Trapped in me.

韓国漫画「Cheese in the trap」の解釈ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

<雪と淳>赤面

2016-04-07 01:00:00 | 雪2年(学祭後~保健室にて)


淳は服の端を掴まれたまま、その場に立ち尽くしていた。

雪は未だ彼を福井太一だと思い込んだまま、気まずいその頼み事をおずおずと口にする。

「ちょっと寒気するんだ‥。薬局で栄養ドリンクでも買って飲めば治ると思うんだけど‥」

 

「どうしても授業に集中出来なくて‥」



消え入りそうな小さな声。

淳はそのような内容を突然口にした彼女に、この状況に、驚きを隠せなかった。



雪は下を向いたまま、まだ彼の方を見ようとはしない。



淳はそんな彼女から、目が離せなかった。

秋風が彼女の髪をサラサラと揺らすのを、まるでスローモーションのように眺めている。



形の良い唇が、きゅっと結ばれるのに目を奪われる。







そして何よりも淳の意識をとらえたのは、自身を掴む彼女の指先だった。

あの日、学祭の準備で寝込んでしまった時のあの感情が、再び彼の心に蘇る‥。






ざぁっ、と強い風が吹き、色付いた木々の葉が一斉に揺れた。

それと共に淳の心もまたざわめき立つ。ざわざわ、ざわざわと。

二人が立ち尽くすその光景は、切り取られた一葉の写真のようだった。








何も言わない彼の隣で、雪は次第にその違和感を募らせはじめていた。

いくらお金の話をしたからといって、ここまで無言なのはさすがにおかしいと。

「ん?なんで黙って‥







遂に顔を上げた雪の目の前に居たのは、福井太一ではなかった。

彼女が徹底的に避けているその人、青田淳だったのだ。

雪は瞬時にその状況が理解出来ず、曖昧な笑顔を浮かべたままその場で固まる。









サッ、と血の気が引いた。白目になった雪は思わず叫ぶ。

「あおっ‥!!」



雪は真っ青になりながら、口元を押さえてあからさまに動揺した。ガクガクと足が震える。

しかし淳はというと、彼女の方を向いたままポケットから財布を取り出している。

「あ‥あ‥あ‥?」「あ‥」



「これ‥」






そう言って差し出された淳の手には、千円札が四枚握られていた。

淳は彼女がお願いした何倍もの額を渡そうとする。



真っ直ぐに彼女を見つめる彼の瞳は、澄んでいた。

彼女からの頼み事に、ただ純粋に応えるような。







雪は彼の顔を見上げながら、ポカンと口を開けたまま固まっていた。

熱に浮かされた頭でも、だんだんと今の状況を理解して行く。



そして気付いた。

とんでもないことをしてしまったのだと。よりによって青田淳に。

あの、青田淳に。

カアッ



瞬間、火がついたように顔が赤くなった。

心が、身体が、全てが燃える。



淳は彼女の表情が歪むのを見て、目を丸くした。

雪はアタフタと慌てながら、必死にその理由を説明する。

「す、すいません!ちょっと間違えちゃって‥

私今‥ちょっとおかしいんです。その‥服が同じで、」




「太一かと思っちゃって‥」



「本当にすみませんでした、先輩!」



淳は彼女が紡ぐ言葉よりも、バカ正直に紙幣を差し出した今の自身に驚いていた。

人違いだなんて冷静に考えればすぐに分かったのに。

突然の予想外の出来事を前にして、淳はそれにすら気が付かなかったのだ。

「それじゃ‥」



しかし雪はそんな彼のことになど気が回らなかった。

雪は今恥ずかしさと惨めさで、一刻も早くこの場から立ち去りたかったから。

「さようならっ‥」



淳は彼女が口にした別れの挨拶を耳にして、ようやく雪がこの場から去って行くことに気が付いた。

弾かれたようにその背中へと手を伸ばす。

「いや、これは‥」




バッ!



彼女の腕を掴もうとした淳の手を、雪は瞬時に振り払った。

振り返りもしないまま、完全なる拒絶を彼に示す。






チラリと見えた口元は、言葉にならない声を漏らして震えていた。

雪はそのまま猛ダッシュで、一目散に逃げて行く。

「失礼しましたーー!!」







まるで秋の嵐だった。

淳は突然吹き込んだその風に心を乱されたまま、ただ呆然と立ち尽くす。



心の中がざわめいていた。ざわざわ、ざわざわと。

そして彼女が去って行ったその方向へと、ゆっくりとその足を一歩踏み出す‥。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<雪と淳>赤面 でした。

今回の構図の美しさときたら!

カメラワーク、センスありますよね~。

こことか、壁の少し手前から描かれてるのがにくいね~!(興奮)



台詞は少ないですが、伝わるものがありますよね。う~ん本当すごい。。


次回は<雪と淳>彼女の劣等感 です。


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<雪と淳>勘違い

2016-04-05 01:00:00 | 雪2年(学祭後~保健室にて)
学祭も終わり、再び日常がやって来た。



しかし雪はというと、未だに学祭準備の時からの不調を引き摺っている。

雪はズキズキと痛む腹部を押さえながら、全く耳に入って来ない授業を聴いていた。

「‥‥‥‥」



痛みのピークが去っても、体調は最悪だ。

今日マジでヤバイかも‥何日も経ってるのにどうして一向に良くならないの?



明らかに顔色は悪いが、隣に座った聡美は寝ているし、

太一は同期と座っているので、誰も雪の不調に気づかなかった。

咳が出ないだけで風邪も治りきってない感じだし‥胃も痛い‥



なのに追い打ち‥教養授業の連続講義まである‥



こなさなければならない授業は多いのに、胃の痛みで目の前がぐらぐらと歪む。

雪はなんとか教養の授業までは聴くことが出来たが、それ以上は無理そうだった。

痛くなったり治まったり‥とてもじゃないけど授業に集中出来なかった‥



病院行って薬もらって‥



そう思って財布を開く雪。しかしそこには札が一枚も入っていなかった。

昨日母からおつかいを頼まれたのもあって、明らかに金欠だ。

なんてこった‥



財布から銀行のカードを取り出してみるも、使えるかといったら話は別だ。

う‥銀行にまだお金残ってるっちゃ残ってるけど‥

ここで使えば後の生活費にしわ寄せが‥すでにオーバーしてるしな‥




うう‥



バイトをして生活費を稼ごうにも、まずは身体を治さないと始まらない。

しかし脳裏には、昨日母がこぼしていた小言ばかりが思い浮かぶ。

「お父さん、今日も帰って来ないの?」

「このマンション、私名義じゃなかったらとっくに人手に渡ってるわよ!」

「生活費が足りなくて‥」







頼るべきところは、どこにも無かった。

重たい身体が、その現実を前にますます重く沈み込む‥。



ふと目線を上げると、自販機の前に見知った後ろ姿があった。

長身に黒いロングコート。



「あ‥太一」



藁をも掴む思いで、雪はその後姿へと近づこうとした。

しかし心に残ったプライドの切れ端が、ピタと雪の足を止める。

「‥‥‥‥」



雪は躊躇いの中に居た。

こんなことを頼むのは、生まれて初めてのことなのだ。



今まで聡美にはおろか、太一にはお金の話なんて、一度も口に出したことなかったのに‥



太一から「今日あの店に行ってみませんか」と誘われても、いつも「忙しいから」とその本当の理由を口にしなかった雪。

いくら親しい友人といえど、その線を越えたことなど一度も無かったのだ。



それでも今は、なりふりかまってはいられない。

雪は自身を押し殺して、そろりと太一の方へと歩いて行く。

まぁいいか‥今回だけ‥今回だけなら‥









彼女が近付いて来ていることなど微塵も気付いていない彼は、一人自販機の前で佇んでいた。

しかし彼は雪が思っていた人物、福井太一ではなかった。

彼女が徹底的に避けているその人、青田淳だったのである。



淳は、出て来た缶ジュースを手に取るとゆっくりとプルトップを開けた。

しかしそれに口を付ける様子はない。

「‥‥‥‥」



頭の中には、彼女の後ろ姿ばかりが浮かんでいた。

いつもつるんでいる友人達と歩いて行く背中や、勉強に疲れたのか突っ伏して眠っている背中ばかりが。

 

ようやく横顔が見えたかと思えば、すぐに後ろを向いてしまう。

「淳がアイスおごってくれるってよ。行こうぜ」

「いえ、胃の調子が良くないので」



淳はずっと、その後姿ばかりを見て来た。



ずっと。





間が‥



会話を始める一瞬の間さえ‥



彼女の前にある扉はひどく分厚くて、接触を試みても完全にシャットアウトされてしまう。

会話一つ、まともに出来ぬ程に。



カンッ



胸中が苛立ちに騒いでいた。

淳はその場に立ち尽くしながら、初めて感じるその感情をただただ持て余す。

‥だからなんでいつもいつも



俺は一体何を‥




その時だった。




「あの‥」



小さな、聞き覚えのあるその声。

いつの間にか淳の隣に、俯いた彼女が立っていた。







鼻を啜りながら、淳の隣に佇む雪。

思いもよらない展開に、淳はただ目を剥いてその場に立ち尽くす。



雪は彼の方を見ないまま、決まり悪そうに言葉を紡ぎ出した。

「私今日うっかりカード忘れて来ちゃって‥だから‥もし現金持ってたら千円‥」



「いや二百円程貸してもらえないかな?」



雪は小さな声でそう言うと、彼の服の端を握ったまま口元をぎゅっと結んで俯いた。

彼女の勘違いが生み出したこんな状況に、淳は信じられない思いで相対する‥。





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<雪と淳>勘違い でした。

雪ちゃん‥病院代くらいはお母さん出してくれると思うよ‥(T T)

親の気持ちになると本当切ないですよね。こんなになるまで我慢して‥と胸が痛くなります。


そして淳は、どんどん雪が気になって来てますね。
缶ジュース投げ捨てるくらいイライラしちゃって‥。


しかし雪‥太一と淳を間違えた!実は服の趣味、先輩と太一は似ているのでしょうか。

そういえば昔こんな一コマもありましたね。

 

昔といっても、時系列ではこの後の話なのですよね、これ。
変な感じです(^^;)
ていうか欲しい服親戚に頼んで買って来てもらったのか淳‥。なんかイメージじゃないな‥


次回は<雪と淳>赤面 です。


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<雪と淳>彼との相違

2016-04-03 01:00:00 | 雪2年(学祭準備~学祭)



雪はふらつく身体で、学祭に浮かれた構内を歩いていた。

まるで鉛でも飲み込んだかのように、その足取りは重い。







疲れ切った顔で辺りを見回してみると、皆楽しそうに笑っていた。

窮屈な日常の合間にある非日常を、誰しもが心から楽しんでいるように見える。



あまりにも、自分とは違っていた。

同じ大学生なのに、同じ立場であるはずなのに、彼らとは何もかもが違って見える。






雪は疲れて凝り固まった顔を、手の平でぐいぐいとほぐしてみた。

それでも口から漏れるのは、疲れ切った溜息だけだ。







ぼんやりと前を見つめながら、雪は昨日彼が口にしたその言葉を思い出していた。

やったからって誰も見てないって



そしてその言葉を、覆すかのような今日の皆の反応も。

「先輩、まだ調子悪かったら今日はもう帰って下さい。昨日は一人で大変だったんですから」

「淳がいなかったらまともに準備も出来なかったって」

「風邪引いてるなんて知らなくて‥知ってたらうちら残ったのに!」



モヤモヤとしたものが、胸の中に広がって行く。

良かったね。見ててくれる人が沢山居て



心の中で呟いたその皮肉は、昨日の自身の姿をどんどん惨めにした。

急に降り始めた雨の中、誰にも気づかれないのに、作業を続けた自分‥。



ある意味、青田淳の言った通りだった。

やったって誰も見てはくれない、きっと彼もそれを分かっていた。

あの時‥帰れって言われた時、

そのまま帰って勉強でもしてれば良かったのに




どうして私は‥残って作業して、雨に降られて、ストレス溜めて‥

結局学祭に参加さえ出来ないのに‥




疲労で重たい身体を引き摺りながら、皆が学祭を楽しんでいる構内を後にする雪。

脳裏には、熱に浮かされて寝込んでいる彼の姿が浮かぶ。



あの時雪は、確かに思ったのだ。

もしかしたらこの人も、私と‥



同類なのかもしれない、と。






思わずプハッと、雪は吹き出した。

似てるとか‥ありえないっつーの!



プクク‥



自虐的な笑いが、だんだんと込み上げて来る。

私、バカじゃん?恥ずかしげもなくあんな風に考えて‥マジありえないから!



はは‥



考えれば考える程、彼との相違を感じて可笑しくなった。

こんなことを考えているのなんて、世界中で自分くらいのものだろう、と。

マジで私が一番変人だわ



雪は自虐的な自身の考えに笑った。

自分が”変”であることを前提にして。


するとそんな彼女の元に、メールが一通届いた。

帰ってくる時、お惣菜買って来てくれる?

最近余裕なくて、おかずが切れてることにも気付かなかったわ




母から、夕飯のおつかいのリクエストだった。

しかし今雪の財布には、手持ちが随分と少なかったはず‥。

それ買ったら、明日の私のお昼ご飯‥



ちょっと計算してみたものの、深く考えるのは止めにした。

雪は薄く微笑みながら、様々なことを諦める。



うん、まぁどうにかなるさ!



そして雪はそのまま、学祭に参加することなく家へと帰って行った。

彼女が去った後の構内では、楽しそうな声が響き続けている。



雪が準備に奮闘した経営学科のバーも、大盛況に終わった。

その賑わいも皆の笑顔も、雪が目にすることは無かったけれど。



そしていつしか、祭りは終わった。

雪と淳不在の学祭は、これにて幕が下りたのだった。






・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<雪と淳>彼との相違 でした。

長かった学祭準備から学祭までがこうして終わりました。

でも本番は雪も淳も不在なんですね。二人のエプロン姿見たかったなぁ‥。


次回は<雪と淳>勘違い です。

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<雪と淳>無意識の許容

2016-04-01 01:00:00 | 雪2年(学祭準備~学祭)
バーで目覚めた淳は自分の鞄の中に入っていた折りたたみ傘を、

そっとその場に置いて来た。まだ雨はザアザアと降りしきっていたが。



寝ている彼女にブランケットを掛け、そのまま淳はその場を去った。

それが昨日のこと。








今日になってしきりに、後方に気配を感じていた。

皆と別れ、一人になると尚の事気配は強くなる。

ゴホッゴホッ!



というか、全く隠し切れていないのだ。

彼女は常に咳き込んでいたし、柱の陰には常にその姿が見え隠れした。



傘を握り締めながら、咳込み、鼻を啜る彼女。

気づかれてないとでも思っているのだろうか。






淳はチラと後方を窺いながら、そのまま一人歩き続けた。

無意識にその歩調を、僅かに緩めながら。






彼女はずっとついてくる。一体いつ傘を渡してくるのだろうか。

彼女と自分を繋ぐ接点は、一体どうやって繋がるんだろうかー‥。

ふっ






今自分が微かに笑ったことに、淳は驚き口元に手を当てた。

いつの間にか、無意識下で許容していた彼女の存在。彼女に対して、こんな感情を持つなんて‥。









突如、思い浮かぶ光景があった。

淳は目を見開きながら、その暗い記憶を一人辿る。

聞こえてくるのは、まだ高校生だった自身の笑い声‥。

「ははは!はは‥」



「は‥」



それは亮と静香と共に、公園で花火をした時のあの記憶だった。

自分はどうしていつも肩肘張って一人で足掻いているのだろうと、自由奔放な亮と静香を見ていて可笑しくなった‥。







ひとしきり笑った淳が夜空を見上げていると、そんな淳を見ていた亮と静香はニコッと笑った。

楽しそうに。心から嬉しそうに。

「淳ちゃんってばー」「こいつめー」



「んな風に笑ってんの初めて見たぞオイ!はははっ」



そして亮は、こう言ったのだった。

楽しそうに、心からその言葉を。

「変なヤツー」








雪はじっと彼のことを凝視していた。

気難しそうに口を噤み、じっと何かを考える彼の横顔を。







青田淳は腕組みをしながら、皆の中で静かに佇んでいた。

表情無く俯く彼を見て、キノコ頭こと、金城美沙が声を掛ける。

「あれ?!先輩、まだ調子悪いんですか?!」



その騒がしい声を契機に、周りの視線は淳に集まり始めた。

「ホントだ!顔色も悪いですよー」「昨日残って一人で作業されたんでしょう?」

「ええー大丈夫?」



糸井直美が皆に向かって、昨日の作業についてかいつまんで説明し始める。

「そういえば雪ちゃんとうちらがポスター貼りの仕事残して帰ったから、

淳君一人で全部やったんだよね。風邪引いてるなんて知らなくて‥知ってたらうちら残ったのに!」



「ごめんね~?」

「先輩、まだ調子悪かったら今日はもう帰って下さい。

昨日は一人で大変だったんですから」




すると淳の隣に居た柳が、皆の気持ちを代弁するかのようにこう語り始めた。

「うんうん、淳はスゲーよ」



「ぶっちゃけインフルのせいでグダグダ感半端ねーし。

淳がいなかったらまともに準備も出来なかったって」




ざわざわ、ざわざわと、喧騒が淳の感覚をぼかして行く。

自身のことを言われているのに、その騒がしさの間に沈み込んで行くような、そんな感覚だった。

「一人で皆をまとめて後片付けまでやってよぉ」「ですよね!」

「うん‥」



曖昧に、ぼんやりと頷く淳。

するとそんな彼の意識を引き戻すかのような音が、その場に響いた。

タン!







いつの間にか隣に来ていた雪が、傘を机の上に置いた。

彼女は若干強張ったような表情で、彼の方を見ぬまま固まっている。







淳はまだどこかぼんやりとした表情で、そんな彼女の横顔をじっと見つめていた。

そして先ほどまで皆が話していた内容を思い出し、あっと気がつく。



淳はいつもの笑みを浮かべると、皆の方を向いて口を開いた。

「いや、雪ちゃんも‥」



しかし雪は、何も言わぬままただペコリとお辞儀をして去って行った。

自分も残って作業したとも、その大半を自分がやったとも、一言も漏らすこと無く。



「何だ?」「傘?」



淳はあんぐりと口を開けながら、小さくなる彼女の背中をただ見つめるしかなかった。

彼女と自分を繋ぐその接点が、プツリと切れた現状を目の当たりにしながら‥。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<雪と淳>無意識の許容 でした。

嫌悪するべき存在に対して、淳が無意識下で漏らした笑み。

それは雪に対しても、昔の河村姉弟に対しても同じだったんでしょうね。

淳が花火の記憶の後また固く口を噤んだのは、心の扉が緩んでも、どうせまた裏切られると思い直したのかな。

ここから淳の感情がどう転んで行くのか、楽しみですね~

2016.4.1
スンキさんのブログにて、ストレス性腸炎の為、本家は三週間休載とのことです(T T)

ということで、このブログがまたまた最新話に追いつく日も近そうです。。うう‥

しかしストレス性腸炎て‥まんま雪ちゃんですねスンキさん‥お大事に‥


次回は<雪と淳>彼との相違 です。

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