鮮やかなオレンジ色が遠目にもまぶしい。
ミツマタの花である。浅い春のこの時期、葉を出す前に花を咲かせる。これは園芸種の一つで赤花ミツマタとも呼ばれるが、昔からあるミツマタは淡い黄色(クリーム色)の花をつける。
ミツマタは中国原産で、慶長年間に日本に入ったとされ、コウゾ(楮)、ガンピ(雁皮)と共に和紙の主要な原料となっている。とくにミツマタを使った和紙は、仕上がりが滑らかで光沢に富むと同時に、耐久性と吸湿性に優れるという。このため日本の紙幣の多くに使われている。
和名の三叉は、枝が三叉状になることから付けられたようであるが、漢名は黄端香だという。確かに近づいてみると芳香がある。命名に関しては漢名に軍配か。(写真:市内の逢瀬公園にて)