この動画を観ていたら、ふっと遠い遠い昔の原風景が蘇ってきました。
https://youtu.be/au6iwAie2xg
状況も場所も全く違いますが私の琴線に触れたんです。
或る秋の日。母の実家からの帰り。
夕暮れの、彼方の温泉に続く砂利道。
それは長い上り坂。
私は父が押す古ぼけた自転車の、座布団をくくりつけた荷台で居眠り。
幼い弟は後ろを歩く母の背中。
まばらな家々と木の電柱に灯る裸電球。
ボンネットバスが脇を通り過ぎて、砂埃りが舞い上がる。
山の硫黄鉱山からの索道の音が聞こえる。
あと少しでバス停の横、集落の入り口の雑貨屋。
松の木のある一里塚を右に入れば道は平ら。
山のふもと、養蚕小屋の一階の家は、もうすぐ。
あの日、無言で自転車を押していた父も、
後ろを歩いていた母も、もういない。