鐔鑑賞記 by Zenzai

鍔や小柄など刀装小道具の作風・デザインを鑑賞記録

文帝菊慈童図縁頭 壽墨 Juboku(iwama-masayoshi) Fuchigashira

2019-12-19 | 鍔の歴史
文帝菊慈童図縁頭 壽墨


文帝菊慈童図縁頭 壽墨

菊科の植物には様々な薬功がある。五月の節句に家の軒先につるされたり屋根に投げ上げられたのが蓬で、これも薬功があったから。同じ節句の時に菖蒲湯につかるのも薬功があるから。五月に飾られる薬玉(今では割って中から紙ふぶきなどが出てくる賑わいのための飾りとされているが)も同様、薬功のある植物を束ねて飾りとしたもの。
 菊慈童の伝説は、菊水の語があるように、名水伝説でもある。その源は、菊の葉に付いた清らかな朝露には、菊が備えている薬功があるというもの。名水はよい酒を生み出すことから酒の名前にも冠されている。この縁頭は、岩間政盧の晩年の作。菊慈童が仕えたといわれる文帝が菊水の酒を楽しんでいる場面。朧銀地高彫色絵。
下写真は、薬玉と、重陽の節句に飾られる薬玉と同じ意味の茱萸袋を彫り描いた作。薬草の香りが日常空間にあって効果を成していたのであろう。菊が古くから装剣小道具の画題に採られているのも、単に綺麗だからという理由だけではなさそうだ。

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