私の知人、ブラジル移民に西村俊治さんという方がいらっしゃいました。
21歳で渡航し、刻苦精励されて大きな会社を立ち上げて、その上に農工学校も設立(写真参照)され、校長としても人々から尊敬されていた教育者ですが、時々お便りくださいました。その中からいくつかほのぼのとした「随筆」をシェアーします。
題:狐でなく犬にだまされた私
昔から犬好きの私はいろいろ犬を飼いました。あるとき、純血に近い犬と雑種の大型犬を飼っていた時のことです。近所のブラジル人のおばさんが「西村さん、お宅の所の犬が私の鶏を二羽取ったから弁償をしてください」と言ってきました。私の住居は80メートル四方の一画で全部針金の頑丈な網で囲ってあるので、私の所の犬は絶対に外には出ないと思い、「し羽毛でも見つかれば払います」と言い、2人で屋敷の中を見回りましたが全然何も見つからなかったので、おばさんはすごすごと帰っていきました。ところがある日のこと、何気なく門の方を見ますと入り口の1メートル60センチの扉の上を2匹の犬が楽々と飛び越えて自分の小屋に戻り、何もなかったかのようにすました顔をしていました。人間が見ている時には飛び越えないが、誰も見ていない時には楽々と1メートル60センチを飛び越え遊びに出ていたのです。見事、自分の飼い犬に騙されてしまいました。
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