えびす顔の造花卸売問屋元社長からの手紙

かすかな希望を抱いて幸せを自慢する尊大な手紙。重複掲載御免。造花仏花の造花輸入卸売問屋ニューホンコン造花提供

1114-3

2015年12月12日 14時46分18秒 | 我が家
 東北のみなさん こんにちは

 母のお棺が開けられ、花を添えていく。どんどん覆われていく。西国三十三か所参りの朱印の押された半纏も被っていたんだろうか。着物が好きだからと着せられた比婆色の着物も見えていたんだろうか。姉が付き添った時に母が「柿が食べたい」と言ったといって、誰かが足元に柿を入れたはずだ。「よう頑張ったな」と思うと涙が出てくる。何度も何度も「お花を」と言われて何度も何度もお花を入れる。母の顔をさする。ドライアイスで冷たくなっているのに驚く。とても時間が長く感じる。お棺が閉じられた。母の光った若く見える顔は思い浮かぶが、それと花しか記憶に残っていない。感情の高まりが、記憶を消す。

 みなが一階に降りた後、住職と位牌を持たされた私、遺影を持った妻が台車に乗せられたお棺の後に続いてエレベーターで階下へ降りる。下では息子らが待ち受けていて台車からお棺を担ぎ上げて霊柩車に載せる。高ぶった感情はお棺が閉じられてから、自然に収まっきている。妻と霊柩車に乗り込む。マイクロバスに乗る人、送り出す人、車の中から少し曇った窓ガラス越しに人の動きが映画のスローモーションシーンのように見える。車が動き出した。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする