鐔鑑賞記 by Zenzai

鍔や小柄など刀装小道具の作風・デザインを鑑賞記録

諸葛孔明図鐔 Tsuba

2013-05-23 | 
諸葛孔明図鐔


諸葛孔明図鐔

 孔明は天の動きを読むことができた。すなわち気象、今の天気予報とまでは言わないが、雲の動きや地域の気象にかかわる伝承などに通じていたということであろう。それを活かしたのが長江赤壁の戦い。曹操が数十万という兵を擁して南下、孫権は恭順か開戦か悩んでいた。劉備は、周瑜と共に開戦を迫る。舟戦に慣れていない曹操が相手であれば、数は劣るとはいえども逆に力は優ると考えていた。これに孔明の頭脳が加わって孫権軍の力は強大なものとなった。天気を、風を、霧を味方につけた孔明は、火攻めなど奇抜な手段を駆使して曹操軍を壊滅に追いやったのである。
 火攻めに必要な東南からの風を求める呪術を用いたのが孔明であったというが、それが気象を読む力に他ならない。舳で彼方を見やる孔明を描いたこの鐔は、そのような孔明の存在感を鮮明にしている作である。赤銅地高彫金銀朧銀色絵。