愛媛の伝承文化

大本敬久。民俗学・日本文化論。災害史・災害伝承。地域と文化、人間と社会。愛媛、四国を出発点に考えています。

「古代布・太布の技術守る 那賀・伝承会発足30年」

2013年03月18日 | 衣食住
2013/3/17付の徳島新聞の記事

「古代布・太布の技術守る 那賀・伝承会発足30年」

http://www.topics.or.jp/localNews/news/2013/03/2013_13634987148254.html


徳島県那賀町木頭の太布(たふ)。古代布とも称される。その保存、継承に取り組む「阿波太布製造技法保存伝承会」。木頭でも一時途絶えたというが、昭和58年に93歳で亡くなった県無形文化財技術保持者の岡田ヲチヨらが復活させ、昭和59年に伝承会を結成。

その活動が30年目となったという。

楮の皮を原料とする太布。愛媛県内でも昭和20年代前半までは織っていたという聞き書きはある。四国中央市山間部である。製品も若干ではあるが残っている。しかし、繊維をとる技術、織る技術は途絶えた。

この徳島新聞の記事によると、

「発足時に約20人いた会員は8人に。明治期に木頭地区全体で年間2千反(幅35センチで長さ2万メートル)に上った生産量は、一時は2千分の1の1反(長さ10メートル)まで落ち込んだ。町村合併で補助金も半分以下に削減された。(中略)2010年からは徳島市地場産業振興協会と連携するなどして都市部へのPRにも努めている。太布の魅力に引かれて徳島市内から太布庵に通う人が現れたり、県外から注文があったりして、現在では生産量は3反まで持ち直している。」

30年前に保存継承を目的とした活動が始まっていたことは貴重である。愛媛で太布文化の「復活」は可能なのだろうか。おそらく不可能に近い。しかし、もしかしたらまだ織っていたのを見たことがあるといったような聞き書きは可能かもしれない。

時間をとって、一度、新宮や富郷など四国中央市山間部で年配の方々に話を聞いてみることにしよう。そういう思いをかきたててくれる記事でした。
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