「ぐわあああああああああ!」
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志村教授は、力いっぱい亮の髪の毛を引っ張った。いくら喧嘩慣れした亮でも、この攻撃は堪らない。
「ちょ待って!オレ怪我人!怪我人っすから!!怪我人!」
「この大馬鹿モンがぁ!もうくたばってしまえ!」
「それでも髪はダメ!髪は!!」

M字の悲劇だけは避けたい亮は、必死の抵抗だ。
教授はようやく髪の毛から手を離すと、亮の手を取った。
「手は?!」「正常っすよ!正常!」

ボカン!
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亮の頭に、思い切りゲンコツを食らわせる志村教授。
その根底にあるのは、亮への心配だ。
「またピアノ弾けなくなったらどうするつもりだ?!
お前には警戒心というもんが無いのか?!しっかりしろ!この野郎!」

スンマセン、と小さく呟きながら、亮は痛む頭を押さえてうずくまった。
視線の先に、ピアノのペダルや脚が見える。

もうここでの練習も、こんなやり取りも、出来なくなるかもしれない‥。
亮は縮こまった姿勢のまま、小さな声でこう言った。
「これから‥来れるかどうか‥」
「なんだって?」

教授には聞き取れない程の声。
亮は膝を抱えた格好のまま、小さく首を横に振った。
「いえ‥」
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「ぐうううううっ‥」
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胃もたれに加えてストレスで胃がキリキリと痛む。
ストレスの原因は、もちろんあの人だ。
柳瀬健太‥アイツッ‥
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雪はプルプルと震えながら、先程の健太と佐藤のやり取りをもう一度思い出した。
「そこ、入るとどんなメリットあんの?!」

雪と佐藤が入会した財務学会に、案の定健太も入りたいと言って来た。
無理ですと何度言っても、健太は譲らない。
「俺も入れてくれよぉ!!
そこの担当者に言ってくれりゃいーじゃねーか!」

後輩二人を足がかりにして強引に入ろうとする健太。
しかし佐藤は論理的に言い返す。二人の言い合いが始まった。
「俺だってテストをパスして入ったんですよ!
入ろうと思って入れるもんじゃなくて、志願期間内に志願書出して、
財務常識のテストをパスしなきゃいけないんですって!」

「そこにお前ら二人共居るってのに、俺を入れることは出来ないってのか?!
志願期間過ぎてたって一人くらいねじこめんだろ!」
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「あそこは俺達だけじゃなくて大学院や社会人の先輩達も居るんです!
一人くらいねじこめるとかそういう問題じゃないんですよ!入りたいなら自分の力で入るべきでしょう?!
赤山はそうやって入ってますよ?!」
「俺が入れないなんて誰が言った?!入りたくても志願期間が終わってるって今お前言ったじゃねーかよ!

モウヤメテ‥と雪は小さく声を掛けるも、二人共全く聞いていない。
日頃からの恨みも相まって、すっかりいつもの口喧嘩だ。
「つーかお前さっきから何?その言い方。文句あんのか?!」
「別に普通じゃないですか。それより俺のノートPC返して下さいよ」
「んだとぉ?!」

頃合いを見て、雪が二人の間に入る。
さながら普段の青田淳ポジションだ。
「二人共止めて下さい‥」
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健太の苛立ちはおさまらない。
ブルブル
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「つめてーのなマジで!先輩を牽制なんかしやがって!
財務学会ごときにも入れてくれねーなんてよぉ!」
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健太の怒号が青空に響く。そして佐藤と健太の口論は決裂したのだった。
「お先」「世知辛い世の中だぜ!ありえねーっつの!」
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そして、間にポツンと立たされる雪‥。
「‥‥‥‥」
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キリキリと胃が痛んだ。イライラはMAXだ。
雪はお腹を抱えるような格好で構内を歩く。
耐えろ‥耐えるんだ雪‥。てかどいつもこいつも‥
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朝から気を使いっぱなしの今日。雪は心の中で本音を爆発させる。
自分の勉強だけに集中したいっつーのマジで!!
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くわっ、と目を見開いたその時だった。
「ダメージ」
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聞き慣れた低い声。
振り返ると、そこに彼が居た。
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河村亮は傷だらけの顔で、雪のことをじっと見ていた。
避けてきた人物がいきなり目の前に現れて、雪は思わず石になる。
ピシッ‥。
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・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
<彼の寂しさ、彼女のストレス>でした。
最後の石雪ちゃん。
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石になるのはこれで三度目かな?笑
ちょっと集めてみました↓
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和美にざまーみろと中指立てた後。
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横山にF◯ck!と中指立てた後。
他にもあったかな?見つけたらご一報下さーい^^;
2019.7
コメント欄にてチュロさんが、新たな石雪を発見して下さいました!

先輩からのメールにルンルンからの、静香登場で石雪に!
チュロさん、ありがとうございました
次回は<理性と感情>です。
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志村教授は、力いっぱい亮の髪の毛を引っ張った。いくら喧嘩慣れした亮でも、この攻撃は堪らない。
「ちょ待って!オレ怪我人!怪我人っすから!!怪我人!」
「この大馬鹿モンがぁ!もうくたばってしまえ!」
「それでも髪はダメ!髪は!!」
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M字の悲劇だけは避けたい亮は、必死の抵抗だ。
教授はようやく髪の毛から手を離すと、亮の手を取った。
「手は?!」「正常っすよ!正常!」
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ボカン!
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亮の頭に、思い切りゲンコツを食らわせる志村教授。
その根底にあるのは、亮への心配だ。
「またピアノ弾けなくなったらどうするつもりだ?!
お前には警戒心というもんが無いのか?!しっかりしろ!この野郎!」
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スンマセン、と小さく呟きながら、亮は痛む頭を押さえてうずくまった。
視線の先に、ピアノのペダルや脚が見える。
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もうここでの練習も、こんなやり取りも、出来なくなるかもしれない‥。
亮は縮こまった姿勢のまま、小さな声でこう言った。
「これから‥来れるかどうか‥」
「なんだって?」
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教授には聞き取れない程の声。
亮は膝を抱えた格好のまま、小さく首を横に振った。
「いえ‥」
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「ぐうううううっ‥」
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胃もたれに加えてストレスで胃がキリキリと痛む。
ストレスの原因は、もちろんあの人だ。
柳瀬健太‥アイツッ‥
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雪はプルプルと震えながら、先程の健太と佐藤のやり取りをもう一度思い出した。
「そこ、入るとどんなメリットあんの?!」
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雪と佐藤が入会した財務学会に、案の定健太も入りたいと言って来た。
無理ですと何度言っても、健太は譲らない。
「俺も入れてくれよぉ!!
そこの担当者に言ってくれりゃいーじゃねーか!」
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後輩二人を足がかりにして強引に入ろうとする健太。
しかし佐藤は論理的に言い返す。二人の言い合いが始まった。
「俺だってテストをパスして入ったんですよ!
入ろうと思って入れるもんじゃなくて、志願期間内に志願書出して、
財務常識のテストをパスしなきゃいけないんですって!」
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「そこにお前ら二人共居るってのに、俺を入れることは出来ないってのか?!
志願期間過ぎてたって一人くらいねじこめんだろ!」
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「あそこは俺達だけじゃなくて大学院や社会人の先輩達も居るんです!
一人くらいねじこめるとかそういう問題じゃないんですよ!入りたいなら自分の力で入るべきでしょう?!
赤山はそうやって入ってますよ?!」
「俺が入れないなんて誰が言った?!入りたくても志願期間が終わってるって今お前言ったじゃねーかよ!
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モウヤメテ‥と雪は小さく声を掛けるも、二人共全く聞いていない。
日頃からの恨みも相まって、すっかりいつもの口喧嘩だ。
「つーかお前さっきから何?その言い方。文句あんのか?!」
「別に普通じゃないですか。それより俺のノートPC返して下さいよ」
「んだとぉ?!」
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頃合いを見て、雪が二人の間に入る。
さながら普段の青田淳ポジションだ。
「二人共止めて下さい‥」
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健太の苛立ちはおさまらない。
ブルブル
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「つめてーのなマジで!先輩を牽制なんかしやがって!
財務学会ごときにも入れてくれねーなんてよぉ!」
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健太の怒号が青空に響く。そして佐藤と健太の口論は決裂したのだった。
「お先」「世知辛い世の中だぜ!ありえねーっつの!」
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そして、間にポツンと立たされる雪‥。
「‥‥‥‥」
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キリキリと胃が痛んだ。イライラはMAXだ。
雪はお腹を抱えるような格好で構内を歩く。
耐えろ‥耐えるんだ雪‥。てかどいつもこいつも‥
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朝から気を使いっぱなしの今日。雪は心の中で本音を爆発させる。
自分の勉強だけに集中したいっつーのマジで!!
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くわっ、と目を見開いたその時だった。
「ダメージ」
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聞き慣れた低い声。
振り返ると、そこに彼が居た。
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河村亮は傷だらけの顔で、雪のことをじっと見ていた。
避けてきた人物がいきなり目の前に現れて、雪は思わず石になる。
ピシッ‥。

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<彼の寂しさ、彼女のストレス>でした。
最後の石雪ちゃん。
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石になるのはこれで三度目かな?笑
ちょっと集めてみました↓
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和美にざまーみろと中指立てた後。
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横山にF◯ck!と中指立てた後。
他にもあったかな?見つけたらご一報下さーい^^;
2019.7
コメント欄にてチュロさんが、新たな石雪を発見して下さいました!
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先輩からのメールにルンルンからの、静香登場で石雪に!
チュロさん、ありがとうございました
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次回は<理性と感情>です。
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もう亮の恋は皆に知らされていると思います。
姉には自分に「本当の青田淳の彼女」の得体を隠したことから、
淳にはヤクザの話をすると亮が青ざめたことから、
(先輩、何か察した顔でしたね)
そして今は雪ちゃんの石化。
ここで疑問ですが、
はたして亮さんは自分の気持ちが雪ちゃんにバレてることを気付いてるのかな?
もしyesなら、それはそれはお気の毒。
常に次回が待ち遠しいです(笑)
まさにその疑問、次の記事の感想の所に書いたところでした‥!(ブログ記事は、書き溜めて予約投稿にしているので、後日頂いたコメントと感想が被ることあり‥)
先輩気づいてるんですかねぇ‥。気づいてたらそれこそなんとしても亮を排除しようと動く気がせんでもないですが‥。
亮さんは気持ち気づかれてると思ってなさそう、というのが私の感想です。実際は気づかれた上に姉に暴露されちゃってますが‥。亮さん‥涙
ちょこさん
ありがとうございます!
また遊びに来て下さい!
もうすぐ待望の5巻6巻発売ですね!
このまま最終話まで単行本が出ることを願うばかりです。
最近毎日のように こちらのブログにお邪魔しているで、つい最近石雪を見たような、、、と思い探してみました!
(サングラス越しの瞳)
雪ちゃんルンルン♪のところに静香が登場して、思わず石になってました!
気づいていたら すみません^^;
まさか4年越しで石雪を発見して下さるとは!!嬉しいです〜〜^^
また折を見てアップしますね♪