伊勢志摩サミットに訪れたカナダのトルドー首相夫妻は鳥羽市のホテル、ジアースに宿泊したと言われます。このホテルはサン浦島の経営者が社長だが、これと同系列のホテルに最近、違法残業是正の指導が労基署から行われた。残業を認める36協定が無かったのである。
この地のホテルは、従業員の低賃金と長時間労働で営業が成り立っているが、時間外労働を認める36協定がないことそのものが、労働環境がいかに遅れているかを示している。
過労死ラインを超える、定額、残業させ放題の給与制度
問題となったホテルは、昨年調理人を雇用したが、入社、数週間後に送られた労働条件通知書の給与欄には、基本給20万円、職務手当13万円とある。しかし、職務手当は「残業・深夜手当とみなします」と但し書きがついている。
この残業・深夜手当とみなす13万円の職務手当に相当する時間外労働の時間は何時間だろうか。会社が労基署に説明した時給は約1100円だから、残業賃金は時間1375円となり、95時間余の残業に相当する。95時間残業させても13万円の職務手当の支払いで済むことになる。厚労省は、時間外労働80時間を過労死ラインとしているから、過労死ラインを大きく超える残業を毎月押し付けているのである。従業員代表と時間外労働の協定を必要とすることを無視して違法の長時間労働をさせる給与制度になっている。