紙風船 黒田三郎
落ちて来たら
今度は
もっと高く
もっともっと高く
何度でも
打ち上げよう
美しい
願い事のように
昨日の雨風が陽光がやわらかい朝。たまっていた洗濯をした。
洗濯物を干そうとベランダに出る。手すりに桜の花びらが一片張り付いていた。隣近所には桜の木はない。不可思議。春の嵐もいいものだ。ありがたいことです。
破壊と再構築を繰り返し身体は少しずつ・・・老いてゆく。
春の雨。やや肌寒し。桜はちってゆくかな。
そうすけはケチである。ケチは美徳ではない。
ケチであるということは安心なのだ。安心するためにマネーを使わない。
物を消費しない。サービスを受けない。
やがて、人のためにマネーが使えない。
そして、自分に必要なことができなくなっていった。
貧すれば鈍する。鈍すれば不安になる。
貧しき者のスパイラル。
Sはいったい何者であるか?
この問いに答える術を持っていない。
それは、何者であろうとなりたいか?
この問いに答える力がない。
わが身の穴という穴から自意識があふれ出してくる。周りが見えない。
雨の降る宵。
どうしようもない私が生きている。私は、ここにいる現在をもって物語を作り上げる。
現在から逃げようとして過去と合体を試み、私は失敗した。物語に引っ張り戻され、現在に捨てられる。
誰かがドアをノックした。