「志」の英語教育

英語教育実践について日々の雑感を語ります。

目は口ほどに

2008-11-18 21:36:40 | その他
河合塾の情報誌ガイドラインが届く。特集が「PISA型読解力と大学入試」で非常に興味深いが、とりあえず現時点ではコメントなし。その代わりというわけではないが、「言語脳科学への誘い」という記事を読んで感じたことをちょっとだけ記したい。筆者は東北大学の佐藤滋先生である。

「対面コミュニケーションと、動画を使ったコミュニケーションでは、脳活動の領域が異なることが分かりました。」

簡単に言えば、ビデオ映像の相手と会話をするときに、テレビ電話のようにリアルタイムで会話をする場合と、ビデオに録画した相手と擬似的に会話をするのでは脳の活動が異なるということである。

言語活動と脳の活性度についての話は、半分眉につばして聞かなければと思っているが、この話を聞いてふと思い出したことがある。

ずいぶん昔のことだが、あるALTと英語キャンプに参加したときのことである。日中、外での活動が多く、そのALTは屋外ではサングラスをしていた。

気心の知れているはずのそのALTが、ただサングラスをしているというだけで、会話が何となくぎこちなくなるのだ。なぜだか相手の言うことが分かりにくいのである。

そう言えば、かなり英語が堪能な人でも電話は苦手だと言ったりすることがあると聞く。もしかすると、これらはすべて同じ所に原因があるのではないか。

私たちは会話をするときに、自分たちが思う以上に無意識的に相手の様子をうかがい、それに応じた反応をしているのだと思う。そして、そのときに一番重要なのがおそらく目なのだ。

ビデオに録画された相手は自分の言葉に反応しない。そのことが分かっているから、被験者は言語を通じて以上のコミュニケーションのセンサーを無意識的に切ってしまっているのだろう。

相手の反応がすべて予想できるコミュニケーションはもはやコミュニケーションではないのかもしれない。なるほどコミュニケーションとは奥が深いものである。


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