(承前)
「忠誠」「無私」「献身」――いずれも戦後意味が反転し、「封建的」と白眼視され、時代錯誤として冷笑の対象にすらなってきた言葉であり、現代日本人にとってはすでに意味を失った実質的な死語にほかならない。そのように「忠義」や「孝行」、「恩」や「報恩」等々、一見してなんと大時代的だろうと思われる言葉が、学問的な研究対象としてごく真面目に論じられている。ここで読者は、そうした言葉にまつわる負の意味 . . . 本文を読む
本書が目指したもの
本書の目的は、例えば次の一文に要約されている。「宗教と近代西欧社会との発展、とくに近代と経済との関係について、マックス・ヴェーバーの偉大な著作に影響された社会学者は、当然、日本の場合にも宗教的要素が含まれるのかどうかを問題にする。大胆にいうと、この問題は、日本の宗教のうちで、何がプロテスタントの倫理と機能的に類似しているのかということである」(三四頁)。本書はこの目的に沿っ . . . 本文を読む
(サングラハ教育・心理研究所会報『サングラハ』から、ブログ筆者による書評記事を転載します。)
本書は、前近代日本の宗教が生み出し、日本の近代化の主たる推進力となった精神的核心を究明する、現代を代表する宗教社会学者による著作である。これは単なる日本論という枠にとどまらない、人類史的視点による近代化論の記念碑的業績といって過言ではない。当の研究対象となっているわが国でこれまで一般に顧みられることの . . . 本文を読む
(承前)
ペリー医師はウォーレン委員会の聴取において、事件直後の記者会見における上述の簡潔明瞭な説明を翻し、「喉の傷が前か後ろのどちらからのものかは明言できない」と語っている。リフトンは、そこに証言の場での委員アレン・ダレスによる露骨な心理的圧迫があったことを指摘している。
※事件の翌年1964年9月、ジョンソン大統領に報告書を提出するウォーレン委員会メンバーたち。分厚い報告書を手に持つジ . . . 本文を読む
ところで、リフトンの著作でとりわけ印象的な記述は、ベスト・エビデンスたる「遺体の公式の検視所見」を最重視する法律関係者との、あたかも神学問答のようなやり取りであろう。普通に考えれば「最有力の証拠」としか言いようがないパークランドの医師たちの証言がなぜこれまで無視されてきたのか、その理由を示しており興味深いので紹介したい。
リフトンは、ウォーレン委員会の有力なスタッフであった弁護士W・リーベラ . . . 本文を読む
(承前)
救命室に居合わせた他の医師も看護師も、この傷に関する観察は例外なく一致している。
チャールズ・カリコ医師は大統領をいちばん最初に見た医者だが、ペリーの到着後に救急の意識回復術を施していた。
UPIがペリー医師の記者会見を伝送した七〇分後の午後四時二〇分に、カリコ医師は彼の報告の草稿を書き上げていた。その中で、彼は喉の傷を銃弾の入口だとして次のように表現した。
…首前面の下から . . . 本文を読む
(承前)
この疑惑はデヴィット・リフトン著『ベスト・エヴィデンス』(邦訳彩流社、原著1981年)で詳細に論じられている。
同書はいわゆる陰謀論にありがちないかがわしさ・先入観による決めつけ・想像の飛躍などを排除し、検証しうる限りの事実にもとづいて、「最有力の証拠(ベスト・エビデンス)」たる大統領の遺体を巡る疑惑を追及している。公式説をその核心のところから突き崩した労作である。
邦訳は上下二 . . . 本文を読む
来る4/15放送の「日曜ゴールデンの池上ワールド 池上彰の現代史を歩く」という番組(テレビ東京系列)の予告を、テレビでやっていたのをたまたま見かけた。
1963年のケネディ大統領暗殺事件を現代史として読み返す試みとのことで、何故か最近テレビでこの事件を扱うのは池上氏である。
この番組は池上氏がダラス、特に事件現場のディーリープラザを現地取材するもので、内容に「ケネディは誰に暗殺された?」と . . . 本文を読む
このコナリー知事の被弾の直後、227コマ目で一瞬映像がブレたあとで、今度は大統領がのけぞりながら両腕を肩のレベルまで水平に高くあげ、激しく苦悶し始める様子が映し出されている。
※第226コマ目
※第227コマ目
※第228コマ目
オズワルドの第二の銃弾による「一発説」では、大統領はその姿が交通標識に隠れている間に被弾し、背中側から頚部を貫通しコナリー知事をも貫通した、と . . . 本文を読む
ところで、映画「JFK」では、ギャリソン検事が裁判の場でザプルーダー・フィルムを映写しつつ、知事の被弾は以上の時点よりもかなり後、第238コマ目だと力説していた。
その理由として、このコマの時点で知事の頬が胸部被弾により膨らみ、さらに手首に被弾したにもかかわらず、その直前までカウボーイハットを手に保持し続けていたことを挙げている。
※第230コマ目
※第238コマ目
たしかに、これ . . . 本文を読む
今度は、大統領の前の席に座っていたコナリー・テキサス州知事の被弾に目を向けてみたい。
こうして、大統領の被弾から僅かに遅れて、知事の右胸部を後上方からの弾丸が貫通した。
次に掲げる所見図の、背部射入口と腹部射出口の高さの差、またワイシャツとまくりあげられたジャケットの貫通孔の高さの差も、背部から比較的大きな角度で下に向かって銃弾が知事の体を貫いたことを示している。
※コナリー知事の負傷 . . . 本文を読む