転記 ダイヤモンド社
大川小児童の遺族が立ち上がってから4ヵ月 明らかになった真実、隠され続ける真相とは
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教諭たちの間では、裏山に逃げるべきか、校庭にとどまるべきかで議論をしていた。市教委の報告書には、<教頭は「山に上がらせてくれ」と言ったが、釜谷(地区の)区長さんは「ここまで来るはずがないから、三角地帯に行こう」と言って、けんかみたいにもめていた>と記されている。
教頭と教務主任という、学校現場の両責任者が、山に逃げようと主張していたにもかかわらず、なぜ行動に移せなかったのか。この点が、いまだに明らかにされずにいる。
学校の裏山は、ソリ滑りが出来るほど傾斜の緩やかな場所があり、校庭から40秒から50秒でたどり着く。子どもたちにとって、シイタケ栽培の学習でなじみのある場所でもあった。
子どもたちの列は崩れて丸くなり、「大丈夫だぞ」「こんなところで死んでたまるか」などと励まし合っていた。
この間、A教諭は、校舎の2階に避難が可能かどうか確認しに行っている。
午後3時29分、迎えに来た母親の1人(死亡)が、「子どもと学校にいます。」というメールを夫に宛てて送った。
町の側溝からは水が噴き出し、堤防からは水があふれ始めた。児童の1人が、学校の前の住民の「津波が来たぞ!」と言った声を聞いた。
子どもたちが逃げた経路
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午後3時35分過ぎ、教頭先生が「三角地帯(釜谷地区の入り口にある北上川の堤防)へ逃げるから、走らず、列を作っていきましょう」と呼びかけ、子どもたちの移動が始まった。
なぜ、それまで裏山か校庭かの議論にはなかった三角地帯を目指すことになったのか。これも、まだ明らかにされていない。
津波に襲われる1分ほど前(午後3時35~36分頃か)、子どもたちは校庭のフェンスのすき間から出て、学校脇の道路を左に折れた。三角地帯に向かうには、右に折れて県道に出るのがもっとも単純で短いルートなのに、なぜか、逆の方向に向かった。
校舎から戻ってきたA教諭は、逃げ始めていた子どもたちの後ろについたことを証言している。その頃、学校前を通った釜谷の住民の高橋和夫さんは、大人か子どもかははっきりしないものの、十数人が校庭に残っていたことを覚えている。
学校脇に建つ釜谷交流会館の前で、学校前の様子を見に行っていた教頭先生が、「もう津波が来ているから、急いで!」と大声をあげて戻ってきた。子どもたちはあわてて、釜谷交流会館浦の駐車場から民家の裏の路地を走った。そこから小さな畑や排水溝のある比較的幅のある通路を右に曲がり、民家の間を抜けて県道を目指した。
大川小児童の遺族が立ち上がってから4ヵ月 明らかになった真実、隠され続ける真相とは
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教諭たちの間では、裏山に逃げるべきか、校庭にとどまるべきかで議論をしていた。市教委の報告書には、<教頭は「山に上がらせてくれ」と言ったが、釜谷(地区の)区長さんは「ここまで来るはずがないから、三角地帯に行こう」と言って、けんかみたいにもめていた>と記されている。
教頭と教務主任という、学校現場の両責任者が、山に逃げようと主張していたにもかかわらず、なぜ行動に移せなかったのか。この点が、いまだに明らかにされずにいる。
学校の裏山は、ソリ滑りが出来るほど傾斜の緩やかな場所があり、校庭から40秒から50秒でたどり着く。子どもたちにとって、シイタケ栽培の学習でなじみのある場所でもあった。
子どもたちの列は崩れて丸くなり、「大丈夫だぞ」「こんなところで死んでたまるか」などと励まし合っていた。
この間、A教諭は、校舎の2階に避難が可能かどうか確認しに行っている。
午後3時29分、迎えに来た母親の1人(死亡)が、「子どもと学校にいます。」というメールを夫に宛てて送った。
町の側溝からは水が噴き出し、堤防からは水があふれ始めた。児童の1人が、学校の前の住民の「津波が来たぞ!」と言った声を聞いた。
子どもたちが逃げた経路
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午後3時35分過ぎ、教頭先生が「三角地帯(釜谷地区の入り口にある北上川の堤防)へ逃げるから、走らず、列を作っていきましょう」と呼びかけ、子どもたちの移動が始まった。
なぜ、それまで裏山か校庭かの議論にはなかった三角地帯を目指すことになったのか。これも、まだ明らかにされていない。
津波に襲われる1分ほど前(午後3時35~36分頃か)、子どもたちは校庭のフェンスのすき間から出て、学校脇の道路を左に折れた。三角地帯に向かうには、右に折れて県道に出るのがもっとも単純で短いルートなのに、なぜか、逆の方向に向かった。
校舎から戻ってきたA教諭は、逃げ始めていた子どもたちの後ろについたことを証言している。その頃、学校前を通った釜谷の住民の高橋和夫さんは、大人か子どもかははっきりしないものの、十数人が校庭に残っていたことを覚えている。
学校脇に建つ釜谷交流会館の前で、学校前の様子を見に行っていた教頭先生が、「もう津波が来ているから、急いで!」と大声をあげて戻ってきた。子どもたちはあわてて、釜谷交流会館浦の駐車場から民家の裏の路地を走った。そこから小さな畑や排水溝のある比較的幅のある通路を右に曲がり、民家の間を抜けて県道を目指した。