今の歌声は

ohtaと申します。M!初演の中川晃教さんに感動してこのブログをはじめました。ゆるゆると更新中。よろしくお願いします。

極上の美 永遠の命 〜宝塚 ポーの一族に寄せて〜

2018-04-05 22:10:11 | takarazuka



宝塚花組 ポーの一族 は終わってしまいました。

あの舞台をもう見られないのかと思うととても寂しい。
しかし、その反面見た人の心の中にエドガーが生き続けるには
あの美しく体現された舞台はそのまま封印されるべきなのだとも。

とにかく原作の再現率が素晴らしい舞台でした。
台詞、衣装、セット どれをとっても原作のシーンを思い出すことができる。
原作の雰囲気を壊すことなく表現されていて、脚本、演出の小池先生の拘り、意気込みが
痛いほど感じられたし、明日海りおさんはじめ、花組の皆さんの原作ファンを裏切らない舞台を
という気持ちもひしひしと感じました。

もう、ポスターが出たときからこれは凄いぞと。

この作品がなかなか上演されなかったのは、主人公エドガーが永遠の少年であるという設定が
宝塚の男役の様式から外れている、ということがあると思います。

エドガーを演じた明日海さんは、その美貌と演技力でエドガーそのままでした。
バンパネラになる前の子供時代は純粋な子供らしさ、バンパネラになってからは孤独さ、冷たさ、
厭世観がよく出てて、その美貌と相まってオーラが凄かったです。

ここまでエドガーを表現できる宝塚の男役は明日海さん以外にはいないでしょう。
そしてアラン役の柚香光さんも適役でした。
今の花組だからできた奇跡の舞台だと思うのです。

衣装もギムナジウムの制服から、シーラやジェイン、メリーベルのドレスにいたるまで
原作どおりで感激でした。
台詞も原作どおりになっていてもういうことありません(涙)

観られて良かった。
多分今後はもう観られないだろうと思います。























ポーの一族 千穐楽 ライブビューイング

2018-03-25 20:00:38 | takarazuka


上野で 宝塚花組 ポーの一族 千穐楽 を見てきました。

劇場で観るにこしたことはないけれど、ライブビューイングも好きです。
細かな表情もよく見えるし、衣装もよく見えるし。

みんな熱演で素晴らしかったです。

退団者が4名
専科の飛鳥 裕さんの挨拶に涙でした。
飛鳥さんは私が宝塚を見始めた時から雪組にいらして、組長さんを長くされてました。
その頃とうこさんはまだまだ下級生。ラインダンスしてました。
まさに感無量です。

1976年入団とか。
長い間本当にお疲れ様でした。
そして落ち着いた暖かな演技でいつもほっこりさせていただきました。
ありがとうございました。
これからもどうぞ素敵な人生を!



宝塚 宙組 不滅の棘

2018-03-19 16:10:19 | takarazuka


こちらも1月の観劇から感想です。(本当に遅くてすみません)

宝塚歌劇 宙組「不滅の棘」 
1月29日 日本青年館で見てきました。

演出  木村信司
音楽  甲斐正人
衣装  有村 淳
装置  太田 創

出演  愛月ひかる 遥羽らら 美風舞良 純矢ちとせ 澄輝さやと 凛城きら
    留井蒔世 華妃まいあ  他

2003年に春野寿美礼さんが花組で公演したものの再演になります。
その公演は見ていないので、何の知識もなく見たのですが、とっても良かったです。

原作はチェコの作家カレル・チャペックによる「マクロブロス事件」ですが、宝塚で公演するにあたってはヤナーチェクのオペラを元にしているとのことです。

舞台も衣装も全てが白
まるでおとぎ話の絵本のような舞台装置
簡素化されたデザインがどことなくオペラの舞台のような感じでした。
衣装も白で統一されていました。

物語の発端は1603年。ギリシャのクレタ島の医師マクロブロスは不死の薬を息子に与えてしまう。

それから300年以上たち…
主人公のエロール・マックスウェルが、4代前から100年に渡る裁判を抱えるフリーダの前に現れる。

実はエロールは医師マクロブロスの息子であり、300年以上を生きていて、不死の薬の処方箋を探しているのだった。

全体がミステリー仕立てになっていて、いろいろな謎が次々と現れてきて、話に引き込まれてしまいます。

主人公のエロール役は愛月ひかるさん。
ロックスターという設定で白の毛皮のコートを着ているところなんて、まるでハリウッドスターのような華やかさ。
カッコいいです。眼福!

ここのところ悪役とか過激な役柄が続いただけに、こんなカッコいい愛月さんを観れたのはほんとに嬉しかった。


白で統一された舞台といい、ミステリー仕立てのストーリーといい、大劇場では味わえない緻密な感じがする舞台で、とても面白かったです。

音楽もよかった。

愛月さん、これからますます活躍を期待してます。



























宝塚花組 ポーの一族

2018-01-23 17:07:10 | takarazuka



宝塚花組 大劇場公演 ポーの一族、見てきました。

原作     萩尾望都「ポーの一族」
脚本・演出  小池修一郎

エドガー・ポーツネル  明日海りお
シーラ・ポーツネル   仙名彩世
アラン・トワイライト  柚香 光


原作は萩尾望都さんの漫画
もう30年前くらいですよね。
望都さんの作品、大好きでした。

それが宝塚で見られる、ということでニュースを聞いたときから大興奮だった私。
ビジュアルが出た時から、その美しさに感激、原作ファンの方もこのビジュアルだったら文句は出ないだろう、と勝手に思っておりました。

ビジュアル、ポスターを見るにつけ、この作品を舞台化したいという思いで宝塚に入団したという演出の小池先生の思い入れ、こだわりが感じられて、期待がかなり膨らみ・・・先日1月20日、21日と宝塚大劇場まで遠征しまして見てまいりました。

何と言っても、花組トップスター、明日海りおさんのエドガーが素晴らしかったです。
エドガーは時を超えて永遠を生きるバンパネラなので、少年の容貌ではあるけれど、大人でもあるわけですよね。
その雰囲気が凄くよく出ていたと思います。

宝塚の男役としてはかなりチャレンジな役だと思いますが、明日海さんだからこそこの役ができたと思うし、明日海さんでなければできなかったでしょう。

小池先生にしても、明日海さんだからポーの一族ができる、と思ったと思います。

宝塚は演出家だけの希望で演目が決まるわけではないし、他組の公演状況、そしてもちろんその組の組事情があって演目は決まるわけだから、小池先生がどんなにやりたいと思っても、できる状況になるまでこれまでの時間がかかった、ということなのでしょう。タイミングですね。


全体的には原作の設定、エピソードは崩さず、時系列にエピソードが組み替えられていました。

最初は進行が早くて、これで2時間半もつのか、と心配になったりしましたが、後半、エドガーとアランの繋がりについては時間をとっていました。
やはりトップと2番手の絡みは必要になるわけだし、宝塚の舞台として成立させなくてないけないですから。
ただ、アランを一族に迎え入れるまでで終わったので、二人の学園生活は描かれていなかったのがちょっと寂しいかな。

主要な役どころ以外は、小池先生の癖というか、使う人は徹底的に使うということで、2役、3役やっている人もいる分、下級生ファンの方は贔屓を探すのが大変かも。

印象に残った場面は、老ハンナが消滅するところ。肉体は消え去り衣服だけが残る場面。とてもよかった。

あとは、クリフォードとジェーンの婚約式にポーツネル男爵一家が登場するところ。絵の様に完璧に美しい一家と紹介があるわけですが、本当にそのとおりで鳥肌ものでした。

最後の方でクレーンが出てくるところもありました。小池先生好きだよね(笑)

明日海エドガーはブルーのコンタクトで青の美しい瞳、細身の体に貴族の少年服というかゆったりした白いブラウス、膝丈のパンツに丈の短い上着、パブリックスクールの胸元にリボンのついたチュニック丈のブラウスのような制服など、どれも良く似合ってました。まさに眼福。

何より、永遠を生きるその孤独感が胸を打ちます。
孤独な役、悩める役は明日海さんの容貌と相まって壮絶なまでに美しかったです。


歌劇団のHPに出ていた萩尾望都さんのコメントはこちら














宝塚宙組 神々の土地 ~ロマノフの黄昏~

2017-10-14 11:46:00 | takarazuka


(画像をクリックすると拡大します)

10月13日から始まった宝塚宙組公演
つい、神々の黄昏 と間違えてしまいそう…


トップスター 朝夏まなとさんの退団公演です。
先日観てきたので感想を。

上田久美子氏の脚本・演出
上田先生は以前何かのインタビューで、歌舞伎が好きで、その中でも「熊谷陣屋」が好きと言っていました。
え~っ随分渋好みだなあ、若いのに…と思った記憶があります。

今回のお芝居はそんな上田先生の渋好みがすごくよく出ていると思いました。
今までの上田先生の作品のなかで一番好きかな。
「翼ある人々」もよかったけれど、あれはバウ作品だし、今回は本公演でスケール
が違うし、とにかく心に残る余韻を持った凄くいい作品だと思いました。

とにかく静かに深く進行して行きます。
社会の変化を受け止めることなくあいも変わらず贅沢な暮らしを続ける貴族たち。
そんな貴族に暴動で対抗する貧しい農民たち
そして現れる怪僧ラスプーチンは皇后アレクサンドラに取り入り、ロマノフ体制を揺るがし始める…

ラスプーチンに頼る皇帝を退位させロシアを立て直そうとするロマノフ家一族がドミトリーを説得して、ラスプーチン射殺に至るまでが淡々と静かななかに熱いうねりとなって描かれます。
静かな集中という感じ
上田先生が熊谷陣屋が好きというのがよく伝わってくるような深い味わいのあるお芝居でした。


場面の構図もよく練られて絵画的で素敵でした。
特に大階段を使った演出が印象的。

真っ赤な布を敷き詰めた大階段
そこに軍服姿の将校たちが揃う閲兵式の場面、ラスプーチンを射殺する場面も赤い大階段です。
まるで絵画を見るような美しさでした。

ラスプーチン殺害の前、銀橋を下手から上手へ進むアレクサンドラ皇后の真っ白いローブの長い裾を顔を伏せ、腰をかがめて捧げ持ちながら一緒に進む真っ黒い影…ラスプーチン

アレクサンドラ皇后とラスプーチンと対照的に本舞台から銀橋に進むドミトリー

真っ白なアレクサンドラと真っ黒いラスプーチンが真っ赤な大階段を登っていくところで、銀橋から朝夏さん演ずるドミトリーが銃撃するのです。

構図、色、全てが鮮やかで素晴らしい場面。鳥肌でした。

革命後、亡命したロマノフ家の人々はニューヨークで手持ちの絵画をアメリカ人相手に売りさばきながら、帰れるはずもない今はソビエトとなったロシアの地を懐かしむ…

そして、ドミトリーにもう一度イリナに合わせてやりたかった、と言うロマノフ家の嫡男フェリックス

皇帝、その家族、貴族たち、ラスプーチン、農民たち…ロシアの大地に生きた全ての人たちが一緒に出てくる場面も感動したけれど、ドミトリーとイリナが雪の平原で再会している最後の場面も切なくて…
深い余韻を残す素晴らしい作品でした。

主題歌も素敵で、静かだけれど深い感情がこもっているようなメロディライン
作曲は青木朝子氏(そういえば、瞳子さんの退団公演のショーの A BIENTOT も青木
先生でしたね)
音楽配信が始まったので、早速スマホに取り込んで絶賛リピート中です。

ショーについてはまた後日…の予定