〈私〉はどこにいるか?

私たちは宇宙にいる――それこそがほんとうの「リアル」のはずである。この世界には意味も秩序も希望もあるのだ。

会報『サングラハ』第156号(2017年11月)について(転載)

2017-12-02 | サングラハ教育・心理研究所関係
 サングラハ教育・心理研究所の会報誌『サングラハ』の11月発行分156号が発行されたので、同研究所HPから転載する。
 とくに、これまで公式ブログから転載している岡野守也氏の『如来蔵経』の講義録は重要であり、仏教関係者や仏教に興味のある方は当然のこと、神仏儒習合の伝統の流れにある現代の私たちにもぜひ共有されるようになってほしい内容である。人間という存在は、どれほど汚く愚かに見えようと、可能性として驚異的なものを秘めていることを、すでに二千年近く前に瞑想的に洞察していた大乗仏教の本質というのはすごいものがある。私たちはその精神的伝統の(いかに不肖であっても)末裔なのである。
 なお、当会報は筆者が編集しており、毎回内容の紹介と思い編集後記を書いている。そこから内容の一端を知っていただき、ぜひご一読いただければ幸いである。

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 会報『サングラハ』156号の発行についてお知らせします。
 各会員には、近日到着予定です。
 会員以外の一般の方で購読希望の場合は、当HPフォームメールまで号数・冊数を記載しご注文ください。
*単独の号のみのご注文もお受けしています。
*PDF版は次のリンクの販売ページからお求めになれます。

 【会報『サングラハ』販売ページへ】

『サングラハ』第156号

2017年11月25日発行、全44頁、A5判、700円

目 次
 ■ 近況と所感 ……2
 ■『如来蔵経』を読む (3) ……岡野守也… 4
 ■ 唯識と論理療法を融合的に学ぶ (6) ……岡野守也… 12
 ■ 新・ゴータマ・ブッダのことば (8) ……羽矢辰夫… 21
 ■ 渡辺京二と「近代」の超越 (6) ……高世仁…… 23
 ■ 書評『アメリカ 未完のプロジェクト――20世紀アメリカにおける左翼思想』 (1) ……増田満…… 28
 ■ 書評『徳川時代の宗教』(R・N・ベラー) (5) ……三谷真介… 33
 ■ 講座・研究所案内 …… 42
 ■ 私の名詩選 (55) 『自註鹿鳴集』秋晩秋と冬の歌ほか五首 …… 44



【編集後記】
 無常迅速、今年最後の『サングラハ』です。
 主幹の『如来蔵経』講義は、如来蔵・仏性について「ハチの巣と蜜」と「籾殻や糠と米」のわかりやすい譬えが語られた箇所です。危険であったり汚かったりする私たちの煩悩・無明の中にこそ、実は仏の本性が現に存在することが実感され、同時にそこからなぜ唯識が生じたのかがわかります。
 唯識と論理療法講義は、今回論理療法が教えてくれる三つの非合理的な信念が扱われています。実際、凶悪犯罪から日常の私たちの悩みまで、ひどさの度合いはあるにせよ、確かに根源を辿ればこの三つに行きつくように見えます。次回の「論破」が特に重要となると思われます。
 羽矢先生のブッダのことばは、よく知られている仏伝と異なる、非常にあっさりとしたブッダの修行と覚りについて、高世さんは宮本常一の見た日本の民俗世界が渡辺京二氏が描き出した「逝きし世」と一致していることについて、増田さんはローティによるアメリカ左翼思想の書に、米国の失われた国家理想を読み取る試みについて、担当はベラー書評の前提としての母語と民族性の問題について、それぞれ論じています。
 (編集担当)

 

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