詩歌探究社 蓮 (SHIIKATANKYUSYA HASU)

詩歌探究社「蓮」は短歌を中心とした文学を探究してゆきます。

古い写真修復の巻

2020-11-05 12:16:22 | 千駄記


秋日和。小春日和にはまだ早いか。
近頃やけに妹が昔のアルバムを開いては
これ、よく写ってる・・などと呟いています。
縁側でひとつ咳をしてアルバムを開くごとく。
妹も老いたよ。

「この写真の色直せる?」

持ってきたのが今日の画像の左側、46年前のカラー写真。
昔のフエルアルバム的なものに貼ってあったのですが
台紙にくっついちゃって剥がすのが一苦労。
しかも色がすっかり抜けている。
フジフイルムが「百年プリント」なんて謳ったときは
100年後に色鮮やかでも見られないよと思ったものです。
妹の注文に応えたのが右側の画像です。

妹の母親が亡くなったのは2011年。
妹の父親が亡くなったのが今年2020年。
妹は父が亡くなってから、あたかも母を思い出したように
母のことを言うのです。以前記事にしましたけれども
白黒写真をカラー写真に変換して写真集に仕立ててみたり、
今回のように色の復元を依頼してきたり。

私が「解説」を書いた
山田恵子の第一歌集『月のじかん』(飯塚書店)に
こんな歌がありました。

母の死に母の中なる父も死に姉ちゃん長生きせよとおとうと  山田恵子

この歌はよくできている。
<母の死に母の中なる父も死に>というところ。
妹は、父が死に父の中なる母も死に・・といった気持なのでしょう。
両親とも亡くなって、初めて親を亡くした実感が湧いてくるって
感覚というものがありそうです。

こないだ事務所の外付けHDが壊れて
たくさんの画像が吹っ飛んでしまいましたが、
昔のようにプリントしておくと写真は残るものですね。
個人的なデータが壊れたり、写真が無くなったりしても
失ったものは仕方ない・・で済んでしまうのですが、
生業に関するものは一大事ですから念には念を入れて
バックアップを強化しなければなりません。


おしまい。