教えて!TOSHIさん:ブログ版

ライブハウス<T☆ROCKS>のオーナーTOSHIによる、音楽や音楽以外・・のお話!

T☆ROCKS:TOSHI

小田急相模原ライブハウス <T☆ROCKS>のオーナー「TOSHI」です。 音楽の話、音楽以外の話・・などなど色々!HPの 「教えて!TOSHIさん」も更新中! t-rocks@jcom.home.ne.jp

誰でも

2018-11-17 | 音楽的アドバイス

”誰でも出来ます”

”誰でも簡単に”

”どなたでも参加できます”

”初心者歓迎”

 

等々、巷でも様々な分野で謳われている。

T☆ROCKSも謳っている(笑)。

 

そうなのだ、今や、誰でもどなたでもどんなこともすぐに

体験でき、それほど苦労することなくプロと同じように出来るのだ。

面倒なことははしょって一足飛びに面白いところだけを経験したい。

苦しい練習や鍛錬はなるべくしたくない。

 

一旦話はそれるが、自分は昔からカラオケなる文化が嫌いで。

歌を人前で歌うとか演奏するとかステージに上がるとかに

子供のころからあこがれがあったわけだけど、それには

特別な何かがないとダメなんだとずっと思っていた。

自分は歌が特別うまいわけでもないから人に演奏を頼む

資格はないと思っていたので、それならばと自分で演奏を

することにした。

 

流行りのフォークソングやイエスタディなんかをギターで

伴奏して歌えばさぞかし気持ち良くまた尊敬もされるんじゃないかと

と思ってがんばって練習した。

 

中学1年の春。音楽教室にて。

一番最初に人前でやったのは”戦争を知らない子供たち”だった。

Fコードが鬼門だった。まだうまく押さえることが出来なかったので

省略コードで弾いていた。4人で一緒に弾いて歌った。

音楽の授業の一環だったので他の子は縦笛なんかを吹くか合唱など

だったのでフォークギターを弾くのはちょっと格好良かった。

昔ほどではないにしろエレキギターは不良になるとのことで

禁止だった時代なので(笑)フォークギターでもそこそこ不良っぽかった。

どうやらクラスでイケてる男子の中に入れたようだ。

当時はそんな言葉はなかったけれど。

 

その後、ベイ・シティ・ローラーズとキッスがすい星のごとく現れて

たちまち虜になり、これも再現したいと思った。

しかしこれは当然一筋縄ではいかない。何しろバンド形態だし、

未知なる楽器、ドラムにベースだ(笑)。ギターなんて歪んでいる。

どうやらアンプなるものも買わなければいけないらしい。

家のパイオニアのステレオに突っ込んではダメなのか?わからない・・・。

ベースも全然弾き方がわからない。何しろ動いている資料がない。

血を吐いていたり火を噴いているショットばかりだ。

ローラーズに至っては上半身裸のショットばかり。それでも一所懸命

ライブの写真を見て左手を確認なんかしていた。

 

それでも歌って演奏して楽しむためには自分たちが出来るようにならないと

いけないと思って一所懸命努力した。

 

~中略~

 

ここでやっとカラオケマシーンの登場。

 

伴奏してくれる!?楽器が弾けなくても歌えるじゃん!

指が痛くなって指先が固くなってシャーペンの芯が刺さらないほど

皮が分厚くなるまで練習しなくてもFコードが押さえられなくても

歌詞も覚えなくてもサクッと歌えるじゃん!

なにこれ!ズルイ!

 

そう思った。

 

ここからタガが外れたように世の中が”苦労しなくても誰でも出来る”に

シフトして言ったような気がするのは私だけだろうか?私だけだろうね(笑)。

 

ま、確かにそんなこと言ったら、洗濯機とか掃除機とか自家用自動車とか

世の中にそれまでとは打って変わって随分と楽に色んなことをこなせる便利グッズが

登場してきて今日もそれは続いているんだけど、その延長線でこと芸術(大げさか?)と

個人的には思っている”ステージで歌う、演奏する”と言うことが非常に軽んじられて

いるような気がしてならないんだな。

こんなところまで便利でどうするって思っちゃう。

 

今でもイエスタデイはギターを弾けないと歌ってはいけないような気がしているんだ。

歌声でお金が取れるほど特異な才能を持っているとか絶世の美男美女は別として。

なぜかわからないけど、演奏が出来ないなら歌ってはいけないと思ってたんだ。

それだけをこの胸に信じて生きてきた。by嶋大輔。

 

と言いながら、T☆ROCKSもね、プロが出演するわけでもないしアマチュアに

どんどん門戸を広げて修行してもらいたいからある程度出来る人はどしどし

ステージに上がってもらいたいわけなんだけど、”TOSHIさんの本音”としては

上記のような覚悟を持って本来ならば上がって欲しいんだ。

 

”全然練習はしていなけど自分が楽しければそれでよし”

”第一そこまで苦労したくないし”

的な発想だとちと悲しい。チト河内。

 

定義が違う場合は別だけどね。セッション会とか気軽なオープンマイクとか

”試してもいいですよ”的なステージ開放はまた性質が違うのでこの限りではない。

 

また、技術だけが大事では決してない。

それを補う違う魅力がある場合もそれは大きな武器になるし、人を魅了することが

出来れば立派にステージに上がる資格はあると思っている。

一番手っ取り早いのが、”技術と楽曲の良さ”なのでそこをはしょってどうするって

話なんだ。

 

 

世の中、変な方向でやさしくなっているふしがあるでしょう?

店のルールを破ってまでわがままを通そうとするお客さんとか、

お店側も何でも容認してしまったり・・・。

 

ならんものはならんのです!と言わないといけないんだけど、

なかなか状況が厳しい場合もあるんで難しい。楽器演奏や

ステージに上がると言うことに関してはなるべく”なんでもいいよ~”とは

言いたくない自分が居つつ、突っ張りきれない部分もあり悩ましいところなのだ。

 

 

PS.あの時一緒に演奏した、河内、池田、小林は今頃どうしているだろう。