不動産開業は
定年後が、ぴったりです
70周年ブランドのコメ兵 new
が直面した2つの危機
連載 4
人間味ある接客方法に
接客方針も変更した。「 10年以
降に大きく変化したのは、誰もが
スマートフォンを持つようになっ
たこと。これまでプロが提供でき
る価値は、商品に対する“ お客さ
まが知らない情報を持っているこ
と” でした。ですが今はお客さま
は知識が豊富になったし、手に持
っているスマホですぐに情報を得
ることができる。機械からは提供
できない、人間味のある接客や商
品の提案が必要だと考えました」
。こうした方針変換が奏功し、落
ち込んだ業績は少しずつ回復した
。 11 年の東日本大震災震災後は
自粛ムードもあり伸び悩んだが、
「モノを大事にする」という消費
者心理が強くなる側面もあった。
13年に社長に就任。16年には訪
日中国人観光客による「爆買い」
も追い風にして、連結売上高43
1億円と過去最高を更新した。
(次回に続く)
70周年ブランドのコメ兵
が直面した2つの危機
連載 3
売り上げが2割近く下がる
「リーマン直後の2年間は、本当
に危機的状況でした。322億円だ
った売上高が、289億円、238億
円と下がっていく。それまでのコ
メ兵は名古屋と大阪の売り上げが
支えていてくれたから、東京の
店舗展開に投資ができていた。と
ころが名古屋や大阪まで危なくな
ったんです」当時東京・新宿店で
店長を務めていた石原社長は、名
古屋本社に戻り、立て直しに奮闘
した。まずは組織を「全部作り直
しました」。各地域へ順次出店を
進めていたコメ兵は、名古屋本社
と東京・大阪での各店舗との情報
共有や意思決定に課題があった。
そこで店長への権限移譲を進め、
店舗における判断のスピードを上
げた。さらに12年には「商品セン
ター」を新設。東京と名古屋の店
舗がそれぞれ行っていた買い取り
後の商品の検品や新品発注などを
一元化し、売れ行きがよい店舗へ
と商品を送るシステムを確立した。
(次回に続く)
70周年ブランドのコメ兵
が直面した2つの危機
連載 2
リーマンショック
という“第1の危機”
石原社長は “現場主義”で知られて
いる。2 代目社長だった父の急逝
を機に、家電量販店からコメ兵に
一般社員として転職。名古屋や大
阪を中心に展開していた同社の東
京進出を推し進めた。2000 年代
初めのコメ兵は「なんでも買い取
る総合リユースショップ」から「
ブランドのコメ兵」へと変化して
いくさなかだった。社長に就任す
る前の卓児氏は、現場に立ちなが
らコメ兵への認知の変化を肌で感
じていたという。店名を「コメ兵
」から「KOMEHYO」に変更し、
内装の雰囲気も「リサイクルショ
ップ」から「リユースセレクトス
トア」へ。“庶民の量販店”から、
“百貨店を利用する消費者が過ご
しやすいセレクトストア”と変わ
っていった。こうしたブランド
特化の方針転換が功を奏し、07
年には売上高 300 億円を突破。
しかしそこに大きな壁が立ちふ
さがる。08年のリーマンショッ
クだ。
(次回に続く)
70周年ブランドのコメ兵
が直面した2つの危機
新連載 1
2017年に70周年を迎えたコメ兵
。1947 年に名古屋市の大須に生
まれた 5坪の古着屋は、今や全国
の一等地に店を構え、中古ブラン
ド品リユースでトップを走ってい
る。70 年代からラジオやテレビ
の CMで発信した「いらんものは
米兵(こめひょう)へ売ろう」と
いうフレーズにより、認知度が急
上昇。80 年代には同業の中でも
いち早くブランド品に目を付けて
成長してきた。しかし 70 年の歩
みの中には、会社を揺るがす大き
な2つの危機があった。1つは「リ
ーマンショック」、もう 1つが「
爆買いブームの終焉」だ。危機的
状況にコメ兵はどのように立ち向
かい、どう乗り越えたのか。コメ
兵 4代目社長の石原卓児氏に聞い
た。
青柳美帆子 ITmedia
(今回新連載です)
熱海温泉の大行列 new
熱海プリンの生まれたワケ
最終回 7
いち早くブランド品を構築する
また、既存の立地や方針では業績
が上がりにくくなっている地域の
菓子店が、新業態として観光土産
物に進出するケースも増えている
と花岡さんは話す。「地元のもの
をお土産として買いたい」という
ニーズと、これまでとは違う層に
商品を売っていきたい店の狙いが
重なり、新たな単品専門店が生ま
れるというわけだ。こうした傾向
は、20年に向けて継続、あるいは
より強まっていくという。いずれ
は専門業態同士でのマーケットの
奪い合いが発生する可能性はある
。花岡さんが「『ご当地×カテゴ
リー』にはある程度限界がありま
す。例えば熱海プリンが有名にな
ったあとで、熱海にプリン専門店
ブランドを立ち上げるのは難しく
なるでしょう」と話すように、各
観光地でいち早くブランドを構築
できる店舗が強くなっていくだろ
う。
(今回最終回有り難うございます)
熱海温泉の大行列
熱海プリンの生まれたワケ
連載 6
観光地×菓子のマーケットは
どうなるか
単品専門店で商品を購入する消費
者のニーズとはどのようなものか
。花岡さんは「観光地にはそう何
度も足を運ばないので、事前に S
NS などで調べておき、『この土
地のこの商品を食べよう』と目的
を持って来店する傾向があります
」と説明する。単品専門店は、さ
まざまな商品を扱っている店に比
べ、1 つの商品に対してこだわり
があるように見える。そのため、
単品専門店の商品を手に取る観光
客が増える――ということが言え
そうだ。観光地の単品専門店増加
の背景には、業界の変化もある。
16年に食品表示法が改訂され、2
0年からは本格的に「製造者」と
「販売者」の両方をパッケージに
記載しなければいけなくなる。そ
うなると、パッケージだけ変えて
中身は全国で同じである菓子(業
界では「レール品」と呼ばれてい
る)が今ほど売れなくなる。観光
土産物市場の問屋・卸は、「地場
のお土産を作らなければいけない
」という問題意識を抱いていると
いう。
(次回最終回お楽しみに)
熱海温泉の大行列
熱海プリンの生まれたワケ
連載 5
単品・持ち帰り・食べ歩き
実は熱海プリンのように、観光地
にオープンした「単品専門店」が
ヒットするケースが増えている。
「観光地の名物というと、温泉まん
じゅうのような『その場で食べる
』用、もしくは『持ち帰り専門』
のどちらかしか満たせないものが
ほとんどでした。そこで、プリン
やバウムクーヘンのようにその場
で食べてもおいしく、持ち帰って
も日持ちがする“ハイブリッド”な
商品が注目されています。どちら
の用途でも購入されるため、購入
のニーズが広い商品の専門店が増
えています」例えばバウムクーヘ
ンなら、日光の「バウムクーヘン
工房 はちや」や沖縄の「ふくぎや
」。プリンなら鎌倉の「マーロウ
」や奈良の「大仏プリン」――観
光地で単品のブランドを確立させ
た専門店がある。こうした成功を
見て、他の観光地で参入する例が
増えつつあるようだ。プリンやバ
ウムクーヘンは製造が比較的簡単
で、パートやアルバイトでも高品
質のものを提供できるため、参入
ハードルもそれほど高くない。
(次回に続く)
熱海温泉の大行列
熱海プリンの生まれたワケ
連載 4
食べ歩きとお土産
「熱海にお越しになられた方々の
思い出づくりの 1つとしてお役に
立ちたいです」と語る熱海プリン
の担当者。店舗の周りには、熱海
プリンをお土産として持ち帰る人
や、写真を撮りながら食べ歩きを
する人の姿があった。新たな「熱
海の名産品」として定着する日も
近そうだ。熱海プリンはなぜ成功
したのか。船井総合研究所のフー
ドSPAグループグループマネージ
ャー 上席コンサルタントの花岡
良輔さんは、「一番大きいのは熱
海の商店街にプリン専門店がなか
ったこと。食べ歩きできるスイー
ツは温泉まんじゅうやソフトクリ
ームなど、専門店だと磯揚げの『
まる天』くらいしかありませんで
した。そこに、熱海温泉にマッチ
したコンセプトで、食べ歩き&お
土産どちらの用途でもできるプリ
ン専門店ができたことで、人気が
出たのではないでしょうか」と分
析する。
(次回に続く)
熱海温泉の大行列
熱海プリンの生まれたワケ
連載 3
昭和レトロのデザイン
熱海は有名な観光地だが、実は海
産物などを除けば地元で生産され
ているものはそれほど多くはない
。「熱海ならではの商品を、熱海
で作ることはできないか」――そ
う考えていった結果、温泉を使っ
た「温泉玉子プリン」が生まれた
という。デザインにもこだわった
。熱海の商店街の雰囲気に合わせ
、店舗や商品を「今はあまり見ら
れなくなった牛乳屋」をイメージ
した昭和レトロなデザインにした
という。そのレトロ感がSNS映え
すると話題になり、Instagramの
「#熱海プリン」の投稿数は 3 月
現在で約 4400 件と伸びている。
当初から「SNSを通して拡散する
ことを意識して、店舗デザインと
商品企画を行いました」といい、
狙いがうまくハマっている。
(次回に続く)
熱海温泉の大行列
熱海プリンの生まれたワケ
連載 2
熱海にプリン専門店が生まれたワケ
なぜ熱海にプリン専門店が生まれ
たのか。「熱海プリンを出店した
のは、商店街の片隅で閉店してい
た場所でした。そこに昔のような
にぎわいを取り戻したいと思い、
新しい事業を行おうと考えました
。6 坪の物件ではできることが限
られており、熱海温泉を使った企
画にしました」── 熱海プリンの
広報担当者はこう話す。運営して
いるのは、観光地の土産商品の企
画・開発・販売などを行う熱海の
会社フジノネだ。「桜えびの舞 」
「茶都利」など静岡県の土産用商
品を数多く企画しているが、菓子
専門店の運営経験は初めて。ただ
しグループ会社は道の駅や物販売
店・農産物直売所の運営、飲食店
運営などを行っており、そのノウ
ハウを結集して熱海プリンの店舗
を作り上げた。
(次回に続く)
熱海温泉の大行列
熱海プリンの生まれたワケ
新連載 1
開店3日で3500個売る
温泉の街・熱海(静岡県)で、プリ
ンが売れている。JR熱海駅前の平和
通り商店街を抜けると、わずか6坪(
約20平方メートル)ほどの小さな店
に、長蛇の列。2017年7月にオープ
ンしたばかりのプリン専門店「熱海
プリン」だ。牛乳瓶のようなレトロ
な容器の中に入れられた、やわらか
いプリン。パッケージにはトボけた
表情のカバがあしらわれている。ラ
インアップはスタンダードなプリン
のほか、イチゴやチョコの季節限定
商品、“風呂”にちなんだフロマージ
ュプリン、温泉まんじゅうや温泉卵
を上に乗せた変わり種もある。お土
産としてだけではなく、食べ歩き需
要も大きい。17年7月のオープン時
には、3日で3500個を売り上げた。
今はその数字を大きく上回る好調ぶ
りで、2 月は売り上げ・販売個数と
もに過去最高を更新。3 月は2 月を
超えそうな勢いだ。購入者は若年層
が多いが、ネクタイを締めたサラリ
ーマンやシルバー層にも受けている
。「熱海の商店街で一番並ぶ店」と
の声も挙がっている。
青柳美帆子 ITmedia
(今回新連載です)
データから分析有料会員は new
パリーグの試合をどうみているか
最終回 13
データを分析して
相性のいいコンテンツを模索
じゃあ、パ・リーグに興味をもって
、有料会員になってもらうためには
どうすればいいのか。「こうすれば
増える」といったロジックは、いま
のところありません。特効薬はない
かもしれませんが、ホームランを集
めた動画はどうか、ファインプレー
を集めた動画はどうか、キャンペー
ンはどうか、人気キャラを起用する
のはどうか。といった感じで、課金
という壁を突破するために、さまざ
まなことを試していかなければいけ
ません。とはいえ、なんでもかんで
もいいといった話ではなくて、デー
タを分析して、相性のいいコンテン
ツを模索していかなければいけませ
ん。
土肥: 日本でもお金を払って動画
を見る人が増えてきましたが、米国
と比べるとまだまだ。ということは
、市場とともに成長していかなけれ
ばいけないということですね。その
ためには、さまざまなことを試して
いくと。本日はありがとうございま
した。
(今回最終回有り難うございま)
データから分析有料会員は
パリーグの試合をどうみているか
連載 12
壁をどのように突破するのか
土肥: パ・リーグTVは会員数を
伸ばしていますが、「7 万人」と
いう数字は「まだまだ」という見
方もできますよね。
荒井: はい。先ほど会員を増や
すためにSNSを使って、試合のハ
イライト映像などを配信している
といった話をしました。カップイ
ンの動画もかなり話題になりまし
たが、それを見てどのくらい人が
会員になってくれたのか。データ
を見ると、まだまだなんですよね
。米国の場合、ケーブルテレビが
普及しているので、お金を払って
映像を見る文化がある。マーケッ
トが成熟しているので、ネット配
信でもそれなりに見込めるかもし
れませんが、日本は違う。その昔
、野球は無料で見るのが当たり前
だったので、「わざわざお金を払
ってまで……しかもネットで……
」という人がまだまだ多い。
(次回最終回お楽しみに)
データから分析有料会員は
パリーグの試合をどうみているか
連載 11
音声だけのサービス可能
荒井: 先ほども申し上げました
が、北海道、仙台、福岡に行って
、現地のテレビを見ていると、地
元チームの情報がよく放送されて
います。試合中継だけでなく、ニ
ュースでも、情報番組でも。一方
、都市部では、地上波で野球中継
はあまりないですよね。というこ
ともあって、試合の翌日、お昼ご
飯を食べながら、自分が応援して
いるチームの試合を見ているので
はないでしょうか。地上波で野球
中継をしているところは、午後 8
時 56 分ごろになると、パ・リー
グTVの視聴者数が急に増えるんで
すよね。こうしたデータを見ると
「放送が終わった」ことが分かる
。中継が終わっても、試合がまだ
続いていたら、「ネットで見よう
」という人が多いのでしょう。
土肥: 以前だったら、テレビ中
継が終わったら、ラジオで聴く人
が多かったですよね。
荒井: ネットでも「ながら見」
をする人が多い。ということは、
映像を流さず、ラジオのように音
声だけのサービスもアリかもしれ
ません。
(次回に続く)
データから分析有料会員は
パリーグの試合をどうみているか
連載 10
試合の翌日午後1~2時に埼玉県
の主婦が良く見ている
では、土日はどのようにして見て
いるのか。外出先でスマホでちょ
っと見たり、家でゴロゴロしなが
らスマホで見たり、そうした人が
多いことが分かってきました。こ
うした傾向から私たちができるこ
とは何か。この時間帯はスマホで
見ている人が多いので、このよう
なプロモーションができるのでは
ないか、この時間帯は PC で見て
いる人が多いので、このようなキ
ャンペーンができるのではないか
、といった形でマーケティングに
活用していかなければいけません
。
土肥: 過去の試合も見ることが
できるんですよね。データを見て
、何か傾向がありますか?
荒井: 試合の翌日、午後 1~2
時にかけて、埼玉県に住んでいる
主婦がよく見ていることが分かっ
てきました。
土肥: な、なんですか、それ。
(次回に続く)
データから分析有料会員は
パリーグの試合をどうみているか
連載 9
データからこんなことが
分かってきた
土肥: 試合を中継していると、
さまざまなデータがたまってきて
いるのでは?
荒井: スマホで見ている場合、
視聴時間は短いのですが、視聴回
数は多い。ちょっと見て切って、
またちょっと見てという人が多い
のでしょう。一方、PC で見てい
る場合、視聴時間は長いのですが
、視聴回数は少ない。一度見ると
、最後まで見る傾向があります。
また、仕事中に見ている人が多い
ことも分かってきました。会社の
机で、野球の試合をどのようにし
て見ているのか。ブラウザを小さ
くして、左の下のほうで映像を流
す。そして、右の上のほうにExc
elやPowerPoint の資料を置く。
背後から上司がやって来たら、左
下の映像をちゃちゃっと消してい
るのではないでしょうか(笑)。
なぜこうしたことが分かってきた
のかというと、平日に見ているの
か、休日に見ているのかを調べた
ところ、平日だったんですよね。
しかも平日の夜、30~40 代の男
性が PCで見ていることを考える
と、仕事中に見ているのではない
かと。
(次回に続く)
データから分析有料会員は
パリーグの試合をどうみているか
連載 8
慣れすぎが怖い
一方で、私たちは日本のプロ野球
を見慣れていることもあって、面
白いコンテンツを見落としている
ことがあるんですよね。日本ハム
ファイターズの多田野選手(現在
は引退)というピッチャーは、超
スローボールを投げるときがあり
ました。ふわーっと、山なりに。}
この映像を見た、メジャーリーグ
のメディアが「なんだこれは!?」
といった感じで、紹介してくれま
した。その動画は海外の人も見て
いるので、爆発的に再生されまし
た。「テレビではなく、ネットで
配信するパ・リーグ TVだからで
きる」といった企画を考えていま
すが、特定の選手や球団を陥れる
ようなことはしません。多くの人
が楽しんでくれる、ひとつの方法
として継続することができればと
考えています。
(次回に続く)