知る人ぞ知る奥越前の名産の里芋です。北陸と云うと魚介のイメージが強くて脇に隠れた感がありますが、この里芋は野菜でありながら主役を張る力があります。
福井県上庄…白山連峰から流れる豊かな水、昼夜の寒暖差の激しい盆地ならではの気候と扇状地という奥越前ならではの風土。そこから生まれる里芋は、ぬめりが少なく独特の歯ごたえプチッとした薄皮の感触、味もしっかりしています。身が締まっていて煮崩れしないのも特徴で、地元では「煮っころがし」、醤油で煮込んだ里芋を入れて炊き上げた「里芋赤飯」、おでんの具にも使われます。わけても「のっぺい汁」は格別で、野菜や油揚げを煮込み葛粉でとろみをつけます。厳しい寒さに耐える北陸の冬に欠かせませんね。
昨今のお取り寄せブームで、上庄の里芋も県外からの注文が増えたと聞きます。実際、三年ほど前には早く売り切れてしまって困ったこともありました。又、最近は皮をむいて冷凍にした物も売っているとか。確かに里芋はとっても手間のかかる食材です。でも…是非手間をかけてみて下さい。料理は手間をかけることで格段に美味しくなります。気持ちが入った料理は心の栄養になります。