自民党の与謝野馨元財務相は20日、時事通信社のインタビューに応じ、鳩山政権の経済政策を批判するとともに、自民党の再建策や、囲碁仲間である小沢一郎民主党幹事長について語った。主な内容は次の通り。
-鳩山政権の経済・財政政策をどう評価するか。
マクロ経済的な展望を一切、民主党は語っていない。昨年末の成長戦略は予算と税制が終わってから出した文書で、時期遅れのクリスマスカードみたいなものだ。
-2010年度予算案に対する考えは。
見栄えのいいものを作ったつもりのようだが、借金が借金を呼ぶというルートをたどり始める第一歩を容認した。歳入改革については何も触れていない。国民にとって不実な政治だ。
-鳩山由紀夫首相は消費税率引き上げに否定的だ。
鳩山さんは経済も財政も何も分かってない人。あの人は初当選以来、権力闘争ばかりやって、首相になって化けの皮がはがれた感じだ。そもそも税金を納めないで知らんぷりしてた人に首相は務まらない。一般の人があれだけの贈与を受けて、納税しなかったら実刑を食らう。私腹を肥やしたのではないと(国会で)答弁していたが、自分の政治活動に使ったということは私腹を肥やしたことと同じだ。
-自民党は再建に向けて「保守」を打ち出した。
保守という言葉は古くてよく分からない。長年政権を担ってきた議会制民主主義の国の政権党が選挙で負けて、やったことは二つ。30歳代、40歳代の若くて新しい党首を選んだ。それと新しいパラダイムを発見しようと努力した。民主党を攻撃したって駄目だ。次の衆院選は絶好のチャンス。新しいパラダイムと、自民党が従来持っていた草の根的な強さを組み合わせれば、政権復帰できる。
-確かに「保守」は分かりにくい。
古い概念につながっちゃう。谷垣禎一総裁の(昨年の)臨時国会の演説では、保守という言葉を全部わたしが削った。今回(の首相の施政方針演説に対する代表質問)も削りにいきますよ。
-小沢氏と囲碁を打っているが。
(小沢氏の囲碁は)強い。
-攻撃的か。
あの人は長考派だ。ばたばたやってるみたいだけど、肝心な時は考えるね。
-政局も小沢氏の動向が焦点だ。
恐れてもいけないし、見くびってもいけない。われわれと同じ人だと思ってやらなきゃ駄目だ。恐れるとますます向こうのカリスマ性が大きくなる。(2010/01/20-18:55) (時事ドットコム)
この中で賛同できたのは、経済に関してのことと、鳩山首相への認識。「そもそも税金を納めないで知らんぷりしてた人に首相は務まらない」・・まったくそのとおりです。鳩山氏は小沢氏と違って一見そうは見えないけれども、結局のところ熱心にやってきたのは「権力闘争」のみ。政権を取ってしまえば、何をやったらいいのか全くわかっていない姿が露呈してしまった。
与謝野氏は前政権で、中川氏の後を引き継いだ財務金融相で、経済に関しては能力のある方なのでしょうが、個人的には、小沢氏と囲碁仲間ということもあってか、どうしても最終的な部分で「信頼」することができませんでした。
「保守という言葉は古くてよく分からない」・・だから、谷垣総裁の演説で削った・・という部分については、少々考え込んでしまった。
「保守」という言葉が分かりにくいのは確か。説明しようとしても、なかなか国民の心を掴みにくいのも確かだろうだと思う。
でも、だからといって、これからの自民党を考える時、この理念をはずしてしまうのはどうなのか? この保守の理念を今の現実に即した、国民の心を鷲掴みにするほど分かりやすい形で示すことはできないものだろうか、と思う。