令和3年度
新市民会館「みんなの劇場」整備
課題解決型実践事業
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2/21 菅原直樹氏講演会
「老いと演劇で未来を観る」
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講師:菅原直樹氏
「老いと演劇」OiBokkeShi主宰
劇作家、演出家、俳優、介護福祉士
日時:2022 年 2月 21日(月)
19:00〜21:00
会場:丸亀市市民交流活動センター
(マルタス)多目的ホール1・2
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老いというネガティブな課題を
ポジティブに捉えることができる内容だった。
ワークショップを
体験したり見たり、
実際にありそうな場面を見ることで
色々な気付きがあった。
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●介護と演劇は相性がいい
・お年寄りほどいい俳優はいない
・介護者は俳優になった方がいい
↓
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「老いと演劇」
OiBokkeShi 演劇活動
認知症ケアに演劇的手法を活用した
「老いと演劇のワークショップ」
●「老いと演劇」OiBokkeShi
・徘徊演劇
「よみちにひはくれない」
徘徊がテーマ
演者も観客も
町を移動しながらの演劇
・「BPSD:ぼくのパパはサムライだから」
在宅介護がテーマ
(B)ぼくの (P)パパは (S)サムライ (D)だから
※BPSDとは→行動心理症状
中核症状によって引き起こされる
二次的症状
妄想、怒りっぽくなる、徘徊…
・「カメラマンの変態」
お寺や老人ホームを会場に
・「認知の巨匠」 などなど
●岡田忠雄さん
ワークショップに参加していた
面白いおじいさん、岡田忠雄さん。
菅原さんが出会った当時は88歳。
認知症の妻を介護中。
そんな彼と演劇をつくることに。
その後7年、作品に出演。
今年、96歳になる
OiBokkeShiの看板俳優。
年を経て、
岡田さんも介護認定を受け
できないことも増えてきた。
しかし、
好きなことをやる仲間がいると
関係性の中ではできることが増える。
95歳の今、表現欲求が絶頂!
●自分に合った役割を見つける
老いと共に
役割を奪われてしまうもの。
できないからと役割を奪うのは
逆効果。
自分に合った役割を引き受けると
生き生き輝き始める。
何かをきっかけに
やってみようとする姿が見られる。
周りの人の喜びにも繋がる。
その人のストーリーに耳を傾け
今を把握。
その人に合ったものを見つけるのは
舞台の演出家の仕事と似ている。
●公開ワークショップ
(講演会参加者より数名がやってみる)
言い負かしてしまうと楽しくない。
受け入れる演技は重要。
そこで、
「イエスアンドゲーム」
ご飯ですよ、お風呂ですよ、
トイレですよなど、
介護の場面でよくある声かけ。
【A】介護者役→上のような言葉かけをする
【B】認知症の人役→「〇〇したい」
トンチンカンな返事をする
そこで
【A】→「いいですね」(Yes)
そして(and)
「〇〇しましょう」
(肯定的な言葉)
次に…
否定的、肯定的でやってみる
パターン1
【A】「〇〇しましょう」
【B】「☓☓する」(トンチンカンな内容)
【A】否定的な言葉をかける
【B】それに対しての反応(意固地になる)
そこで…
パターン2
【C】にバトンタッチ
【C】肯定的な言葉をかける(Yesand)
【A】と【C】のやりとり…どうなるか
やってみつつ、
それを他の参加者にも見てもらう。
パターン1では
何を言っても否定されて
嫌な気持ちに。
【A】の言うことを聞きたくない状態。
パターン2では
最初は受け止めてくれて、
色々話を聞いてもらい、和やかに。
気持ちが落ち着けば、
【C】の言うことに耳を傾け、
そのとおりにしてもいいかなという
気持ちにもなった。
普段の言動を
意識的にしてみることが大事。
●「現実」と「内的世界」
現実は〇〇だけど
相手の内的世界では△△かもしれない。
場所、時間、登場人物、そこでの問題など、食い違っている。
そこで
相手の見ている世界を想像する。
戸惑うけれど、
一旦自分の都合を置く。
相手に合った言葉かけをする。
時間が限られていたりすると、
一方的に押し付けてしまいがちだけど。
●動画視聴 テレメンタリー2018
「演じて看る ~91歳 認知症介護の日常~」
岡田忠雄さん91歳に密着。
妻の介護の日常より。
料理を作る前は
食べると言っていたのに
作った後に声かけると
食べないと言う。
自分の家なのに、
突然帰ると言って玄関で座る。
じゃあ、お腹が空いたら食べてねと
先に一人で食べる。
普段から一人分しか作らない。
家に電話したから迎えに来るよ。
それまで温かい部屋で
待っていよう。
など、声をかけていた。
・困った言動にどう対応するか
・相手が主人公の物語を演じる。
・うまくいかない時は一旦離れることも大事。
(トイレに行ってくるなど)
●介護者自身の時間も大事
介護者は、自分を犠牲にしがち。
岡田さんは昔、演劇をしていて
演劇が好き。
演劇の稽古では、自分が主人公。
好きなものに打ち込む時間がある。
そのことで
心の安定を保つことができる。
自分の時間は大切。
●今ここを共に楽しむ
歳をとると
できなくなることも増えるが、
今この瞬間を楽しむことはできる。
それが大きな希望になる。
演劇を通して
時間と場所を共有して
今ここを共に楽しむ。
今この瞬間の景色の豊かさに
気付くことが大切。
……………………
ついつい現実的な問題や時間が限られていると、自分の考えを一方的に押し付けてしまいがち。
介護の場面では、相手との食い違いが起こる。そんな時、演じることでスムーズにいくこともあるのだと気付いた。
しかし介護に限らず、人との関わりで難しいことは色々ある。演じることは、普段の言動を意識的にやってみることでもある。そういうことが、普段の生活のあらゆる場面で生かされるのではないかと思った。
今回の、介護と演劇についての内容は、社会の中の困り事を解決する、良いアイデアのひとつだと思った。
しかし、課題を抱える当事者だけが解決を考えるのではなく、文化芸術に興味のある人など、幅広い人が考えたり関わったりする、そんな機会が増えた方がいい。「新しい市民会館」は、そういうことができる場所になればなと思った。
………………………
公開ワークショップにも
参加させてもらいました。
文化芸術推進サポーターの
メンバーと一緒だったので
心強かったです!
翌日は
講演会の講師である菅原さんの
ワークショップにも参加しました。
それはまた別のレポートで!