6月初旬にレンタル店で借りて観た映画『ぶあいそうな手紙』の感想です。ブラジル南部のポルトアレグレという街で暮らしている78歳のエルネストという男性が主人公。エルネストは、隣国のウルグアイからこの街に住み着いて46年、老境で、目が見えなくなってきたものの、一人暮らしをしていました。隣家の隣人ハビエルはエルネストが心を開いて話せる唯一の友人で、日常生活で時々世話になっている良き隣人でした。そんな日常生活を送っていたエルネストの元にある日一通の手紙が届きました。その手紙はウルグアイ時代からの旧友の妻からの手紙でした。旧友が亡くなったという旧友の妻からの知らせでした。エルネストは亡くなった旧友とその妻とも昔からの友達同士でした。
目が見えなくなってきたエルネストは偶然知り合ったビアという娘に手紙を読んでもらい、彼女に代筆をしてもらい手紙を送ることになります。本が好きな二人の間に次第に友情が生まれて行くストーリーでした。ビアはちょっと理由ありなブラジル女性で、目が見えなくなっていたエルネストの部屋に置いてあったお金などを持って行ってしまったりという行動をしましたが、エルネストはビアが本当は親切で優しい女性だと信じていました。返信する手紙の書き方について、ビアに手ほどきしてもらったり、教えてもらったり、本当に伝えたかった思いとともに手紙の主だった彼女の元に最後に向かうことでこの映画は終わりました。最後は、エルネストはビアという女性と出会ったこと、よき隣人のハビエルとの別れで、以前と違う行動を起こしたことになりました。78歳になって、目が見えなくなってきたという境地に立っても、もう一度立ち上がって、踏み出そうとしていました。その彼のひたむきな姿には心が揺さぶられました。ピアに手助けしてもらわなかったら、本心を打ち明けずに、ぶあいそうな手紙しか書けなかったでしょうし、手紙が届いた彼女の元に行く勇気もなかったかもしれません。視力を失っても愛を失いたくないと行動するエルネストの姿を通して、一歩踏み出して行く勇気はいくつになっても必要なものだったりするのだろうと思いました。それは、歳を重ねたからでもあったでしょうし、いろいろと経験したからわかったこともあっただろうと想像できました。歳を重ねることで失うことばかりだけではないということなのですね。