こんな私が子宝に恵まれて
ダメ人間から多少脱出したかのように見えていても
やはり根本を覆せるわけでもなく
それでもなんとか私なりに模索しつつ
子どもと対峙しようと毎日格闘しております。
ラプンツェルの
悪い偽母親のことを今でも考えています。
若さと美貌を保つためだけに
危ない橋を渡って子どもを誘拐してきたわけで
その子を手放さないために
あらゆる手段を用いて
なんとか子どもを幽閉して18年。
もともと肝の据わった悪者気質があるとしても
それはそれは気の抜けない毎日です。
一緒に暮らしている唯一の人間(ラプンツェル)には
四六時中嘘をつき続け
さらに追手がいつくるか分からない状況。
体制に歯向かっているわけですから、
見つかったら最後、死の覚悟です。
そこまでして、あの女は若さと美貌を保持したかったのか。
さもありなん。
女なので、まあ気持ちは分かります。若さと美への執着。
でも誘拐してしまった手前、もう引き返せない。
っていう理由と、
もうひとつ
わたしはこの犯罪における利点を発見しました。
悪い女は18年間、孤独ではなかった。
ということです。
あの明るくて、元気で、かわいらしい女の子が
お母様お母様
と慕ってくれる。
悪い母親はラプンツェルに歌を教えました。
掃除も洗濯も、料理も教えて、
部屋はいつも可愛く清潔に保っていた。
ラプンツェルの好物も知っていたし、
得意の画で壁を塗りたくっても
何にも文句を言わなかった。
時には遠い町まで絵具を買いに行ってあげたりした。
なんだか考えれば考えるほど、悪い女には愛情とはいえないまでも
子どもを育てることの義務や意識がしっかりあったように思える。
まあ物語ですしディズニー映画ですから
明るく楽しく、その誘拐部分はふんわり描かれているんだけど。
でもあんなにかわいい女の子がいたら気持ちが救われたりしたんではない?
逆にあの子がいなかったら
暗い薄暗い人生だわよ。
は。
そして私は気がついた。
うちの子が私のもとを旅立ったら…。
子どもがいなくなって
若さがすっかり失われ
孤独な人生を生きるのか。
その日のために
心の準備をしておく。