アートマネジメント公開講座
体験講座
6/9(金)
『小学校で実施するコミュニケーション授業』
ファシリテーター
わたなべなおこ さん
( NPO法人 PAVLIC )
コミュニケーション教育を目的とした
演劇ワークショップ
講座の受講生は
その現場を見学ということだったけれど
ワークショップに参加することになった。
ガムテープに、皆の下の名前を書いて準備。
名前を呼び合うためのもの。
受講生も呼んでほしい名前を書いて。
……………………………
さぬき市立さぬき南小学校
5年6年、それぞれ2クラスずつ。
3~4時間目に5年生、
5~6時間目に6年生。
ほとんどの子が、恐らく初めての体験。
初対面の大人も混じっていたが、
ジャンケンゲームで緊張が解けていった。
楽しい雰囲気でいくつか続き、
2人1組でのゲームの後は、いよいよ
グループで“演劇っぽいも”のを作る
ジェスチャーゲーム。
これがなかなか難しい。
よく知ってる大人同士でも難しいかもしれない。
まず、題材を何にするか
なかなか決まらない。
決まったら、
誰がどんな役割をするか
どう始まってどう終わるかなど考える。
いわゆる一発芸ではないから
一瞬の動きだけではいけない。
どのグループも頑張っていた。
子どもならではの発想で
本当に色々なものが出来上がっていた。
もちろんうまくいかないこともあった。
その過程で苦しむことも。
でもファシリテーターは
それぞれの姿を見ていて、
どんなところが良かったか言葉をかけていて、
それがいいなと思った。
勿論うまくできたらいいけれど、
うまくいかなくても構わない。
途中どう頑張っていたか、
同じくらい大事なことだという言葉は、
子どもたちにも響いたのではないか。
ほんの2時間の間に
たくさん感じ考えたことだろう。
実際に動いて友達に見てもらい
ドキドキを乗り越えた後の
皆の反応や拍手、良かったところの言葉は
より大きく心に響いたと思う。
成長というには大げさだろうか。
でもそれくらい大きな意味のある
濃密な時間だったと思える。
私にとっては、名前も覚えられないくらい
初対面の子どもたちだけど、
一緒にやっている間は運命共同体。
何とか作ろう。一緒にがんばろう。
何とかうまくいって良かったねと
思える間柄であったと思う。
こういう体験が
あるのとないのとでは随分違う。
場合によっては、大きくなるまで
体験しないままという人も
いるかもしれない。
けれど生きていく上ではきっと
どこかでぶつかるようなこと。
日常生活の中での
問題としてぶつかる時は
より深刻になるかもしれない。
でも、ゲームや演劇はある意味
非日常でもある。
どんなに失敗しても、日常とは
少し違う次元で向き合えそう。
だから、どんな人にも大事で
必要な経験なのだと思った。
…………………………
何かを決める時、
うまくまとまらない時、
リーダーシップが必要だと言われる。
しかし、
リーダーシップとは何だろう。
人を引っ張っていくだけでは
今は乗り越えられないことも多い。
進むべき方向が決まっているなら
それで良いかもしれないが、
多種多様な人や意見がある中で
どれかひとつを勝手に決めることは
できない。
バラバラな中でも何とか
方向を探っていくことが求められている。
仲の良い数人だけなら難なく進められても、
そればかりを続けていけるはずがない。
クラスの中にも色々な子がいて、
その組み合わせによって
生まれるやり取りも色々。
それがスムーズにいくこともあれば
難航することもある。
それでもどうにか進めるために、
それぞれの思いや考えを汲み取りつつ
歩み寄れるような部分を見つけられる力。
そういうことがリーダーシップに
必要なのかもしれない。
そんなことも考えさせられた。
個人的には、
小学校低学年から高校生の子を持つ親として
今回のような体験の必要性を切実に感じた。
思春期に入る子どもたちは、
みんな仲良く同じ意見ではいられない。
クラスの友達同士でも、
親などの大人に対しても
そうであると思う。
自分を殺して違う意見に合わせたり、
逆に違う意見を排除したり、
話し合うこと自体を拒絶したり。
そのことで、何も交わらないまま
溝が深まったり、
相手そのものを攻撃したり。
それは特別なことでなく
身近に起こっていることだ。
その現実を思う時、
興味のあるなしに関わらず
教育として多くの子どもが
体験できたらと強く思った。
たぶんそれは、楽ではない。
でも楽しい。
その楽しさを知ることで
現実の難しいことにも
向き合っていけるのではないか。
楽しさが難しさを乗り越える
大きな力を生むかもしれない。