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山本晴美 ここで愛ましょう

歌語りシンガソングライター 山本晴美のブログ

松吉おじちゃん

2013-07-12 11:10:00 | ここで愛ましょう
三月のある朝、松吉おじちゃんからけんちゃんに電話が入りました。
嫌な予感がしたそうです。

「病気になっちまった・・・あと3ヶ月だって・・・。」

松吉おじちゃんはけんちゃんの亡くなったお父さんの兄弟です。
あれから、いつもそばで、けんちゃんを見守っていてくれた人です。
けんちゃんは言葉をなくしました。

そして、いつも応援してくれているおじちゃんがきっと喜んでくれるだろうと、七夕コンサートを企画しました。
はじめての身延町のホールでのコンサート。

フランスに行く少し前にそんな電話をもらったのでした。

7月7日・・・3ヶ月過ぎてしまいます。
あの日からけんちゃんは毎日おじちゃんに電話をしたそうです。

そして、ついに今日。
元気なおじちゃんの笑顔がありました。



松吉おじちゃんが、コンサートのはじめの挨拶をします。
おいじちゃんはディリーストアの店主です。
私の見るおじちゃんはいつも、ディリーの制服。

今日は立派な麻のスーツでした。
かっこいいよ、おじちゃん!!



紹介されて、ステージに上がり、メガネをかけて、原稿を取り出します。
えっと・・・どこのポッケに入れたのか・・・
メガネよし、原稿よし、マイクは・・・

「フーー」

よし!




緊張の中にもうれしいが伝わってきます。
まるで、結婚式の仲人さんのご挨拶のようでした。

みんなの温かな目。
けんちゃんとホールの健さんの顔がゆるみます。
みんなも。             








松吉おじちゃんは、わたしがディリーに行くたびに、「健一を頼むな」というのです。
そして、朝の仕入れの後にけんちゃんの家にごちそうを届けるはなしや、お嫁さんをもらったことなどを報告してくれました・・・レジ横にはポケットアルバムがあり、うれしそうに見せてくれました。

ある時は有線の会社の人に、「どうしたら健一の歌をお店に流せるか?」たまたま居た私に説明を聞くように・・・と指示がきました。
有線会社の方と私は「う~~ん、、、リクエストが・・・」となるのですが、おじちゃんは引き下がりません。

私たちの出した結論は、カセットデッキで流すという、基本中の基本に。
こんな、親身なおじちゃんがかわいくなりました。







ステージの一番最後には、松吉おじちゃんが、手を合わせる姿がありました。

後でおじちゃんは私に言いました。
「健一はみんなに支えられて、がんばれるんだなぁ・・・ありがたいなぁ・・・
苦労の多い子だからなぁ・・・これからもまた、たのむよ。」

ごめんおじちゃん、私は何の役にもたててません。
あのステージはけんちゃんの人柄と実力です。。





まるで、今日までの道のりを見つめるような二人。
おじちゃんの命は時間が限られています。
でも、その時がくるまで、自分のポジションをしっかり持ち、お店に立つ姿に感動しています。
ああ、病気になってしまっても、生きられる時間を宣告をされても、治療を続けながら入院せず、自分の場所で「生きる」という選択があるんだ。

誰にでも寿命はあります。
どう生きるか、、松吉おじちゃんの人生の仕上げの時はかっこいいです!

感慨深いコンサートでした。
松吉おじちゃん、ありがとう。

今日もディリーにパンを買いにいきました。
ディリー通いが続いています。




        Photo makoto・M


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