VIVA セレッソ大阪

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セレッソは方向転換するのか

2020-12-11 12:22:00 | セレッソ大阪
ロティーナ監督との契約を更新しないとの正式発表以降、外国人選手との契約満了の記事がスポーツ新聞に掲載されています。

ロティーナ監督の去就についてはクラブの内部からリークしているとしかかと思えない報道で不快な思いをしています。また「攻撃的なサッカーへの転換』というワードがよくでていますが、後任候補者の名前を見ると全く具体性はなく、根拠のない「攻撃的なサッカー」という理由でロティーナ監督との契約を満了させることはおかしいと思っています。
「攻撃的なサッカー」に関連して、スポーツライターの小宮良之さんは『セレッソ・ロティーナは「守備的でつまらない」で終わるべきか?』との記事を掲載されました。


記事を一部転載しますと〈守りが堅いのは、守備的ではない
「Salida de balon」
 ロティーナは象徴的に、このスペイン語を使う。「ボールの出口」が直訳で、ビルドアップと訳されることが多い。しかし、むしろ直訳のほうが意図は伝わるか。ボールの出口を作るには、それぞれの選手が正しい立ち位置を取って、スペースをうまく使う必要がある。適切な距離感が生まれることにより、それは攻撃だけでなく、守備でのポジショニングを修正し、改善することにつながる。
 いわゆる「ポジション的優位」がピッチに生まれるのだ。
 ロティーナは、セレッソでもそれを突き詰めてきた。なにも守備的なのではない。結果として、守備が固くなった。それは、攻撃の有効性を上げることにもなったのだ。
 一つのロジックで選手がプレーすることで、それぞれの技量は自然と向上している。
 今シーズン、坂元の他にも、清武弘嗣、藤田直之、瀬古歩夢のプレーの水準は高かった。奥埜博亮に至っては、“ロティーナの申し子”のような働きを見せた。FWだけでなく、ボランチでもプレー。戦術的な理解力の高さを買われ、兼任している。
「ロティーナのおかげで頭の中にあるプレーが整理されて、選択肢を与えてもらっているな、と思います」
 2019年、ロティーナ・セレッソでプレーした水沼宏太は王者・横浜F・マリノスに引き抜かれたが、スペイン人指揮官についてそう説明していた。
「自分自身は、考えてプレーできるようになりました。ピッチに立った時に、周りを見渡し、どういう状況なのか。おかげでいいポジションを取れて、スムーズにプレーできるようになったんです。最初はポジションを決められているようで、制御されている感じがあったかもしれません。でも、選手がお互いにその感覚を整理できるようになると、連鎖するように守備でアドバンテージが取れました。そして攻撃でも、いい形でボールを受けられるようになったんです」〉
と書いています。それにも関わらず、ロティーナ監督のサッカーを「守備的でつまらない」で片付ける報道やクラブ内部からのリークとしか思えない記事に嫌な思いをしていたところ、昨日『セレッソ大阪を分析するブログ』に「ロティーナ監督の退任について」が掲載されました。

個人的にモヤモヤしている部分をうまく表現いただいています。まさにその通りだと思います。「セレッソ大阪を分析するブログ」では、来シーズンからクラブが方向転換するのであれば〈クラブはどういった理由で今回の決断に至ったのかをはっきりと言えばいい。〉と書いています。この点について強く同意します。

桜スタジアム構想の説明の中で、「常にACL出場を目指す」との説明がされていたと記憶しています。ACL出場権はリーグ3位以内のチームに与えられます。常にACL出場を目指すということは毎年優勝を狙うチームにする必要があります(天皇杯優勝チームにも出場権は与えられます)。現に大熊清氏が強化担当者だった昨シーズンはいい外国籍選手を5人揃え、Jリーグの他クラブからも選手を補強しました。

しかし、セレッソの予算規模がJ1中位レベルであり、この規模を維持せざるを得ないということですあれば、クラブは方向転換をするとはっきり言うべきです(外国人選手の来シーズンの契約満了報道では資金面について匂わせています)。

先日、長谷部誠選手について島崎英純氏がnumberに記載した『「長谷部誠、引退か」報道に現地の旧知記者は“強烈な違和感” ウェブ翻訳ツールと実際のニュアンスの違いとは」』に、長谷部誠選手が所属するフランクフルトの事情ついて記載がありました。


記事には〈アイントラハトはバイエルン・ミュンヘンのようなビッグクラブではなく、リーグでは中堅クラブの規模に留まります。そんなクラブの現実的な目標はUEFAヨーロッパリーグへの出場権を得られるリーグ6位入線であり、それ以外の健全なクラブ運営の最善策は、若く有望な選手を育成して他クラブへ売却することで得られる収入源確保になります。〉と記載されています。セレッソに置き換えれば、「J1では中堅クラブの規模」「現実的な目標は一桁順位であり、ACLへの出場権が得られるリーグ3位に入線できれば大成功」「健全なクラブ運営のため若くて有望な選手を育成して他クラブへ売却する」となり、その方向に変更したいのかなと思います。
またフランクフルトは「若くて有望な選手を育成する」ため〈アイントラハトは若く将来のある選手を積極的に登用し、彼らに経験値を積ませてレベルアップさせたうえで、彼らの存在を認知させて移籍交渉で優位性を得る必要があります。〉との方針だと島崎氏の記事に掲載されています。

先日セレッソの下部組織出身の湘南のMF鈴木冬一選手が、スイス1部ローザンヌに完全移籍することが報道されました。スポーツニッポンの記事によると移籍金は推定100万ユーロ(約1億2600万円)とのことです。


もし、鈴木冬一選手がセレッソのU18からそのままトップチームに上がれば、J3が主戦場となり、このような移籍はなかったと思います。来シーズン以降のセレッソは育成型クラブとしてスケールダウンし、鈴木冬一選手のような若い選手の出場機会を増やし、活躍すればすぐ海外移籍させる、その方向に舵を切るのかなと予想しています。

今回の経緯の説明と今後の方向性について、クラブのていねいな説明をお願いして終わります。