酔漢のくだまき

半落語的エッセイ未満。
難しい事は抜き。
単に「くだまき」なのでございます。

こけしの詩

2013-09-13 09:55:20 | もっとくだまきな話
先週、塩竃へ帰省しておりました。
今、実家は、母が独り暮らしをしております。
いささか、心配ではあるのですが、元気に暮らしていて、これには酔漢も驚く程。
齢81です。
「あんたねぇ、この前サンドイッチマンの番組でねぇ年齢聞かれてさぁ」
「ふーーん。で、なんて答えたわけ?」
「ちゃんと答えたわよ!81って・・」
「ふーん」
「そしたらさぁ『うそこぐでねぇ!』って言われて・・・」
「まぁ、お袋はしっかりしてるからなぁ・・」
「したっけさぁ・・『あんだどう見たって60代だすぺ!』って・・・・」
「まぁ。若く見えるってことはいいこと・・・・・・おい!ちょっと!何でよ!」
「あら?どうしたのよ!」
「俺、今51なんだけど・・・・」
「あら!9歳しか違わない親子?」
「・・・・・・・・・・・・・・」
決して、落語のまくらではございません。
茶飲みながら親子の会話でございますが。
因みに番組はしっかり放映されていたようで、場所は塩竈神社だそうです。
見るのが・・恐いような・・デス。

さて、そんな茶の間、ちょうど親父の書斎の間には、こんなスペースが実家にございます。
冒頭の写真と同じものですが。



親父がどうして、こけしを集めていたのか、詳しくは知りません。
良く話しは、聞かされてはおりました。
ですが、そのコレクションを整理したことはありません。
この度の帰省でそれを少し調べてみようかと思った次第。
その一部をご紹介いたしましょう。



「花巻系」です。
顔がありません。これが「きぼっこ」の原型とも言われるのですが。
一般的に「こけし」は北へ行くほど進化するらしくて、花巻あたりまでまいりますと、例えば胴の帯の細工とか。首の着け方であるとか。
非常に複雑な造りを見せてくれます。
話しは少し飛びました・・・このこけしを購入する過程での話しです。
父と叔父が岩手へ旅行した時の話しです。
ある民芸店で、このこけしを親父が見つけます。
「このこけし、値札ついてねぇけんど・・何ぼなのっしゃ?」
「これは売り物ではございませんで・・・・」
「売り物でねぇのに・・なしてここさぁあるのすか?もう一遍聞くからっしゃ!『なんぼ』?」
「ですから・・・これは・・・」
「んで、わがったから・・来週また来っからっしゃ!そんときまで考えてけさいんね!」
親父は本当に欲しかったのでしょう。そして、店主は、まさか本当に来るとは思わなかったのだと思います・・が!
次の日曜。
「んで、値段決まったのすか?」と、親父と叔父が再び登場。
店主、これには参ったらしく、このこけしを手放すことに・・・。



今は、こんな感じで飾られております。(床の間。琵琶床の琵琶を置く位置に飾られております)
このこけし、一体誰の作品なのか、気になるところです。



「煤孫実太郎」と書いてございます。花巻系でありながら独特なその形から「煤孫こけし」と命名されております。
その二代目「実太郎」の作品。名人です。現在は三代目「煤孫盛造」氏が受け継いでおられます。
「こけし工房 木偶乃坊」で作られております。
その解説をご紹介いたしましょう。

「煤孫こけし」は祖父茂吉、父実太郎、私盛造と三代にわたって伝承されてまいりました。このこけしは、伝統こけし南部系(花巻系)に属し無彩色で頭がクラクラ動くのを特徴としております。

昔、乳児のおしゃぶりとして与えれていた、頭が小さく胴の下部がくびれたこけしをはじめ胴の上部がくびれたこけし等を造っております。また、牡丹の花を絵付けしたこけしもございます。これらのこけしは、この地方でキックラボッコキナキナボッコの方言で呼ばれております。

材料は、主にコサンバラ(モチノ木科アオハダ・白い木目の見えない木)を使用します。その他ケヤキ・エンジュ・タモ・サクラ・ヤマガ・クワ等を使います。木目の美しいケヤキなどを使用したこけしは、頭と胴を一本の木から作りますので木目がピッタリと合いますように造って居ります。


何とも味わい深い。顔が無い、眺めていると、毎回違う顔が浮かんでくるのも不思議です。

こけしの系統は10分類あるそうです。
解説にはこう記されております。

伝統こけしの系統は、10ないし11に分類されています。
その違いは宮城県作並温泉で発生した「作並系」と、そこから工人が移動し一大産地に発展した「山形系」を別の系統と見るかの違いです。
ここでは、「山形作並系」として、10系統で紹介します.


土湯系 福島県福島市土湯温泉 江戸時代後期 独立して発展。 3大発生地のひとつといわれる。その木地師は会津系を根源とする。
弥治郎系 宮城県白石市弥治郎 明治時代初期 蔵王東圏に属する。 遠刈田や鳴子よりもやや新しいと言われる。
遠刈田系 宮城県蔵王町遠刈田温泉 江戸時代後期 蔵王東圏に属する。 3大発生地のひとつといわれる。その木地師は会津系を根源とする。
鳴子系 宮城県鳴子町鳴子温泉 江戸時代後期 独立して発展 3大発生地のひとつといわれる。その木地師は会津系とは別の系統という
山形作並系 山形県山形市 明治時代初期 独立して発展 古い木地師の存在は有ったが現在のこけしは作並で修業した山形の小林倉治を祖とするといわれる。
蔵王高湯系 山形県山形市蔵王温泉 明治時代中期 遠刈田系、鳴子系を母体として発展 明治21年遠刈田で修業した岡崎栄治郎をその祖とするといわれる。
肘折系 山形県大蔵村肘折温泉 明治時代中期 遠刈田系、鳴子系を母体として発展 遠刈田系と鳴子系の混合で井上籐五郎をもって肘折系こけしの祖といわれる。
木地山系 秋田県雄勝郡 江戸時代末期 鳴子系の影響を受けて発展 小物挽き技術は鳴子方面より江戸時代末期に伝えられる。こけし系統は鳴子系より分化したもの。
南部系 岩手県花巻市 江戸時代後期  旧南部領に分布したキナキナを母胎として発生。 木地業は古いがこけしに関しては中心地もはっきりせず系列も複数ある。
津軽系 青森県黒石市温湯温泉 江戸時代後期 現在の形は鳴子系の影響を受けたものと大正時代の創作に分かれる ロクロ線のみの作りつけが古形であるが、
大正末から昭和の始めに大きく変化し現在に到っている。


実家のこけしを見ますれば、ほぼ該当する系統のこけしが見られる事に気づきます。



これは、「定義山 有路静夫」とあります。定義山とは、独立した系統ではないのですが、どのように分類されるのでしょうか。
どうやら、「山寺こけし」の中にあって、この「有路」さんの作品は異才を放っております。
何せ、お顔が「ほのぼのぉぉぉ」ですよね!

このこけしのキャラクターは、「こけし人形劇」でも人気のキャラでもあるのです。
定義山へお立ち寄りの際には、是非、こちらのこけし工房もお尋ねになられては如何でしょうか。
油揚げだけでも、よろしいのですが・・。


正当派、「鳴子こけし」の伝承者。「秋山忠男」さんの若き頃の作品です。
お爺様があの名人「秋山忠」。そして父「秋山忠市」も名人でありました。その伝承者として現役です。
このこけしの持つ、安心感って・・・なんだろう・・・。
安定感はトップヘビーの多い中で、これは鳴子系の特徴なのですが、胴が「でん!」としておりますし、紋様も素敵です。
お爺様より受け継いだお顔も素敵です。



「弥治郎系こけし」「新山久志」69歳の作品です。
新山久志さんは大正5年のお生まれですから、69歳だと、1985年の作品です。
この方の作品の評価は戦前からですが、昭和30年頃のが、一番とされております。
この頃がピークとも。
確かに、全体的な鋭さ(目のあたりの力強さとか・・)は無いのですが、この表情は晩年ならではなのでしょうね。
酔漢が最も、好きな「弥次郎系」です。


こけしの底には、工人の名前があるのですが、この土湯系にはございません。
ですが、この表情が好きです。

顔のアップは素敵ですね。
瞳のない土湯系工人であれば「弘道」氏の作品かとも思うのですが、それとも全体的な雰囲気が違ってきます。
良いこけしだけに、若い人の作品かもしれませんね。
こけしとの出会いは、「表情を見て」のものなのですから。


秋田杉の胴です。
杉の紋様がそのままです。
七代目「又五郎」の作品です。
大曲から少し先「大仙市」に現在は9代目の工房があります。
「9代目」です300年も続く伝統こけしです。
目の感じは9代目より7代目の古風な感じが好きです。(9代目も素晴らしいです。好みだけです)
秋田杉の香が良いですね!



「親父がどうして、こけしを集めていたんだろう・・・・」
こけしの系統は親父と酒を呑みながら教えられました。
酔漢自身も「鳴子のこけし館」には出かけました。

当時の「国立花山少年自然の家」
雨が降って野外活動が出来なくなったとき、「こけしの絵つけ」を行います。
こども達は悪戦苦闘しながら、こけしに顔を入れていきます。
不思議に思うのです。
こけしに描かれた顔は、描いた本人の顔に似てきます。




「こけしの詩」
「鳴子」を舞台にしたNHK「新日本紀行」の題名でした。

そして、「合唱コンクール」では、この歌も好きでした。




この映像では二曲目に「こけしどこの子」があります。

♪こけし どこの子 みちのくの山の子♪


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14 コメント

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すみません、怖いんです。 (すず)
2013-09-13 14:06:34
 こんにちは。

女川にサンマが揚がったので、今日はどこのスーパーでも特売がありました。大きいものは1本128円、こぶりなものが6本まとめて298円。今晩の我が家のおかずは焼きサンマです♪

こけしですが、私、怖いんです。なので、玄関や客間にずら~っとコレクションを飾っているお宅は、お邪魔してもなるべく見ないようにしています(苦笑)素晴らしい工芸品なのはわかるんですが・・・魂こもっている作品は、尚更怖いです。

返信する
あ! (いーちゃんの母)
2013-09-13 20:14:46
顔のないこけし、私の実家にもあります。
いつからあるのか、忘れてしまいましたが。

酔漢さんのお母様、お元気で何よりですね。
返信する
こんばんは (見張り員)
2013-09-13 20:54:00
私の実家にも叔父の結婚のときの引き出物のこけし2体があります。叔母が山形・天童出身なものでそちらの名産を引いたようです。
うちにあるこけしがどういう流れのものか・・・見てみたいと思いました。

でもこけしと一口に言ってもたくさんの系統があることに驚きました。
返信する
懐かしこけし (なん)
2013-09-13 22:52:24
「こけしどこの子」、なんて懐かしい!
この作曲者は仙台少年少女合唱隊の指導者であり、私のピアノの恩師でもある、
福井文彦先生でした。
かつてのテノール歌手、藤原義江のピアノ伴奏者としてヨーロッパを遠征した後、仙台を拠点にしておもに東北にこだわった作曲活動、音楽指導をしていらっしゃいました。
64年オリンピックの歌「この日のために」の作曲を手がけました。
「こけし」は「東北のおもちゃうた」の合唱組曲の一つで数々の合唱曲があります。
またオーケストラのための「蔵王に寄す」などたくさんの東北にまつわる曲があります。
NHK合唱コンクールの時期になると、酔漢くんの通った中学校の合唱部にも何度か見え、指導をして下さいました。
今日のような暑い日、おしぼりをお出しすると「これでどこ拭くの?」と言って、ご自分のこけしのような(御髪のない)丸い頭をちょんちょんと拭いて、緊張している私達中学生をフッと笑わせて下さいました。
曲の話になってしまいましたが、故郷には、厳しくもユーモアのある本当に素敵な先生がおいででした。
こけしは本当に素朴な可愛い顔ですね。
それにしても、酔漢くんのお父様が、値札のないこけしに目を留めるところ、酔漢くんそっくり!
返信する
このせまいこころの檻もこわして自由になりたいの (ある友人)
2013-09-14 10:12:31
他の方も言ってますけど・・・こけしって怖いよね、なんとなく。

こんな話、知ってます?
夜中にトイレに起きたら、居間の方で妙な音がする。
何かがこすれるような不思議な音。
何気なく戸を開けたら・・・
誰もいないのにこけしの首がきいきいと音をたてて回っていた。
そして耳元で声がする。
「次はお前の首を回そうか」

ははは。もちろん今、私が作った話です。ありそうでしょ?こういう都市伝説。
悪ふざけです。大変失礼しました。
大分よくなりつつあるのですが、扁桃線炎で寝込んで悪夢を見続けているもので・・・いやはや。
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可愛いです (おんせんたまご)
2013-09-14 19:46:10
仙台に転勤して驚いたのが、どこのお宅にもたくさんのこけしが飾られていた事です。

酔漢さんのご実家のこけしは大切にされているのがよくわかります。
きれいに磨かれていますもの。
一つひとつの表情が可愛いですね。

家を建てた時にお祝いに一対の大きなこけしをいただきました。
名のある作家さんの作品だという事で床の間に飾っていました。
こけしに詳しい方から、日本手ぬぐいで磨かなければダメだと教わり時々磨いておりましたが、ここ数年はほったらかしです。

酔漢さんのブログを見てる内に久々に磨いてみようかな~と思った次第です。
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珍しい『こけし』がありますね。 ()
2013-09-17 09:56:16
酔漢さんの家の『こけし』はていねいに磨かれ保存されていますね。

私がこれまで見たことがない珍しいのがあります。

「定義山」のこけしは初めてみました。

今度行った時は「定義の三角揚げ」より「こけし」にします。

^^^^^^

お母さま、 お若い容貌なのですね。

60代に見られるなんて素敵です。
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すずさんへ (酔漢です)
2013-09-18 15:31:52
こけしが怖い方がいらっしゃる事は承知しておりました。
我が妹でございますが、こけしが好きではなくて(といいますか・・・やはり怖いようで)、帰省の予定が近くなると、母が片付けたり致します。
ごめんなさい。
秋刀魚は旬を迎えました。宮城は安くて良いですね。
昨日の販売価格が僕の店で1本138円でした。
そろそろ、作ろうかな?さんまのぬたですよ!
返信する
いーちゃんの母さんへ (酔漢です)
2013-09-18 15:35:59
お元気さそうですね!太郎君が宜しく!って言ってました。
そうですね、岩手のあの辺もこけしの文化ありますよね。
花巻系は胴がくびれて、帯が掘られているのも特徴なんですよ!
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見張り員さんへ (酔漢です)
2013-09-18 15:38:15
見張り員さんは天童に御縁があるのですね。
将棋の駒と美味しいお蕎麦。そして温泉。もう大好きなところです。山寺系のこけしの職人の発祥といわqれえtますよね。将棋の駒職人が多くの民芸品も作ってます。
木彫りのそれらは素朴な感じで買ってしまいます!
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