転記 ダイヤモンド社
疑いは震災直後の“校長のひと言”から始まった
大川小遺族が指摘する「震災後の人災」
3
教諭は、地震直後の学校の裏山の様子について触れていた。
<体育館の通路のところからみているときに、何度も揺れが来て、山の方で木が倒れたり、様子を見ました>
津波に襲われた後のことも、
<余震が来て揺れるたびにメキメキと木が倒れる音がしました>
と、証言した。
当時6年生だった三男の雄樹くんを亡くした佐藤和隆さんは、こう不審がる。
「山の木というのは根っこが張っているから、簡単に地震では倒れないはず。木がバタバタ倒れるくらいの揺れなら、家なんて全て倒壊ですよ。自然が大好きで、山登りが得意だったこの先生が、そのことをわからないはずがない。実際に木は倒れていなかったんだ」
この日の説明会では、男性教諭も、倒木が避難させなかった理由だとは説明していなかった。
しかし、この後に公開された文書を追っていくと、倒木は、校庭に避難していた児童を裏山に二次避難させなかった理由だと説明されていく。後に文書の存在が明らかにされる、3月25日の聞き取り書の中でのことだ。
この男性教諭の調書には、作成された日が記載されていない。添えられた死者・行方不明者数の統計数をみると、少なくとも4月中旬以降に作成されたものであることがわかる。聞き取ってすぐのタイミングで作成されたものではない。
震災から2ヵ月後の5月には、20人あまりの子どもたちからの聞き取りも、市教委によって行われた。
和隆さんは、この子どもたちの調書についての不審点も挙げる。
「文面を省いている。津波が来る前に学校を離れて助かった児童に、雄樹の最期を知りたい、分かる範囲のことを教えくれって、その子の母親の立ち会いの下で、色々と話してもらった。
雄樹くんたちは、先生に向かって、何で山に逃げないの、ここにいたら地割れして地面の底に落ちていくと、訴えていたって。子どもらしい発想でしょ。その子は、聞き取りの時にもその話をしたと言っていたが、調書には書かれていないんだ。他にもしゃべったことが書かれていないという子がいる。だけど、聞き取りメモは(指導主事によって)廃棄されているから、言ったという証拠がない」
疑いは震災直後の“校長のひと言”から始まった
大川小遺族が指摘する「震災後の人災」
3
教諭は、地震直後の学校の裏山の様子について触れていた。
<体育館の通路のところからみているときに、何度も揺れが来て、山の方で木が倒れたり、様子を見ました>
津波に襲われた後のことも、
<余震が来て揺れるたびにメキメキと木が倒れる音がしました>
と、証言した。
当時6年生だった三男の雄樹くんを亡くした佐藤和隆さんは、こう不審がる。
「山の木というのは根っこが張っているから、簡単に地震では倒れないはず。木がバタバタ倒れるくらいの揺れなら、家なんて全て倒壊ですよ。自然が大好きで、山登りが得意だったこの先生が、そのことをわからないはずがない。実際に木は倒れていなかったんだ」
この日の説明会では、男性教諭も、倒木が避難させなかった理由だとは説明していなかった。
しかし、この後に公開された文書を追っていくと、倒木は、校庭に避難していた児童を裏山に二次避難させなかった理由だと説明されていく。後に文書の存在が明らかにされる、3月25日の聞き取り書の中でのことだ。
この男性教諭の調書には、作成された日が記載されていない。添えられた死者・行方不明者数の統計数をみると、少なくとも4月中旬以降に作成されたものであることがわかる。聞き取ってすぐのタイミングで作成されたものではない。
震災から2ヵ月後の5月には、20人あまりの子どもたちからの聞き取りも、市教委によって行われた。
和隆さんは、この子どもたちの調書についての不審点も挙げる。
「文面を省いている。津波が来る前に学校を離れて助かった児童に、雄樹の最期を知りたい、分かる範囲のことを教えくれって、その子の母親の立ち会いの下で、色々と話してもらった。
雄樹くんたちは、先生に向かって、何で山に逃げないの、ここにいたら地割れして地面の底に落ちていくと、訴えていたって。子どもらしい発想でしょ。その子は、聞き取りの時にもその話をしたと言っていたが、調書には書かれていないんだ。他にもしゃべったことが書かれていないという子がいる。だけど、聞き取りメモは(指導主事によって)廃棄されているから、言ったという証拠がない」