6月初旬にレンタル店で借りて観た映画『おらおらでひとりでいぐも』の感想です。若竹千佐子著の芥川受賞作の映画化作品です。75歳で一人暮らしの桃子さん(田中裕子さん)が主人公です。田中裕子さんが演じておられた桃子は結婚し子供を育て、夫と二人の平穏な生活が始まると思っていた矢先に夫に先立たれ、今は一人暮らしの生活、図書館で本を借り、顔見知りの司書さんと話をし、病院に行き、罹りつけのお医者様と話をし、46億年の歴史ノートを作るような毎日を送っていました。ある日、桃子さんの心の中から「寂しさ1」「寂しさ2」「寂しさ3」という寂しさたちが音楽とともにやってきました。「お前さんたち誰なのよ?」と桃子さんが聴くと寂しさ1から3は、口を揃えて「おらだはおめだ」と答えました。それからというものの寂しさ1から3は桃子さんの周りで励ましながら、一緒に付いて来たりという毎日を送るようになって、寂しさを通り越して進化しながら逞しく生きて行く姿が描かれていました。寂しさ1は濱田岳さん、寂しさ2は青木崇高さん、寂しさ3は宮藤官九郎さんが演じておられました。心の声はなぜか皆男性でしたね。「おらが一番輝いていたときはいつだったか」と自分に問いかけた桃子さんが自由になった今だったということ、思い通りに自分の力で生きたかったということを感じたシーンが最後のほうで出てきました。寂しさがあることよりも寂しさを通り超えた先に自由があったことの発見が桃子さんの毎日をもっと楽しいものにして行くという気付きと行動が描かれていたように思いました。歳を重ねて周りに誰もいなくなったとしても、寂しさよりも寂しさの向こう側の楽しさがあったりするとその人なりに逞しく生きて行けるのかもしれないなあと感じた映画でした。
6月初旬にレンタル店で借りて観た映画『世界で一番貧しい大統領』の感想です。2010年から5年間、第40代ウルグアイ大統領として就任されていた、ホセ・ムヒカ氏のドキュメンタリー映画です。絵本にもなっていて、読んだことがあったので、借りて観てみました。収入の大半を寄付、愛妻と愛犬と農場に住み、質素な暮らしを続けていました。2012年、ブラジルのリオデジャネイロで開催された国連の持続可能な開発会議でのムヒカ氏のスピーチが世界中の人々に影響を与えたのは有名です。極貧家庭に育ち、左翼ゲリラとの権力争いで13年間拘留生活も強いられた波乱万丈のムヒカ氏の人生の断片と彼の言葉を通して、ウルグアイの多くの人々に愛された一政治家の軌跡やその思いが描かれていた映画でした。