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原作漫画版『その女、ジルバ』。

2021年03月03日 | 言いたい放題
【文句なしの名作!】

池脇千鶴さん主演のドラマ版がおもしろかったので(個人的にクリスマスパーティー回からは気に入らない描写が目立つが)、先月原作漫画全5巻をまとめ買いしちゃいました!

有間しのぶさんの『その女、ジルバ』。

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買ってよかったな~と読むたびに心の底から思える名作です。

この過去記事(→・原作漫画版『その女、ジルバ』を読んでほしい!)ですでに愛を叫びまくっていますが、あまりにも魅力的な主要キャラ、全てのコマに、言葉に込められた作者さんの愛が素晴らしいの。

「先月で40才になったーー

 何も持たないままとうとうこんな年齢に。

 あたしは老後ゆったり暮らせるんだろうかーー

 一人でなんのアテもなく、1日1日と老いてくだけ。

 こんな人生…

 思ってもみなかった、こんな人生。
 
 やり直すこともとり戻すこともできない

 ーー取りこぼすことばかりなのに。」


主人公・新(あらた)さんのこんなモノローグから始まる物語。

大好きな仕事から“姥捨て”され過酷な肉体労働現場になり、結婚を考えていた彼とも別れ、

「人生の残高がずっとマイナスのまま。」

と悲しみをたたえオープニングでは働いています。

が!!

「応募資格40才以上」

というホステス募集の張り紙を見て、ここで行動しなければ

「自分の人生を嫌いになってしまう。」

と勇気を振り絞ってバー・OLD JACK&ROSEに入店する。

マスターもホステスたちも平均年齢70才以上(最長80才)のお店で人生の大先輩たち、おねーさまたちに褒められ教育されどんどん元気になっていく…という物語。

すでに亡くなっているバーの初代オーナーママ・ジルバさんはじめ、おねーさまホステスたちの苦難の歴史も同時に描かれるので人情ストーリーでありながら重厚な大河ドラマのよう。

大河パート(過去)では男性キャラクターの悲哀もしっかりと描写されています。

1・2巻は希望と幸せ要素が強いですが、3・4・5巻は

「もうやめてくれ…」

と言いたくなるような悲しい歴史もたくさん描写されます。

でもぜったい必要なのよ…3・4・5巻読んでから1・2巻また読むと大先輩たちが今笑っている奇跡をかみしめられる。

まーもう、読んでくださいとしか書けないですよ。

面白すぎるし名作すぎるんだもの。

ストーリーにネタバレしすぎると皆さまの楽しみを奪ってしまうと思うので、特に大好きなキャラさんについてちょっと書いて特に刺さった言葉を書いてみます。

1,2個にしておきますが書ききれないくらい良い言葉だらけ。

気になったら本当に読んでほしい。

試し読みでいいから!

あ、あと個人的には美味しそう~なお料理描写が大好きですね。

OLD JACK&ROSEはレストランとしてもとーっても一流。

全部食べてみたい。

食べるって喜びだよね。

・笛吹新(源氏名:アララ)

素直で働き者、純粋さ善良さを失わない素敵な主人公。

最初からほんっとに魅力的ですが、どんどん素敵に、強くしなやかになっていくのがまぶしい。

「生き方なんて、どこでどう変えたっていいんだ。」(2巻)

「もしも、あたしが今死んでしまったとしたら、あたしとあたしの人生に興味をもってくれる人がいるかなあ。

 その人は、あたしを知って、なんて言うだろう。

 「ちっぽけで可哀相」って言われるかもね」(3巻)

・くじらママ(きら子さん)

ジルバと並ぶもう一人の主人公にして、ジルバ物語の運命の人かもしれない。

彼女が生きて笑ってくれていることが奇跡なのだと全巻読めばわかる。

彼女の耐えた地獄は、実は今も存在しているのだと私は考えてしまうよ…。

美しく圧倒的な華をもつ人が後ろ盾を持っていないとき、どんな地獄に大人が誘うのか…つらい。

『ヴェニスに死す』で有名なビョルンさんもきら子さんと近い地獄を生きたというし。

「アララ…あたくしね…60年間ずっと、誰かにそう言ってほしかった。」(4巻)

「まったく。

 いつまでもてなきゃなんないのかしら」(5巻)

・ジルバ(星ちはま)

優しく温かく、圧倒的な母性愛で多くの人に今なお愛されるジルバママ。

前半ではどこか理想的に人間的でなく描かれるが

「そうじゃない」

ことが強く示唆され、彼女の苦難の物語が現代パートと並行して描かれる。

彼女もまた苦しみ、耐え、それでも生きた命なのだと学ばされたよ。

「こんなものが人生なのか。」(3巻)

「あいつにむしられたお金があれば

 いい食事も薬もあげられたのに!!」(4巻)

・チーママ(真知さん)

ドラマ版では元ホステスにして現在は売れっ子作家さん、ですが原作版ではレギュラーホステスさんです。

和装も似合う知的美人。

スケバンだったってのは同じだけどね。

多くを語らないけれどしっかりと人の心を受け止めてくれるレディーです。

「暴いていいのよアララ。

 死者が遺した形あるものは暴かれるの。

 生きてる者は手を汚すのよ」(4巻)

・エリー(えりこさん)

深窓のご令嬢だったのにアラサーにしてわる~い詐欺師にひっかかり家の全財産を奪われ、両親・使用人・先祖に申し訳なさすぎて家名を捨てた…というなんとも激動の過去を持つエリーさん。

なのに後に詐欺師と再会したときに

「ゆるすべきか…」

と思ってしまうほどどこまでも汚れないというか、無邪気というか。

あるいは強靭な生命力の持ち主なのかね。

でも己の手で決着をつけたのは騙されてから彼女が積み重ねてきた歴史と、大切な仲間たちの愛があってこそ。

意外に彼女も働き者で、私エリーさんもけっこう好きですね。

「ごめんね世間様!

 美女がいなくて寂しかったでしょ!!

 フッ

 活☆」(2巻)

・ナマコ(七子さん)

ジルバママの血のつながらない最愛の娘さん。

しっかり者で優しくて働き者、ジルバの良いところを受け継いだのか元々似ていたのか。

口減らしに捨てられ

「外の方がマシ」

な劣悪な施設にいた過去をもつ。

若い頃のお写真は衝撃的な美しさ。

「母ちゃん!!」(1巻)

・ひなぎくさん(菊子さん)

可愛らしくおっとりしていて優しい、という理想の女性像を地でいくひなぎくさん。

売り方も中身も清純派です。

そんな彼女も、家計のために年齢を偽って働いてたら見初められてしまって売り飛ばされてしまうという苦難の歴史をもつ。

ドラマ版では変えられちゃってたのでぜひ原作で読んでほしいね。

「母が受けとった大金は、私自身の値段だとあとで知った。」(1巻)

・スミレちゃん

新、ミカの親友さん。

1巻の時点で驚きの大変身を遂げますが、もう全巻通して綺麗と可愛いの進化がとまらないシンデレラ・キャラです。

石動さんとの恋物語はとても優しくて美しくて大好きですね。

漫画版はほんっとに花束みたいな恋、宝石みたいな愛よ。

「どっこい

 彼氏ができたとたん、自動的に料理上手になるわけじゃない!!」(3巻)

当たり前だろ、と大笑いした。

・ミカちゃん

新、スミレの親友さん。

彼女も1巻の時点でとっても素敵に大変身します。

包容力のある素敵なおねーさんだよね。

好かれるのもわかります。

不安を抱きながらも希望をもって出身地に帰るという彼女の選ぶ道に励まされる人はたくさんいるんじゃないかな。

「いったんどん底まで落ち込んだからあとは上がるだけ。

 大丈夫…!!

 数え切れないほどこうして一人で立ち上がってきた。

 年の功だよ」(2巻)

…。

気になるセリフがあったら、ぜひ読んでくださいね(しつこい)

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