教えて!TOSHIさん:ブログ版

ライブハウス<T☆ROCKS>のオーナーTOSHIによる、音楽や音楽以外・・のお話!

T☆ROCKS:TOSHI

小田急相模原ライブハウス <T☆ROCKS>のオーナー「TOSHI」です。 音楽の話、音楽以外の話・・などなど色々!HPの 「教えて!TOSHIさん」も更新中! t-rocks@jcom.home.ne.jp

TOSHIさん的PA講座~2~

2016-03-09 | 音楽的アドバイス

”外音と中音をごっちゃにしているアーティストはとても多い”って

書いたけど、そうなんだよ、多いんだよねえ。

 

よくあるのが、PA表に「バラードなのでリバーブをお願いします」って

書いてあるのね。まあ、言われなくてもほぼ全国のライブハウスは、

全曲リバーブがかかっていると思う。ROCK系でもうっすらかけているはず。

余裕のあるところではドラムなんかにはゲートリバーブかけているかも。

あ、それは80年代か(笑)。

 

ま、それで、バラードになったらご要望通り大げさにかけるわけだけど、

これが、外音のみにかけるのが好みなのか、中音もたっぷり聞きたいのか、

その人の好みが別れるんだよねえ。

中音はあまりリバーブが無い方がハッキリ聞こえるので歌いやすいって人も

多いし、気分を出したいのでリバーブたっぷりが好みって人もいる。

ちなみにハウリングはリバーブは無い方が有利。少しだけ。

 

で、リバーブをかけてくれって注文も、外音だけなのか、中音にも欲しいのか

本人もイマイチよくわかっていない場合も多いね。

あと、ステージ内にいる状態で、外音を大きくしてくれって言う人もたまに

いるけど(音源使っている人など)、そこにいてはあまり判断できない

と思うけどね。それ中音と外音をごっちゃにしていないか?

そういう人に限って、中音を大きくすると満足する人が多い。

それ、外音変わっていませんけど大丈夫ですか?って話。中音を上げた

からって外音も連動して上がっていませんよ。もしそうなら、モニターの

音量をうかつにいじれないでしょ。

それと、バンドサウンドと音源の音では”音の大きさ”は同じでも、

”耳に突き刺さってくる音の感じ”はどうしても違うよ。

実際にレベルは同じなんだけど、どうしても音源の方がきちんと整理されて

コンプレッションがかかって聞きやすいし、ザラついたギターアンプの生音や

生のシンバルの金属的な音など、耳に直接飛び込んでこないから、やや

おとなしく聞こえるのは仕方ないだろうね。

それを単純に”同じような音にしたい”と言われても、そういった”耳に突き

刺さってくるやかましい音”や”暴力的な音”は再現するのが難しいんだ。

ただ、低域は意外と音源の方が出てる場合も多い。と言うかシンセや打ち込みの

5弦ベースの音域がコンプレッションされてずっと低域を支配している音源も

多くて、そうすると生演奏よりも100hz以下は音源の方が安定して埋まってる

場合も多くて、バンドサウンドとバランスを取るのに苦労することもある。

その辺も鑑みて音源の音作りやバンドサウンドも作らなければいけないんだけど、

もちろん演者側はそんなことは考えるわけはないし、考える必要もない。

 

ちょっと話がずれたので、元に戻すけど、外音と中音、単純に言えば、

まず、音量は別々にコントロールできる(そりゃ、干渉はしているけど)。

外音はステレオで出力できるけど、中音は基本的にはモノラル。

リバーブは店によって違うだろうけど、T☆ROCKSは別々にコントロール

出来る。リバーブの深さだけだけど。

音質に関する部分、EQについては別々にコントロールできない。中音の

音質を変えてしまえば、外音も同じように変わってしまう。

 

なので、注意点としては、「中音の音質をあまりいじってしまうと、外音も

変わってしまう」と言う点で、ここに関しては、”中音と外音の一番良いと

思われる音をすり合わせて行く”しかないと言うことだろうね。

とはいえ、今までその部分で問題になったことはないので、これからも

大丈夫だろうけど、よほど大きな会場で、モニター用のミキサー卓が

PA用の卓と別個にあるような場所以外は、音質に関しては影響する場合が

ほとんどなので、注文を付ける際には注意が必要と思っておけばいいと思う。

 

 


TOSHIさん的PA講座~1~

2016-03-09 | 音楽的アドバイス

http://pabasic.com/pakouza-musician/

 

フェイスブックでシェアさせていただいたんですが、

こちらでも紹介しますね。(ありがとうございます。)

今まで言っていたことが、すべて書いてある(笑)。

やっぱり共通しているってことですね。

大体はきっと皆さんも、共感し納得できる内容だと思う。

でももしかしたら勘違いしている部分もあるかもしれないので、

今一度目を通しておくといいかもですよ。

 

さて、それとはちょっと別に今回は一番曖昧になりがちな(であると思われる)

「外音」について書いてみたいと思います。

 

「外音」とは、言うまでもなく、ステージ内の音ではなく、お客さんに

向けてのフロア内の音ですね。PAスピーカーから出ている公共の

音ってことです。

 

恐らく通常のアマチュアのライブブッキングや多数出演するイベントなどの

場合、リハが20~30分程度、本番は30~45分程度と思われますが、

そのリハの時にいったいどこまで”外音”に言及することが出来るのか。

ま、時間が極端に短いからって意味も含むけどね。

自分の場合、ライブハウスに出ていた時は、ほぼすべてお任せ状態、

PA表に「全員、歌とコーラスをやるので、バランスよく外に出してください」

ってことと、曲の項目で「ドラムがリードボーカルになります」しか

書かなかった。

なぜか。そりゃあ、1時間くらいゆっくりリハをやりましょうなんて場合なら

まだ外音に注文してもいいかなとも思うけど、やはり中音で精いっぱいだし、

もっと大きな理由は「プロが一番最適と思われる音響を作ってくれるんだから

演者は口を出してもよくないだろう」と思っていたこと。

例えば、今はフロアは人がいないけど、本番ではお客さんが入った状態を

ある程度見越して音を作る、とかバランスの良い音像を作るためにある程度の

EQ処理、リバーブ処理をしているのだろう、とか、信頼するしかない。

まあ、中には「?」と思うこともなかったわけではないけど、ほとんどは

やはりプロに任せるのが一番と思っていたね。

 

ここ、確かに難しいところで、またデリケートな部分と言うか、グレーな

部分と言うか微妙であることは確か。

例えば中音は「ギターの返しをください」って言われれば返すのは当然で

外音に影響しない程度に返すのが一般的だけど、フロアに回って「ギターの

音を上げてください」とか「ボーカルを上げてください」などとPAに言うのは

どうなのか?特にシールドが足りないので、最前列だけで聞いて判断している

場合は危険である。PA側は、色んな場所で音を聞いて一番良いと思われる、

言うなれば”妥協点”で音を作る。言い方は悪いけど、場所によって音が変わる

のはある程度は仕方がないので、それを見越して音を作ったり、またギターが

小さめなのは、ボーカルの声量がそれほどないので、やや引っ込めているの

かもしれない。バスドラの出音に関しても、肝心のドラマーがしっかりバスドラを

踏んでくれないと、ドスっと言うお腹に響く音にはなかなか作れない。アタックが

弱いとボヨンってなっちゃうんだよね。いくらコンプやリミッターでも限界があるからね。

また逆に例えば「ボーカルも楽器と同じように、歌だけ目立つ感じではなく埋もれる

感じにしてください」って言われても、それだと「この店、歌が良く聞こえないね」

などとお客さんに思われるのも良くないので、お店側としては一番良いと思われる

音像にしたいはずなので、敬遠されると思う。

 

まあ、それは極端な例だけど、ある程度の変わった(独自な)音像にしたければ

ワンマンでやるとか、プロになって売れてからやる・・・と言うと反感を買うかも

知れないが、外音に関してはやはりプロに任せておいた方がいいのではないかと

思うね。

それか、自分らがPA表に書いたように例えば「歌メインなので、歌を聞かせる

音作りにしてください」とか「迫力ある感じにしてください」とかそういった

バンドの傾向的なことをお願いするのはアリだとは思うけど。

自分のところだけ爆音にしてください、なんてのもちょっとおかしな話。

それは店側がコントロールする部分ではないかな。まあ、中音と外音を

ごっちゃにしているアーティストさんも多く見受けられるんだけどね。

 

面白いことに、うまくて、音も良く、バランスの取れたバンドさんほど、何も言わない。

何も注文しない。しかもすぐリハが終わる(笑)。そういう傾向にあるってだけだけど。

あれこれと細かく、またちょっと的外れな注文を付けてくるバンドさんはイマイチな

場合が多い。・・・って傾向にあるだけだけど(笑)。

 

でも基本は結局のところ、生のバンドサウンドそのものだと思うよ。

アンプからの弦楽器の音、生ドラムの音、ボーカルに関してはモニター

からの音、それを自分たちの手動でコントロールしてステージ内で歌や演奏が

しやすいように調整し、迫力あるバスドラムにしたければ迫力あるバスドラムに

ステージ内で聞こえるようにキックペダルを踏みなさいよって話。客席側にも

同じように迫力あるバスドラムが響くから。

「タムの音をください」ってギタリストが言ったら、ドラマーの腕が悪いか、

ギタリストがアンプの音量を上げすぎのどちらかだと気づいて欲しい。

だってスネアとバスドラが聞こえてタムが聞こえないっておかしいでしょ。

そこをモニターで補おうとするからステージ内がカオスになってゆく。

「ハイハットください」なんてのもいるけど、ハイハットが聞こえなかったら

耳鼻科に行った方がいい(笑)。あ、ドラムまで2mも離れていない場合よ。

いや、モニターにいろんな音を返すのはいいんだけど、実際何度も書いたけど、

反対側の音は聞こえづらい場合は確かにある。そこを手動で調整した方が

ベターだよって話をしているんだけど、いったん置いておいて、モニターに

色んな音を返すのはいいけど、”デメリット”も当然あるよってことも覚悟してほしい。

大概あれこれ色んな楽器の音を返した後に、最終的に「ボーカルを上げてくれ」

って言う場合が多いんだ。ま、そうなるわな・・・当然。この意味をきちんと

理解して欲しいってことかな。

それでもT☆ROCKSはステージ内はだいぶデッドな音響特性になっているので、

音が大きすぎなければ反響が少ないので聞き取りやすい方だけどね。

 

外音に関して今一度言えば、客席に降りて「ギターを抜ける音にしてください」って

注文つけるなら、抜ける音のアンプサウンドにすればいいって話だし、「ベースライン

を見えるように」ってのも「じゃ、歪みペダル外してくれ」って話になっちゃう(笑)。

ステージ内で起きていることをそのままPAスピーカーで増幅させたいのだけど、

それとは違う音作りをしている場合はPA屋さんにひと手間も二手間もかけさせることに

なるってこと。

 

それでもね、ここまでさんざん書いてきてアレなんだけど、注文や要望は言って

いいんだよ(笑)。ただ、ここまで読んでくれておそらく「言っていることが

おかしい」と思った人はいないと思う。「ああ、なるほど、まあそうだろうねー」

と大体の人は思っていると思うけど(きっと)、「それでも自分はこういう音像で

演奏したい」って明確な要求があれば、それは伝えるべき。「ちょっと変かも

知れませんが、こういう音作りがしたい」と伝えればPAさんも協力してくれる

はず。それが観客席側に不利益な音にならなければの話だけど。ここは

きっとどこの店も譲れないはず。ステージ内だけにとどまる音なら(実際には

ちょっと現実的ではないが)大丈夫。