当時、宮城県には2つの村がありました。ここでの話は花山村での出来事です。
酔漢、大学時代、国立花山少年自然の家主催のボランティアスクール(以下 ボラスク)に参加しておりました。今でも続いているこのスクールですが、各講習を年間4回、そしてその間に実習があります。この実習期間に職員のお手伝いや施設の保持などもろもろのお仕事をするわけです。キャンプ場に1週間いたらかなりバテます。
さて、酔漢実習中です。学校の夏休みも8月に入ると利用者が一年で最も増えるこの時期、今日から東京組み3名(筑波大と大妻女子大のメンバー)が加わります。当日かなりの大雨が降ておりました。
「新幹線も遅れているみたいで、到着する頃にはバスがなくなりそうだって」
「築館まで迎えに行ったほうがいいんでねかや」
「古川から築館までバスで来るとして、そこからは所の車だべな」
酔漢とごとう君を含めて運転手のおざわさんと3人してランクルに乗り込みました
「この前、がけ崩れのあったとこってもう通れるんだすぺ?」
「1週間前に開通したけど、まだ道路は工事中なんだ」
「2人死んだってほんとすか?」
「本当だって、道路開通した日にこども会のバスに便乗したけど、慰霊のなんかやってたおん」とごとうくんです。「通ってみっぺ」ということになりました。
国立花山少年自然の家から山を下ると、富野原のバス停を通ると花山湖が見えます。湖を築館方面へ向いて左側には湖畔のキャンプ場があったりします。こちら側は山道も緩やかなのですが(丁度湖畔沿いの道です)築館方面へは遠回りです。僕らはがけ崩れから開通したばかりの反対側の道、橋を渡り、花山小学校の下を通る道を選びました。なるほど開通したばかりですから、ところどころ工事用の待避所が道路脇に設けられておりました。
「ちょうどこのあたりでねかったけや」
「がけ崩れ現場すか?」
「まだ、2人行方不明のまんまなんだべ、気味悪いから急いでいくべ」
午後7時頃だったと思います。雨は小降りになっていました。
築館のバス停で彼らを拾うと、急いで所へ向かいます。
「新幹線も福島あたりで丁度30分近く止まったまんまだったし」とめぐみ君(男性です)が言っていました。東北地方各地に大雨警報が出された日でした。
車が築館をすぎた頃、突然の大雨が降って来ました。ランクルのワイパーも最大です
「どっちから行く?」
「さっきんとこでいいんでねかや」
「俺、早い方がいい。いい加減腹減った」とめぐみ君。
「んでそっちさぁ通っから」僕らの車は事故のあったあたりに近づきました。
花山村入り口(ようこその看板がありました)から花山湖の脇を所へと向っていました。その時です。運転していたおざわさんが車を徐行させました。
「なんじょしたのすか」
「なんか誘導灯が見えたんだよな」
「おれ気づかねがった」と助手席のごとう君。
「あっ!また見えた」「んだ、見えっちゃ」と、ごとう君。
「一度、車止めるから」
車は止まりました。雨は激しく降ってます。
「こんな所で工事関係者なんていんのかや?」
「また、がけ崩れおきねぇように点検さぁきてんんでねぇ」
「それにしても、誘導灯 ふらふらしてんなや」
「近づいてみっぺ」
おざわさんが車をゆっくり走らせました。
酔漢は運転席と助手席の後ろ、真ん中の席にいましたので、フロントの様子はよく見えました。誘導灯が右に曲がれと合図しているのでした。
「やっぱりがけ崩れの恐れが出てきたから、Uターンするようにしてんでねぇか」
おざわさんは誘導灯の方向へとハンドルを切りました。そして誘導灯の方向へ車を走らせようとしたその瞬間
「ストップ。ストップ」とごとう君が大きな声を上げました。
それに合わせて、おざわさんが車を止めました。
「これより先、崖の下だっちゃ」「えっつ」
湖側の待避所手前、ガードレールがない所でした。ごとう君とおざわさんはカッパを着て外へ出ました。
「酔漢、誘導するから車道路の真ん中まで車出して」窓は開けました。雨は入って来ますが、気にしている間はありません。外灯もないわけですから、ヘッドライトだけが頼りです。
「オーライ。オーライよーしOK!」
車は道路へきちんと戻ったようでした。
おざわさんとごとう君はズブ濡れのまま車へ入って来ました。
「誘導灯は?」
「そういえば見えないな」
考えれば、誘導灯見えた場所って、湖の上?
これに気づいたのは運転していたおざわさんと後藤君そして酔漢でした。
後ろに乗っていた3人の内2人は完全に寝ておりました。
「確かに、誘導灯見たよな」
「みたっちゃ」
「だれ、誘導灯あったおん」
雨は少しだけ小降りになっていました。所に入り残っていたメンバーにこの事を話しましたが、「湖畔に何かが反射して見えたんでねぇか」と言われました。
「確かにあった」と僕ら。
「行方不明になった工事関係者でねぇか」(そうは思っていても口には出せなかった酔漢でしたが)
「そういう事もあるんだなや」と案外ケロっとしているごとう君でした。
自然の家を離れる時、ちょうど妹が運転する車に向かえに来てもらいました。帰りに現場を通りました。小さな祠が出来てまして、花が置いてありました。
ほらーな話です
酔漢、大学時代、国立花山少年自然の家主催のボランティアスクール(以下 ボラスク)に参加しておりました。今でも続いているこのスクールですが、各講習を年間4回、そしてその間に実習があります。この実習期間に職員のお手伝いや施設の保持などもろもろのお仕事をするわけです。キャンプ場に1週間いたらかなりバテます。
さて、酔漢実習中です。学校の夏休みも8月に入ると利用者が一年で最も増えるこの時期、今日から東京組み3名(筑波大と大妻女子大のメンバー)が加わります。当日かなりの大雨が降ておりました。
「新幹線も遅れているみたいで、到着する頃にはバスがなくなりそうだって」
「築館まで迎えに行ったほうがいいんでねかや」
「古川から築館までバスで来るとして、そこからは所の車だべな」
酔漢とごとう君を含めて運転手のおざわさんと3人してランクルに乗り込みました
「この前、がけ崩れのあったとこってもう通れるんだすぺ?」
「1週間前に開通したけど、まだ道路は工事中なんだ」
「2人死んだってほんとすか?」
「本当だって、道路開通した日にこども会のバスに便乗したけど、慰霊のなんかやってたおん」とごとうくんです。「通ってみっぺ」ということになりました。
国立花山少年自然の家から山を下ると、富野原のバス停を通ると花山湖が見えます。湖を築館方面へ向いて左側には湖畔のキャンプ場があったりします。こちら側は山道も緩やかなのですが(丁度湖畔沿いの道です)築館方面へは遠回りです。僕らはがけ崩れから開通したばかりの反対側の道、橋を渡り、花山小学校の下を通る道を選びました。なるほど開通したばかりですから、ところどころ工事用の待避所が道路脇に設けられておりました。
「ちょうどこのあたりでねかったけや」
「がけ崩れ現場すか?」
「まだ、2人行方不明のまんまなんだべ、気味悪いから急いでいくべ」
午後7時頃だったと思います。雨は小降りになっていました。
築館のバス停で彼らを拾うと、急いで所へ向かいます。
「新幹線も福島あたりで丁度30分近く止まったまんまだったし」とめぐみ君(男性です)が言っていました。東北地方各地に大雨警報が出された日でした。
車が築館をすぎた頃、突然の大雨が降って来ました。ランクルのワイパーも最大です
「どっちから行く?」
「さっきんとこでいいんでねかや」
「俺、早い方がいい。いい加減腹減った」とめぐみ君。
「んでそっちさぁ通っから」僕らの車は事故のあったあたりに近づきました。
花山村入り口(ようこその看板がありました)から花山湖の脇を所へと向っていました。その時です。運転していたおざわさんが車を徐行させました。
「なんじょしたのすか」
「なんか誘導灯が見えたんだよな」
「おれ気づかねがった」と助手席のごとう君。
「あっ!また見えた」「んだ、見えっちゃ」と、ごとう君。
「一度、車止めるから」
車は止まりました。雨は激しく降ってます。
「こんな所で工事関係者なんていんのかや?」
「また、がけ崩れおきねぇように点検さぁきてんんでねぇ」
「それにしても、誘導灯 ふらふらしてんなや」
「近づいてみっぺ」
おざわさんが車をゆっくり走らせました。
酔漢は運転席と助手席の後ろ、真ん中の席にいましたので、フロントの様子はよく見えました。誘導灯が右に曲がれと合図しているのでした。
「やっぱりがけ崩れの恐れが出てきたから、Uターンするようにしてんでねぇか」
おざわさんは誘導灯の方向へとハンドルを切りました。そして誘導灯の方向へ車を走らせようとしたその瞬間
「ストップ。ストップ」とごとう君が大きな声を上げました。
それに合わせて、おざわさんが車を止めました。
「これより先、崖の下だっちゃ」「えっつ」
湖側の待避所手前、ガードレールがない所でした。ごとう君とおざわさんはカッパを着て外へ出ました。
「酔漢、誘導するから車道路の真ん中まで車出して」窓は開けました。雨は入って来ますが、気にしている間はありません。外灯もないわけですから、ヘッドライトだけが頼りです。
「オーライ。オーライよーしOK!」
車は道路へきちんと戻ったようでした。
おざわさんとごとう君はズブ濡れのまま車へ入って来ました。
「誘導灯は?」
「そういえば見えないな」
考えれば、誘導灯見えた場所って、湖の上?
これに気づいたのは運転していたおざわさんと後藤君そして酔漢でした。
後ろに乗っていた3人の内2人は完全に寝ておりました。
「確かに、誘導灯見たよな」
「みたっちゃ」
「だれ、誘導灯あったおん」
雨は少しだけ小降りになっていました。所に入り残っていたメンバーにこの事を話しましたが、「湖畔に何かが反射して見えたんでねぇか」と言われました。
「確かにあった」と僕ら。
「行方不明になった工事関係者でねぇか」(そうは思っていても口には出せなかった酔漢でしたが)
「そういう事もあるんだなや」と案外ケロっとしているごとう君でした。
自然の家を離れる時、ちょうど妹が運転する車に向かえに来てもらいました。帰りに現場を通りました。小さな祠が出来てまして、花が置いてありました。
ほらーな話です
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