最近はボーカルに自前のエフェクターをかけたい、と言う方が増えている。
この場合の注意点を少し書いてみますね。
PA側としては、一番怖いのは”レベルの差”。
何しろ、EFを一個噛ますと言うことになれば、そこにはボリュームや
ゲインがついているわけで、卓へ送られてくる信号の強さは2倍にも5倍にも
なりかねない。
レベルマッチングをして持ち込んでくれればほとんど問題ないけど、
(実際、そういう場合が多いけど)あまり考えずに噛まされるとこっちで
PADを入れないと追い付かないくらい大きく入ってくる時もある。
もちろんハウリング必至だ。
これを未然に防ぐ方法としては、スタジオ練習の際に、何も噛んでいない
マイクと音量の比較をすればよい。
このとき大事なのは、ミキサーのゲインやEQ、リバーブ、フェーダーの位置など、
すべて同じ条件にして比較する。
で、同じ音量になるようにEFのボリュームを調整しておけばよい。
それともう一つ、そのエフェクターに入っているEQやリバーブ、コーラス、
デチューン、ダブリング、ディレイ、等々の意味、パラメーターがどうなって
いるかも把握しておくと何かと便利。
そういうのを一切、把握しないでプリセットのまま使っている人も多いんだけど、
まあ、大体はそれで大丈夫なんだけど、”もうちょっとディレイタイムを短くしたら?”
みたいなときにすぐに対処できないのと、何より一番困るのは、「コンプレッサー」だ。
コンプが強くかかっていると、小さな音も大きく増幅しようとするからハウリングが
非常におきやすい。また大きな音は圧縮してつぶすので、サビなどで声が抜けないと言う
現象にもなりかねない。
おそらくレコーディング用にコンプレッサーが入っているのかも知れないけど、
プリセットのままだと強くかかっている場合が多いかも知れないので、そこもチェック
して使って欲しい。
大体、コンプは卓で必ずかけるので、それほど必要ないと思える。
先日も(アコギにかけていたEFだけど)リハの際にハウリングがひどく、その割には
抜けないので、おそらくコンプだと思ったので、切って欲しいとお願いしたら、一発で
良くなったんだけど、そのときも”コンプってどうやって切るんですか?””そもそも
コンプって何?”みたいな状態だったので(笑)、こっちでマルチEFのコンプを外した。
プリセットもいいんだけど、一度、自分で制御できるように確認をしておいた方がいいと思うよ。
最近良く思うのが、EFの意味をあまりわかってない状態で使う人が多いように
思う。もちろんわからなくても一向に構わないし、良い音がすればそれでいいんだけど、
いたずらに色々使って、その都度、音量が上がって行ってアンプの許容範囲を
超えてしまう・・・とか、ゲインとボリュームの意味をわかっていないとか、
コンプにしてもスレッショルドの意味がわからないとか、基本がわかっていない人も
多いように思う。例えばゲイン、それとコンプにおけるスレッショルドは
使う楽器の出力によって効果が変わってしまうパラメーターなので、これを
理解してないと、”このエフェクター、ダメじゃん”みたいなことにもなりかねない。
すべてを把握しなくてもいいし、自分も最低限しかわからなかったりもするんだけど、
このちょっとの差で良い音にするかどうかわかれる時もあるので、どうもモヤモヤして
いるって人はちょっと調べるとか詳し人に聞いてみるのもいいと思うよ。