つぶやき、遊び・仕事・日常

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商売のためなら

2019-09-07 09:16:56 | 日記
商売人のこんな会話を紹介してくれた。
戸田智弘さんの世界の寓話からだ。
もしかしたら、ものの見方がすこしだけ変わるかもしれない。

◆商売人の会話
 昔、江州という国の商人と、他国の商人が二人で一緒に碓氷の峠道を登っていた。
 その日は、焼けつくような夏の暑さだ。
 重い商品を山ほど背負って、険しい坂を上るのは本当に苦しいことだった。
 途中に木陰があったので、二人で並んで荷物を下ろして休むことにした。

 他国の商人が汗を拭きながらこう嘆いた。
 本当にこの山がもう少し低いといいんですがね。世渡りの稼業に楽なことはないことは分かってるつもりです。
 だけど、こうも険しい坂を上るんでは、いっそ行商をやめて帰ってしまいたくなりますよ。

 これを聞いた江州の商人は、にっこりと笑って、こう言った。
 同じ坂を、同じくらいの荷物を背負って登るんです。あなたがつらいのも、私がつらいのも同じです。
 このとおり、息も弾めば、汗も流れます。
 だけど、私はこの碓氷の山が、もっともっと、いや十倍も高くなってくれれば有難いと思います。
 そうすれば、たいていの商人はみな、中途で帰るでしょう。
 その時こそ、私は一人で山の彼方へ行って、思うままに商売をしてみたいと思います。
 ですから、碓氷の山がまだまだ高くないのが、私には残念ですよ。

 どんな仕事にも、その仕事特有の苦労があるものだ。
 だからと言って、ただ苦労に耐えよではなかなかすとんと腹には落ちないものだ。
 この話のように、自分の損得勘定で測ってみるのもいいかもしれない。
 この苦労は、ライバルをふるいにかけるためのものだと。
 さあ、また自分に少しだけ喝を入れて、遅番の勤務に向かうこととしますかね。