たばこが止められない理由は、常習性にあるというがはたしてそうかな?たばこを止める人はたくさんいるので、常習性が妨げになるというのは今ひとつぴんと来ない。止められない原因は心の働きであると思う。からだが休んでいる時、たとえば就寝時には体はたばこを要求しない。起きている時にたばこが吸いたくなるのはたぶんに心因的なものが原因だ。そう考えて私は、心の問題として禁煙を考えることにした。そこから出した私の結論は、「止めたい時に自然にたばこを離そう」ということだった。止めたいと、自然に心が動く時が止めるチャンスである。止めたいという心の作用が継続している時はたばこを吸いたくないものだ。禁煙に失敗するのは、その心の作用は何者かで妨害され、破壊される時である。そしてその時はいつ訪れるのか、もしそれを知れば、妨害に抗することができる。私はそう考えた。心の作用の継続とはどういう意味か、これを考えた時に思ったことは、心身を疲れる状況に置かないことだとさとった。「明日から禁煙しよう」とおごそかに神仏に誓い、たばこの箱をたたきつけたり踏みつけない。灰皿を隠したりすると、禁煙に失敗するのだ。そんな行動の中にはすでに疲労し、ストレスを貯めている自分が存在している。禁煙というのは、体の具合がいい時にふと思いついてやるのが、一番よい。「いま、この時から1日だけたばこを吸わないことにしよう」と突然決意するのが一番よい。しかし、ポケットの中にはたばこもマッチも入れておく。吸いたくなったら吸えばよいと自分に言い聞かせながら、でも1日ぐらいは待とうと思う。そして1日がたつ。この段階で、我慢出来ないと言うことは意外にないのだ。1日たつと、すがすがしい思いと少しばかりの達成感が全身に行き渡る。そして、その日の朝、その満足感を背景にしてお茶をいつもよりゆっく飲む。大きめの茶碗に熱く濃い番茶を一杯入れて、一口ずつゆっくりと飲む。そうすると10分ぐらいがたつ。これは起きがけの一服を吸いたい気持を押さえてくれる効果がある。またお茶を飲んだ直後はたばこを吸いたい気持が起こらないのだ。これは不思議である。だから、以降は15分置きごとに熱いお茶をすするがよい。ひたすらお茶に頼るのがよい。そうすると気が紛れるのだ。お茶を口に含みつつ思わず手がポケットに伸びたばこの箱をさするが、/hiyo_please/}右手でお茶を飲んでいる限りたばこを取り出すことはない。ああ、一時間たった、私は今日も一時間もたばこから離れることができた。よし、今日もたばこを吸わない日にしよう、そういう気持がわき上がる。禁煙二日目の勝負である。経験によると、二日目は案外楽なのだ。困難なのは3-4日にかけてである。ここを乗り切るのは容易ではないとほとんどの経験者は言うが、その辺りどうして大変なのか、引き続き考察を進める。(続)
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