アルトジェンズ写真に見える事実②:「銃声」への無反応
アルトジェンズ写真から確認できる第二の事実とは、これまで筆者の見た範囲では、暗殺事件に関するどの記事にも取り上げられていないものであり、あたかも盲点には入っていたかのようである。
かくいう筆者も、第一の事実については考えている過程で気づいたに過ぎない。しかし気づいてみれば、これはオズワルド単独犯行説を覆す最も基本的な事実であることが見えてくる。
問題の『ウォーレン委員会報告書』による事件の公式見解では、オズワルドは教科書倉庫ビル6階の南東角(画像左上側のビルの向かって右端)、通称「狙撃手の巣(sniper's nest)」の窓から大統領を狙撃したとされている。
*まさに暗殺現場のエルム通りに入ろうとする大統領のリムジン。矢印が教科書倉庫ビル6階の、オズワルドが狙撃したとされる窓であり、少し開けたこの窓から彼がライフル銃で銃撃したのが事件のすべてだと、公式見解では結論されている。
そして3発射撃したうち初弾は外れ、2発目が頸部を後方から貫通した結果、この写真にあるように大統領が喉元に腕を上げ苦悶した銃創に至る。そしてリムジンがしばらく進んだあとの、次の3発目が、ザプルーダーによる8ミリ映像での衝撃的な ”Back and to the Left”(映画『JFK』)の頭部への一撃である。
長めに見てもわずか9秒の間に、通販の中古イタリア製ライフルによって、手動で排莢・装填をしつつ、離れていく車上の移動目標に、3発中2発の命中精度を発揮、うち一発は2人の人物をまとめて貫通し、最も難しい最後の一発がヘッドショットとなっている。
映画『フルメタルジャケット』では、リー・アーメイが怪演した訓練教官に
80ヤード(約76メートル)
80ヤード離れて、動く標的を撃った
イタリア製の古いライフルで3発、
6秒間で、2発命中、1発が頭部
やつらは どこで 狙撃を覚えたと思う?
海兵隊である! すごい!
80ヤード離れて、動く標的を撃った
イタリア製の古いライフルで3発、
6秒間で、2発命中、1発が頭部
やつらは どこで 狙撃を覚えたと思う?
海兵隊である! すごい!
と自国の大統領暗殺を語らせているが、実際、驚異的な技量と言うほかない。
この射撃が、後年の調査報道で「決して不可能ではなかった」とされているのを度々見かけるが、言うまでもなくそれは「ありえないわけではない」にすぎない。にもかかわらず「だから事実だったのだ」と強弁されているのは、いかにも奇妙に見える。これはそのほんの一例であり、奇跡的確率のできごとが、この事件ではいくつも連続しているのである。
ともかく公式見解によれば、このアルトジェンズが写し取ったのは、オズワルドが2発目の銃弾を放ったその直後の場面である。これは、現場一帯に大きく鳴り響いた(少なくとも)二発の銃声の直後だということになる。
にもかかわらず、写真の人々が銃声に反応しているようには全く見えない。そして銃声の発生源から離れた一群の人々だけが、これまで述べたとおりまるで何かに気を取られたように別の方向に一斉に目をやっているのである。
このことは一体何を意味しているのだろうか?
*拡大画像はこちら
ビルの1フロアの高さを約4mとすれば、オズワルドが銃を構えていたという6階フロアは5階分の高さにあり、ビルの土台部分を加えても、床近くに造られた低い窓から構えたライフルは、地面までおよそ20~25メートルの位置にあったことなる。
写真では遠近感が掴みにくいが、円で囲んだのは、教科書倉庫ビルから最も近い、入口やその前の辺りにいる人びとである。銃口からの距離はおよそ25~40メートルといったところであろう。彼らはそのごく近い距離から二発の銃声を聞いているはずなのだ。
ここで「群衆の真上で、大きな銃声と同時に、音速をはるかに超えるライフル弾が放たれる」のがいかなることかを検討する必要がある。
この無反応ぶりは、あとでザプルーダーの映像をコマごとに見ていくように、教科書倉庫ビル真下と比較して銃口からはるかに遠距離となる3発目の被弾地点あたり、前述の芝生の斜面(グラッシーノール)周辺にいる人々が強い反応を示しているのと、まるで対照的である。
*ザプルーダーフィルム352コマ目。大統領の頭部に3発目とされる銃弾が命中した後、教科書倉庫から100メートル以上離れた地点で、何かを避けるように倒れ込む男性が映っている。
*413コマ目。フィルムの終末あたり、さらに離れた鉄道橋の橋脚近くの地点で、身を低くして走って逃げようとしている二人の男性が映っている。
これらの反応は、公式説を前提にすると不可解というほかない。そもそも教科書倉庫ビルからの射撃だけなのだとすれば、銃口直下ではなく、なぜずっと離れた位置にいる人物にこうした強い反応が起こるのか。
なお、これは教科書倉庫ビルから飛来する銃弾への反応ではありえない。オズワルドが放った銃弾は、1発目は跳弾し別のほうに向かい、2発目は大統領と州知事を貫通し車内にとどまり、3発目は大統領の頭に大きな損傷を与え、やはり車内にとどまったとされているからだ。
公式見解に従えば、彼らがこうした強い反応を示した理由は、オズワルドの射撃による銃声以外には考えられない。つまり、離れた場所で生じているこれらの反応は、じつはまるで説明がつかないのである。
後述するように、これらは間違いなく別の位置からの銃撃への直接的反応である。
見方を変えれば、近い距離からの発砲とは、これくらい周囲の人間に脅威を与えるものであることが理解できる。
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