そういう人に限って、中音を大きくすると満足する人が多い。
それ、外音変わっていませんけど大丈夫ですか?って話。中音を上げた
からって外音も連動して上がっていませんよ。もしそうなら、モニターの
音量をうかつにいじれないでしょ。
それと、バンドサウンドと音源の音では”音の大きさ”は同じでも、
”耳に突き刺さってくる音の感じ”はどうしても違うよ。
実際にレベルは同じなんだけど、どうしても音源の方がきちんと整理されて
コンプレッションがかかって聞きやすいし、ザラついたギターアンプの生音や
生のシンバルの金属的な音など、耳に直接飛び込んでこないから、やや
おとなしく聞こえるのは仕方ないだろうね。
それを単純に”同じような音にしたい”と言われても、そういった”耳に突き
刺さってくるやかましい音”や”暴力的な音”は再現するのが難しいんだ。
ただ、低域は意外と音源の方が出てる場合も多い。と言うかシンセや打ち込みの
5弦ベースの音域がコンプレッションされてずっと低域を支配している音源も
多くて、そうすると生演奏よりも100hz以下は音源の方が安定して埋まってる
場合も多くて、バンドサウンドとバランスを取るのに苦労することもある。
その辺も鑑みて音源の音作りやバンドサウンドも作らなければいけないんだけど、
もちろん演者側はそんなことは考えるわけはないし、考える必要もない。
ちょっと話がずれたので、元に戻すけど、外音と中音、単純に言えば、
まず、音量は別々にコントロールできる(そりゃ、干渉はしているけど)。
外音はステレオで出力できるけど、中音は基本的にはモノラル。
リバーブは店によって違うだろうけど、T☆ROCKSは別々にコントロール
出来る。リバーブの深さだけだけど。
音質に関する部分、EQについては別々にコントロールできない。中音の
音質を変えてしまえば、外音も同じように変わってしまう。
なので、注意点としては、「中音の音質をあまりいじってしまうと、外音も
変わってしまう」と言う点で、ここに関しては、”中音と外音の一番良いと
思われる音をすり合わせて行く”しかないと言うことだろうね。
とはいえ、今までその部分で問題になったことはないので、これからも
大丈夫だろうけど、よほど大きな会場で、モニター用のミキサー卓が
PA用の卓と別個にあるような場所以外は、音質に関しては影響する場合が
ほとんどなので、注文を付ける際には注意が必要と思っておけばいいと思う。