Trapped in me.

韓国漫画「Cheese in the trap」の解釈ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

露呈

2016-12-16 01:00:00 | 雪3年4部(鏡〜露呈)
ふーっ‥



なんとか静香と会っていたことを隠し通せた安堵から、雪は深く息を吐いた。

隣には笑顔の彼がいる。

「試験は上手く行った?」

「あ、はい!ちょっと難しかったですけど、勉強した所全部出ましたから」



「頑張ったね」「へへ」



二人は夕焼けの空の下を並んで歩いた。先輩が大学に来るのは一週間ぶりだ。

「俺も試験受けなきゃいけない科目があって、近い内‥」



話す彼の横顔を見つめながら、雪の脳裏にふと健太の言葉が浮かんで来た。

「なんだよー俺とお前の仲じゃねーか!

その‥赤山から青田に上手く話してくんね〜かな〜なんて‥」


「はい?何の話ですか?」



あの時感じた微かな違和感が、雪の心に引っ掛かったままになっていた。

そして淳も同じく、心の中に引っ掛かりを感じている。



「あの‥雪ちゃん、もしかして‥」「先輩」



二人は同時に口を開いた。そして互いに先を譲る。

「あ、先に言って」「いえお先にどうぞ」



「何だよ〜」



そんなやり取りに二人が顔を見合わせて笑っていると、雪の携帯電話が鳴り出した。

「雪ねぇ!」「恵?」

「雪ねぇ今どこ?電話出れなかった?」「あー、試験でしばらく電源切ってたや。どうしたの?」



「え?」



その後恵が話し出した内容を聞くやいなや、雪の顔色が変わった。

そしてすぐさま雪は恵と会うことにしたのだった。



恵の携帯電話に表示されているのは、数時間前の蓮と恵とのやり取りだ。

「今日面接だって?」「うん!今向かってるとこ!」

「蓮、やっぱりどう考えても行かない方がいいと思う」

「確かにちょっと怪しい気もするけどさ、そうだったら出てけばいい話だから。

ったくキンカンは心配性だなー」


「でも‥」「到着!終わったら連絡する!」

「面接終わった?」1



その画面を見せながら、心配そうな表情をした恵が言った。

「ここから既読にならないし連絡もなくて‥」



思わず白目になる雪と目を丸くする淳。

恵はそんな二人に、自身が知っている限りの蓮情報を伝える。

「ここに入って四時間も経ってるのに‥面接がそんな長いなんておかしくない?

名前も聞いたことない会社だったし、何かあったんじゃないかって‥」




「電話は?かけた?」「うん、でも出なくて‥」



下を向く恵を見ながら、雪の背筋がゾワゾワとざわめき出した。

ざわ‥ざわ‥ざわ‥なんだこの嫌な予感はっ‥



あの賭博師ばりにざわざわする雪を見て、口元を引き攣らせる淳。

雪は溜息を一つ吐いた後、自身の携帯を取り出した。

「それじゃ私が一回掛けてみる‥ん?」



そして雪は、新着メールが届いているのに気がついたのだった。

「メールが‥」「なんて?」「あ‥」



「河村氏から‥」

おいダメージ。蓮の奴今日ここに行くぞ



添付された<地図>には、「Young Man産業 SGビル」と記載されていた。

亮が残したその足跡を見つめて、三人は目を丸くする‥。









その頃YG産業に居る蓮は、渡されたプリントを持ちながら一人悶々と立ち尽くしていた。

同室には同じく落ち着かないらしい応募者の姿がある。



蓮は先程の光景を思い出してゲンナリしていた。



「つーかどーしてチーム分けすんの?!亮さーーん!!」

「あなた方はこちらへどうぞ〜」



先程三階の廊下にて、頼りにしていた亮と離されてしまった蓮。

ピンチなのは明らかだったが、蓮はどうしてもまだそれを認められずにいた。

ピラミッド商法‥俺がピラミッド商法‥この俺が自らそんなモンに飛び込むなんて‥



‥こうなったら逃げ出すしか道は無い。

蓮の鷹の目が鋭く光る。



しかしドアには鍵がかかっていた。



あの鍵を開けるにはどうすればいいか。

蓮は周りを窺った後、さり気なさを演出するため鼻歌を歌いながらそこに近付く。



しかし。

「あ」



「もうすぐ面接が始まりますので、ご着席お願いしますね」



脱出失敗‥。

「ハイ‥」



しかしここで諦めたらまたふりだしだ。蓮は中年男に向かって声を上げる。

「あ、あの!やっぱ面接は止めて帰りたいんですけど!」

「え?どうしてですか?」「その‥今家から連絡が来てすぐに帰らないと‥」



それは蓮が咄嗟に思いついた嘘だった。中年男はそれを見破ってこう言い返す。

「はい?!鞄は倉庫の中なのにどうやって連絡なんて‥」



「倉庫?」「あっ‥」



しまった、と中年男は慌てて口を噤んだ。

そして再び笑顔を浮かべながら、隣の大柄の男と共に強引に蓮を室内へと促す。

「ほらほら、緊張のしすぎですよ。そんな嘘ついて〜

そんな難しい面接じゃないですから、まずは緊張をほぐしましょう!」




「就職のドアは開かれていますよ。我々と一緒に働けば‥」



中年男は耳あたりの良いことを言っているが、手には力が込められ、

蓮はズルズルと半ば引っ張られるように中へと戻された。

脳裏に心配そうな顔をして忠告してくれた恵の姿が浮かぶ。

「蓮、もう一度考え直してみない?ちょっとおかしいと思うの」



看過して来た真実が、自分の間違いを認めたくない弱さが、次々と露呈する。

それは蓮の瞳から大粒の涙となって流れ落ちた。

「め‥めぐみぃ‥」



「うわあああああー!」









一方ここは亮が連れて来られた部屋。

亮は配られたプリントになんとなく目を通すも、その内容についてはサッパリだった。

何が書いてあんだ?こりゃ






チラ、とドアの方を窺って見ると、そこにはまるで門番のようにガタイの良い男がずっと立っている。

「はい、それじゃあ皆さん一人ずつ詳しい説明を聞いてみましょうか」



亮の視線に気付いたガタイの良い男がそれを追うと、

もう既に亮は彼から視線を逸していた。



男は亮の横顔から目を逸し、再び前を向く。



‥と見せかけてもう一度亮の方を見た。

「!」



男と視線が合ってしまった亮は、その警戒を解く為にニッコリと笑顔を浮かべる。



だんだんとこの会社の本質が露呈する。

亮はその鍵穴を開けるチャンスを窺いながら、じっと息を潜めていた‥。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<露呈>でした。

あの賭博師ばりにザワザワする雪‥。

 

蓮がエスポワールに乗ることになったらどうしよう!‥と慌てないのは、

亮さんがついててくれるからこそですね。


さて次回は<突撃>です。


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