愛媛の伝承文化

大本敬久。民俗学・日本文化論。災害史・災害伝承。地域と文化、人間と社会。愛媛、四国を出発点に考えています。

プロテスタンティズム

2009年02月12日 | 日々雑記
雑誌や書店に並ぶ書籍を見ていると、最近、新自由主義経済に対する批判が目に付く。強欲な資本主義が行き過ぎた側面はあったのだと思うが、それをすべて断罪するわけにもいかない。ここで想起したのは学生時代に読んだ『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』。マックス・ウェーバーだ。19世紀のヨーロッパ経済の状況を分析したウェーバーは、資本主義経済を支えているのはプロテスタントであり、プロテスタンティズムの勤勉に働く精神の存在に注目する。これを読んだとき、日本社会においても勤勉性は盛んに言われてきたことであり、ウェーバーの理論に頷くことは多かった。今、経済学でウェーバーがどのような位置づけになっているのかは知らないが、この本の主旨は、「勤勉」の根源は利益・利潤最優先から来ているものではなく、神の救済を求めんがために禁欲的に労働に取り組む、それが資本主義の形成につながっている、ということだったと理解している。日本社会でウェーバーを当てはめるとすると、神を「公」と置き換えてもいいと考える。私が勤務している博物館も昨今の「官から民へ」の流れに沿って、指定管理者制度を導入することになっている。これまで、あまり経済と博物館の関係性を考えることは少なかったが、「公」の施設において指定管理者制度が成功するヒントはウェーバーにあると、勝手ながらに思ってしまった。