喧嘩の翌日、蓮の前に現れた河村亮の顔は、見事に腫れて傷だらけだった。
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その顔を見て、蓮はあんぐりと口を開ける。
「ひょえ~」
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「亮さんなにその顔!マジパネェ!」
「オレ今日そのまま大学行くわ。この顔じゃバイト出来ねーし」
「なんでねーちゃんがこれ渡せって言ってんのかと思ったら!」
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「受け取って」と言いながら、
蓮はビニール袋に入ったそれを亮に差し出した。
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そこには薬やバンドエイドなど、怪我を治療する為のものが沢山入っていた。
「これ‥ダメージが?」「こっち座んなよ!薬塗ってあげるわ
」
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そう言う蓮に、亮はげんなりして舌を出す。
「げーっ何言ってんだ鳥肌立つっつの」
「亮さん、ねーちゃんの彼氏さんと喧嘩したんでしょ?」
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蓮の指摘に、亮は思わず言葉に詰まった。恐る恐る聞く。
「‥ダメージがそう言ってた?」
「んーん。でもねーちゃんがこれ渡して来た時点で明らかじゃん」
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蓮は話を続けた。
「知らないとでも思ったー?晩メシん時も、そっぽ向きながらも火花バチバチだったじゃん。
父さん母さんも、「二人共外見と違って子供っぽい」っつってたし」
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蓮だけでなく、両親にまで見透かされていたとは‥。
亮は返す言葉もなく、居心地悪そうに舌打ちをして俯いた。
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蓮は軽い口調で、思っていたことを更に続ける。
「まー亮さんなら「だよね」って感じだけどー。元々血の気が多いし‥」
「何が「だよね」だよ
」「でも淳さんに関してはちょっとビックリだよ」
「あぁ?あいつだって同じ人間だろーが」
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蓮は首を捻りつつ、以前感じたことをこう振り返る。
「いやだってほら‥前下着ドロん時見たじゃん、
淳さんがヤツをギッタギタにしたとこ」
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「あんな事するようには見えないのにな~」
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数ヶ月前、夏の終わり。あれは相当ショッキングな出来事だった。
青田淳が引っ張ってきたあの男が、皆の予想を超えた姿で発見されたこと‥。
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「マジで死ぬんじゃないかってくらい殴ってたじゃん。
実は血も涙もないよーな人なんじゃないかって‥」
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侮れない蓮の勘。彼は赤山家特有の鋭敏さで、あの日の淳に疑問を持った。
そしてそれは今も続いている。
「もしかして義兄さんになるかもしんない人だし、ちょっとな~って」
「ハッ!なーにが義兄さんだよ」
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亮は蓮のその言葉に反応し、嫌悪感を顕にした。
蓮はそんな亮を見て、その鋭い勘で彼の感情を感じ取る。
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「先にそういうこと言い出したのは亮さんでしょー?
急にどーしたの?何よ、嫌なん?」
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からかうようにそう口にする蓮の方を亮は振り返り、軽く彼を睨んで見せた。
「べっつに。つーかオレにグチグチ言うなっつの。
テメーの姉ちゃんの恋愛事情に口出しすんならすりゃいいし、しねーならほっとけっつの」
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その亮の言葉に、「ふぅん」と含みのある返事をする蓮。
亮はそのまま「行くわ」と言って、蓮に背中を向ける。
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「またねー」と手を振る蓮の声を聞きながら、
亮は昨夜淳から送られて来たメールの文面を思い出していた。
あの社長の番号だ。
どう行動すればいいか分かってるな
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吉川社長が、宴面屋赤山を探し出すのは時間の問題‥。
それを踏まえた上で、自分がしなければならない行動とは‥。
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亮は蓮の方を振り返り、こう聞いた。
「おい!最近店に変なやつ来てねーか?」「んー?来てないよー」
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その返事を聞き、幾分ホッとする亮。
蓮もまた亮にとって、このトラブルに巻き込みたくない人間の一人だ。
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亮はキャップを目深に被り直すと、一人大学を目指して歩き出した。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
<蓮の勘>でした。
亮さん、痛々しい‥。でも傷だらけの顔が先輩よりしっくり来てますねー。
そして薬を用意してあげる雪の優しさ!キュンと来ちゃいますね。
次回は<隣の佐藤君>です。
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その顔を見て、蓮はあんぐりと口を開ける。
「ひょえ~」
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「亮さんなにその顔!マジパネェ!」
「オレ今日そのまま大学行くわ。この顔じゃバイト出来ねーし」
「なんでねーちゃんがこれ渡せって言ってんのかと思ったら!」
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「受け取って」と言いながら、
蓮はビニール袋に入ったそれを亮に差し出した。
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そこには薬やバンドエイドなど、怪我を治療する為のものが沢山入っていた。
「これ‥ダメージが?」「こっち座んなよ!薬塗ってあげるわ
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そう言う蓮に、亮はげんなりして舌を出す。
「げーっ何言ってんだ鳥肌立つっつの」
「亮さん、ねーちゃんの彼氏さんと喧嘩したんでしょ?」
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蓮の指摘に、亮は思わず言葉に詰まった。恐る恐る聞く。
「‥ダメージがそう言ってた?」
「んーん。でもねーちゃんがこれ渡して来た時点で明らかじゃん」
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蓮は話を続けた。
「知らないとでも思ったー?晩メシん時も、そっぽ向きながらも火花バチバチだったじゃん。
父さん母さんも、「二人共外見と違って子供っぽい」っつってたし」
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蓮だけでなく、両親にまで見透かされていたとは‥。
亮は返す言葉もなく、居心地悪そうに舌打ちをして俯いた。
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蓮は軽い口調で、思っていたことを更に続ける。
「まー亮さんなら「だよね」って感じだけどー。元々血の気が多いし‥」
「何が「だよね」だよ
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「あぁ?あいつだって同じ人間だろーが」
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蓮は首を捻りつつ、以前感じたことをこう振り返る。
「いやだってほら‥前下着ドロん時見たじゃん、
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「あんな事するようには見えないのにな~」
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数ヶ月前、夏の終わり。あれは相当ショッキングな出来事だった。
青田淳が引っ張ってきたあの男が、皆の予想を超えた姿で発見されたこと‥。
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「マジで死ぬんじゃないかってくらい殴ってたじゃん。
実は血も涙もないよーな人なんじゃないかって‥」
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侮れない蓮の勘。彼は赤山家特有の鋭敏さで、あの日の淳に疑問を持った。
そしてそれは今も続いている。
「もしかして義兄さんになるかもしんない人だし、ちょっとな~って」
「ハッ!なーにが義兄さんだよ」
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亮は蓮のその言葉に反応し、嫌悪感を顕にした。
蓮はそんな亮を見て、その鋭い勘で彼の感情を感じ取る。
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「先にそういうこと言い出したのは亮さんでしょー?
急にどーしたの?何よ、嫌なん?」
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からかうようにそう口にする蓮の方を亮は振り返り、軽く彼を睨んで見せた。
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テメーの姉ちゃんの恋愛事情に口出しすんならすりゃいいし、しねーならほっとけっつの」
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その亮の言葉に、「ふぅん」と含みのある返事をする蓮。
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吉川社長が、宴面屋赤山を探し出すのは時間の問題‥。
それを踏まえた上で、自分がしなければならない行動とは‥。
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亮は蓮の方を振り返り、こう聞いた。
「おい!最近店に変なやつ来てねーか?」「んー?来てないよー」
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その返事を聞き、幾分ホッとする亮。
蓮もまた亮にとって、このトラブルに巻き込みたくない人間の一人だ。
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亮はキャップを目深に被り直すと、一人大学を目指して歩き出した。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
<蓮の勘>でした。
亮さん、痛々しい‥。でも傷だらけの顔が先輩よりしっくり来てますねー。
そして薬を用意してあげる雪の優しさ!キュンと来ちゃいますね。
次回は<隣の佐藤君>です。
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その中に雪ちゃんが残ってなくもない気がして…。
お話の最終点としてそれは亮さんの事件と結びつくのでしょうが、何だか嫌な予感しかしません…。
どうかこの予感が外れますように…!
理屈が先に立って相手の人物を見誤ることがしばしばなホンソルとは違って、感性鋭いホンジュンの人を見る目は確かです。ペクインホが信用に足る人間であること、ユジョンが信用ならない人間であること、この見立てを外れた展開があるとは、ちょっと考えられません。
前々回、ユジョンとホンソルとの会話のシーンがありましたけど、あの二人、分かり合えたというにはほど遠いですよね。あの家にどっぷりはまったままのユジョンは、やっぱりどこか狂った「おかしなヤツ」なのですが、彼自身、それを事実として受け止めるにはまだ至っていません。そのことを認めたくなくて、子供のように駄々をこねてジタバタしているように、私には見えます。
この狂気を克服するためにまず必要なのは、「ホンソルによる救い」ではなくて、彼自身の「変わりたい、まともな人間になりたい」という意思と、それに基づく行動なんだと思います。「いまの自分」を周りに受け入れさせるのではなく、「受け入れてもらうに値する人間」になるために、これまでの自分をいったん否定するプロセスを経なければならないのではないでしょうかね。
それこそ、若き天才ピアニストが、地方でその日暮らしの流浪の日々を送ったように。
その意味では、今後、パパの庇護のもとで帝王学を学び、Z企業で後継者の道まっしぐら、なんてのは、彼にとって最悪の展開です。あの狂気の家を出るところからが、彼の新しい人生の始まりだ、などと予想してるんですけどねえ…。
感がいいのはいいんですけどねそれが何の役にもたってねーみたいな
単純な気楽さ相性の良さでお亮さんにお兄さんみたいな愛着もってみたり
そりゃ蓮少年みたいなタイプにはアオータは辛いであろうが
私一貫して蓮の評価って低いんですよね
甘えて逃げてるだけで
にしても淳のめった殴りってそんな悪いですかね
あんな変態野郎殺しても問題ないっていうか社会的ゴミじゃないですか
お亮さんの暴力性は肯定されて何で淳のあの正統性のある攻撃はこうも非難されてしまうのか
なんか腹落ちしなくて
基本的には攻撃されなければ攻撃しないですし
無駄に喧嘩売ってるお亮さんのほうがアホすぎて私は受け付けないんですよね
にしても姉様が言ってましたがお亮さん ふつーに金返すだけで済むんじゃない?みたいな
て言うか被害が雪に及ぶとか考えてますが単なるバイト先の娘ですよね
単純に考えて聞かれることがあってもいきなり心配するほどの危険な目にあわすものかしらと
それこそそんなこと社長がしたらお亮さんに請求出来るものも請求出来なくなるような
まあそもそも此処まで追う意味あるのか時間手間考えたら既にマイナスのような
「らーーーーん!!」というところを「キンカーーン!」となるわけですね?笑
ragoさん
コメント修正致しましたよ~。お気になさらず♪
そして頂いたコメントの中の‥
>先輩は罠をまだたっぷりと張り巡らせているのでしょうか。
↑ここの部分ですが‥う~ん‥罠‥。
私見ですが、蓮が訝しがっているのは先輩の人間性であって、あくまでも先輩は雪ちゃんが大好きなんだと思います。(それが単純な好意のみではないにしろ)
普段善良で完璧な優等生が、飄々と相手を半殺しにして出てきたのを蓮は見てしまったわけですから、気味悪るがるのも不思議ではないかな?と‥。
まぁあくまでも私の意見ですので、お気にされずに!
青さん
安定の鋭いコメント‥!ありがとうございますっ!
ユジョンさんの
>これまでの自分をいったん否定するプロセスを経なければならない
ですが、どうやったらここに到達することが出来るんでしょう‥。
どうやったらあの家を出ることが出来るのか‥?
気になりますな~~!
むくげさん
出ました!むくげさんの蓮バッサリコメント!ありがとうございます!
>にしても淳のめった殴りってそんな悪いですかね
上でも書きましたけど、やっぱり涼しい顔してボッコボコ、の不気味さが蓮がひっかかってるポイントなんじゃないですかね~。
暴力行為の良し悪しは個人の見解なのでなんとも言えませんけど、先輩に関してただ言えるのは「何考えてるのか分からない」ところがポイントなんだろうな~と思います。