要領がよいというと、ずるがしこい、小賢しい印象があるが、そうではない。要領のよさは必要である。同じ努力をするのに、どこに労力をかけるかということである。時間は万人に平等であるから、時間の使い方で人生は大きく変わるはずである。
たとえば、部活も放棄して、有名国立大学を目指して勉強一筋の高校時代を送り、莫大な時間を共通一次試験の暗記科目の習得に当てて根性で目標を突破するより、部活をしながら、3教科に集中して、有名私立大学へ入るほうがよい。こういうのを要領がよいという。
向いてもない仕事に、お給料がよいという理由で就職して苦労するよりも、多少給料が安くても好きな仕事を時間をかけて見つけ出して、そこに打ち込むほうがよい。見た目は最初のほうがよいが、40、50歳になると、確実に後者の年収のほうが高い。こういうのを要領がよいという。
宮本武蔵の五輪書には、はっきりと書いてある。ムダな努力はしないほうがよい。ムダな努力をするくらいなら、寝ていたほうがよい。人生という限られた資源をどのように配分して投入するか。それはテクニックに近い。そういうことは本人にはわかりにくいから、親なり、教師なりが導いてあげないと難しいと思う。