うどんの研究
連載中
小麦粉の熟成学 5/5 new
賞味期限とは、包装された食
品がおいしく味わえる時間の
長さのこと。あまり酸化が進
むと、劣化して味は落ちてし
まう。小麦粉の場合、小麦粉
特有のグルテンの含有率が高
い強力粉で半年、反対に低い
薄力粉で1年くらいが目安と
されている。 賢く使い、お
いしく食べたいものである。
(次回に続く)
小麦粉の熟成学 4/5
例えば、産地のアメリカ大陸
やオーストラリアからタンカ
ーで時間をかけて運ばれる。
この時にじっくり熟成期間を
とり、ちょうどいい具合に日
本へ着くよう調整できる。小
麦粉の製粉工場では空気搬送
が使われるが、この工程でも
空気に触れることになる。
話は飛ぶようだが、実はここ
から小麦粉の「賞味期限」と
いう話がでてくる。
(次回に続く)
小麦粉の熟成学 3/5
この時期の小麦粉は黄色っぽ
く、吸水率があまりよくない。
水を加えて練っても、生地は
べとべとになってしまう。パ
ンやケーキを焼こうにも、う
まく焼けない。 ところが、
1週間もすると、安定した状
態になっていく。空気中の酸
素に触れるせいだ。黄色色素
は薄れ、小麦粉らしく熟成し
ていく。 吸水率は上がり、
練るほどに、水は生地へなじ
んでいく。実はこれも「エイ
ジング」という。 空気に
触れる酸化のプロセスにはい
くつかある。
(次回に続く)
小麦粉の熟成学 2/5
小麦粉も同じような表現をす
ることがある。収穫したての
小麦は、粒の中の酵素の働き
で活発な呼吸作用を繰り返し
ている。小麦粉に加工しても
、変わらない。まだ生きてい
るからだ。この段階を、英語
では“グリーン・フラワー”(g
reen flour =「若い粉」)と
呼ぶ。
(次回に続く)
小麦粉の熟成学 1/5
世界中の食卓の主役、それは
小麦粉だ。約1万年の昔から
人類の命を支え、これからも
主要な食料として貢献してく
れるに違いない。その特性を
一緒に考えていこう。
日本はいま、世界でも例のな
いスピードで高齢社会へ進ん
でいる。ひとが年齢を重ねる
ことを「エイジング」という。
(次回に続く)
シュークリームの命は皮
サクッとした歯応えは、シュ
ークリームならでは。キャベ
ツ(フランス語で「シュー」)
の形をした薄い皮の中にクリ
ームを詰めたおいしい洋菓子
だが、その皮は、小麦粉(薄
力粉)に対しその1.5倍程度
の湯にバターや塩を溶かし、
さらに卵を混ぜて練った生地
がベースになっている。それ
を絞り袋で丸く整形し、焼き
上げる。水が多いのでグルテ
ン形成は抑えられ、ノリ状に
なったでんぷんがかもす風味
は、小麦粉ならではといって
もよいだろう。
(次回に続く)
小麦粉の活用学 5/5
思い切って小麦粉1に対し5
~20倍の水を加え、かき混ぜ
ていこう。これだけ水を使え
ば、サラッとした流動物にな
る。実はこれを加熱していく
と、薄い糊に一変していく。
樹脂に小麦粉を加えてドロド
ロにした糊は、合板(ベニヤ
板)製造の接着剤に使ってい
ると聞けば、驚く人は少なく
ない。 現に日本では昔か
ら、生の漆に小麦粉を混ぜ、
破損した陶磁器や漆器、木工
器の接合に用いてきた。
味もしかりだが、小麦粉の世
界はなかなか奥が深いのであ
る。
(次回に続く)
小麦粉の活用学 4/5
水や卵といった液体を小麦粉
の2倍くらい混ぜてみよう。
トロッとした「バッター」と
呼ばれる「ねり生地」になる。
ケーキを焼き、天ぷらの衣に
ぴったりの軟らかさになる。
たんぱく質含有量の少ない薄
力粉がこれには向いている。
(次回に続く)
小麦粉の活用学 3/5
では、水を増やしていったら
どうなるか。小麦粉(強力粉
)100に対し、水を60~70
混ぜてこねていくと、たんぱ
く質から小麦粉独特のグルテ
ンができ、パン生地になる。
強力粉に比べたんぱく質含有
量がやや少ない中力粉100に
対し30~40の水を混ぜれば、
うどんやラーメンにマッチし
た硬さの生地ができる。
(次回に続く)
小麦粉の活用学 2/5
「ルー」とはそもそもフラン
ス語。「小麦粉をバターで炒
(いた)めたもの」を指す。
カレー粉にバターや小麦粉を
混ぜてフライパンで炒め、
ペースト状にしたもので、
これに野菜や肉などを入れ
て煮れば、パンにもご飯に
も合う子どもの人気料理に
なる。
(次回に続く)
小麦粉の活用学 1/5
食べておいしい小麦粉だが、
水や熱の加減を変えると、い
くつか異なる姿に化け、用途
も広いことは意外に知られて
いない。日本の伝統食そばの
つなぎに小麦粉が活躍してい
ることは以前から知られてい
る。では、カレールーは?
外箱を見てみよう。多くの製
品に原材料のひとつとして「
小麦粉」と表示してあるのに
気づくだろう。
(次回に続く)
あんパンは日本発
日本にパンが入ってきたのは、
種子島に鉄砲の伝来した16世
紀のこと。外国のプレッシャ
ーで開国した明治時代になって
庶民も口にするようになった
が、あまり見向きされなかっ
た。ところが、1872(明治5
)年に木村安兵衛が、あずき
のあんをパンで包んだ「あん
パン」を売り出すや、銀座の
店の前は長い列ができたとい
う。菓子パンの一種で、おや
つ用だが、西洋のものに東洋
の工夫を加味した日本発のあ
んパンは、いまやパリなど海
外でもちょっとした人気とか。
(次回に続く)
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