「今日は何か面白いライブイベントやっていますか?」
とたまに電話がかかってくる。平日に割と多い。
残念ながらあまり平日に良いライブはやっていない。
「やっていたら観に行きたいと思っているのですが・・・」
つまり、”おたくは毎夜毎夜、素晴らしいアーティストさんが良い歌と演奏を
聞かせてくれているんでしょう?なんせライブハウスなんだから。ライブハウスって
そういうところでしょう?”
ってわけだ。
・・・バンドブームの頃はな。
それこそ当時は平日の昼の部から夜の部、土日祝の昼から夜とやっと段階を
踏んで出演させてもらえたんだが、現在は知っての通り。
いや、ブームの前でもその文化はあったと思う。音楽ってのがもっと力を持っていたなあ。
音楽が世界を変えられるかもしれないって思えていた時代。音楽がかっこよかった時代。
せいぜい2000年頃までのような気もするけど。
昨今は毎夜、面白いアーティストさんが(好き嫌いはあるにせよ)魅力的なステージを
やっていてなかなかににぎわっている・・・なんて状況はなかなかに難しい。
レベルが下がるのも無理はないだろう。
切磋琢磨しあってしのぎを削って、他のバンドより少しでも良いものをお客さんに
提供しよう・・・なんて思わなくっても出演できるもん。怒られないもん。
握手券がついたCDの方が圧倒的に売れるわけだからねえ。
しっかり練習したりコンセプトを考えたりする気も出ないかも知れないけどさ。
で、「良いイベント(=おすすめアーティストさんのライブ)はありますか?」って質問なんだけど、
もちろんT☆ROCKSに出演してくれているバンドやアーティストで「これはオススメ」って
ところもたくさんある。たくさんあるけど毎日はいない。
前途した電話してきた人なんかはおそらくハードル高いだろうから(勝手に夢見てるだろうから)
現在のアマチュアレベルがどの程度だか知らないだろうからね。
中には自分の曲なのに途中で演奏を忘れて最後まで演奏できない場合だってあるんだぜ。
いったい何回練習したんだろう?8回くらいかな。死ぬほどスタジオ入って同じ曲を1万回
練習してやっとステージに立つなんてアホらしくてやってられないよね。
スマホゲームの方が楽しいもんなあ。
ま、もちろん極端な話でほとんどは向上心もあるし、自分なりに良いものを提供しようと
しているアーティストさんが多いんだけれども・・・。
上手い下手・・・って言うより気持ち、意識の問題かなあ。
自分が”ああ楽しかった、終わり”じゃなくて、”これを提供しよう”って思いがどのくらいあるのか?
あるいは仮に歌や演奏が拙くても、”きっと人々の心を打つ作品だ”と思って発表しているのか。
”人々を魅了するパフォーマンスが出来る”と思ってステージに立つのか。
と書きつつ、本来アマチュアミュージシャンの出るライブハウスなんてその辺は考えなくて
出てもいいわけなんだけどさ(苦笑)。
自分は音楽やバンドってのは陸上競技じゃないんで1番以外は全部負けってわけじゃないのが
いいところだと思っている。あっちのバンドにもファンがいて、こっちのバンドにもファンがいるって
素晴らしい事だと思うんだ。あんまり勝ち負けって意識はなくて、どのバンドも個性を出せばいいと思うし、
ファンも好き好きに応援して聴きに行けばいいよね。音楽のそういうところが好きだ。
それでもいざ演奏するときは対バンのお客さんも全部持って行ってやろうくらいの気持ちも大事で、
そうなると必然的に努力は必要になってくるよね。努力もなしに楽しいところだけを持っていきたい
ってのは虫が良すぎる。
練習しろ。
頭使え。
客観的に自分を見よ。
プライドを持て。