続いて、世界価値観調査(WVS)の質問項目、「人生の自由さ」という設問についての国際比較を見ていきたい。
この項目が特に重要だと思われるのは、WVSの数ある調査項目の中でも、これが本稿がターゲットにしている自信=心理的健康の度合いを最もよく表す指標となると考えられるからである。
質問は次のようなもので、「人生が自由になる」という主観的な感覚を10段階のスケールで答えるものだ。
●問 人生 . . . 本文を読む
さて、上記のとおりWVS(世界価値観調査)におけるコスモロジー関連の最重要の質問項目は、筆者にはこの「宗教は人生で大切か」であると見える。
それは「あなたの心にコスモロジーは生きているか」と、いわば深層心理の問題のど真ん中を突いているに等しいからである。グラフを再掲したい。
「宗教が重要」と回答した人の割合の最下位を、直近のWAVE7(第7次調査)で中国・日本が占めていることは先述の . . . 本文を読む
世界価値観調査(World Values Survey)について、主題に即して若干表題を変えてみた。
本日は前回の「神を信じるか」と世界観という意味で対になる、「地獄を信じるか」である。
天国と地獄への問いとは、価値観の背後にある、というよりも価値観そのものである内なるコスモロジーをあぶり出す、価値観調査の最も本質的でコアな質問項目といえる。
伝統的コスモロジーには、洋の東西を問わず「 . . . 本文を読む
(承前)
これによれば日本は下位から3番目、「はい」と答えた人は4割(40.8%)となっている。「神を信じている」人が、世界の中でも非常に少ないことが確認できる。
それでも日本人の4割程度の人が「神を信じているか」と問われて「はい」と答えているのは意外な思いがする。しかし推測するに、「はい」と答えたうちの多くの人が「強いて言うなら信じてる…か?」「とりあえず『はい』かな」という程度のあい . . . 本文を読む
世界価値観調査(WVS)による国際比較について、今回はいわゆる「価値観」そのものを決定づけている根本的な価値観について、そのものズバリの質問、
「あなたは神を信じているか」
である。
WVSの数ある調査項目のうちでも、人の価値体系の核心に最も迫る調査項目と言えるだろう。
私もごく普通の日本人として、日常の中でいきなり「神を信じているか」などと聞かれたら、
「変な質問だな。神さまなんて」 . . . 本文を読む
世界価値観調査(WVS)について、今回から「宗教性」を問うた複数の調査項目に焦点を当てていきたい。
私を含む多くの日本人にとって、特別に信仰を持っている人以外、「宗教」は極めて影が薄い。
それどころか、人との日常会話の中で宗教の話題を出すことなどまず皆無であろう。そんなことを語ればおかしな人と見られてしまうので、ほとんどタブー . . . 本文を読む
世界価値観調査(WVS)の記事、国民的・集団的アイデンティティにかかわる調査項目については、今回で終わりとなる予定である(次回からは「宗教心」に関する項目を扱う)。
今回は「国民としての誇りはどのくらいか(How proud of nationality)」についてである。
現在、新型コロナウィルス感染拡大の渦中で「国民一丸で」「力を合わせて」ということが盛んに言われている。
つい先ほ . . . 本文を読む
ひきつづき世界価値観調査(WVS)について続けたい。
新型コロナウィルスの猛威の恐るべき状況下で、他国と違ってこの日本では政治的権力がなぜ断固とした態度が取れないのか。
その理由を価値観の側から明らかにするため、先に「権威・権力(オーソリティ)を尊重するか」との趣旨の調査項目を取り上げた。
子どもを世話しながら書いたので文がうまくなかったと思うが(それにしても、保育園が休止とならないか心配だ) . . . 本文を読む
世界価値観調査(WVS)について続けたい。
現下の新型コロナウィルス禍で、危機対応に当たっている政府・公的部門の決断・意思決定における、いわば「及び腰」ともとれる態度が問題になっている。そこで導入といて、まずこの点について焦点を当てたい。
他国は早々に緊急事態宣言を出し、積極的に強権的措置をもって「スピード感」(それにしても珍妙な言葉だ)ある対応をしている。一方で日本はいまだに「自粛」「自主規 . . . 本文を読む
以下、これまでの記事とは趣向を変え、価値観に関する国際調査の結果を時々ご紹介していきたいと思う。
理由は、ある記事(誌面上)を今後執筆するにあたり、紙幅の都合上、調査結果の図表の参照先とするためである。
しかしそれだけではなく、これらの調査結果は、見れば見るほどきわめて重要な事実を示唆している。そのことをぜひ多くの人に知っていただきたいと思ったのだ。
以下は、統計に関しては全くの素人の仕事にすぎ . . . 本文を読む