<疑いは震災直後の“校長のひと言”から始まった
大川小遺族が指摘する「震災後の人災」
<6
遺族が求めるのは
「真実」と「死の意味付け」
山の脇に建つ大川小。同校の子どもたちは、昔から、この山に登って遊んでいたという。(2011年4月5日)
Photo by Yoriko Kato
市教委は、このように重要な初期情報を、1年以上にわたって公表せずにいた。
一連の聞き取り記録の中で、遺族が指摘する点だけを取りあげても、不審点がこれだけ出てくる。文書の不備や間違いを合わせると、問題点はまだある。遺族は、こうしたひとつひとつに、不信感を募らせながらの日々を過ごしてきたが、それでも、教育委員会との対立は望んでいないと言う。
「やっぱりね、生き残った先生のお気持ちをどうしても考えるわけですよ。それとね、流されてしまった先生たちの無念さも。だって、子どもを救えなかったことは、先生たちにとっては非常につらいことだったはず。子どもに対して、本当に申し訳ないと思っていると思う。私は失敗してしまったと、たぶん、あの波に呑まれた瞬間、あるいはあの世でも、そう思っていると思うんですよ」
教員である佐藤敏郎さんは、自分がそれを代弁しなければと言う。
遺族には、子どもたちが大好きだった大川小の教員を責める気持ちはないのだ。
むしろ、最後まで子どもたちのために必死で動いていたとみられる教職員たちが、なんらかの原因によって、津波が襲来するまで校庭にいるという判断ミスをする状態になったと考えるに至っている。
遺族たちが知りたい部分は、ほとんどその部分に集約される。
「暴露も対立も、子どもは喜ばない。亡くなった先生たちは、悔しいと思いますよ。ちゃんと謝ってくれよと、思っていると思いますよ。教育委員会の先生方も、それはどこかで分かっているのではないか。
俺らはそういう(対立する)関係に好きでなったわけではないんだけど、それぞれの立場で、向き合えないかなと思うんです」(佐藤敏郎さん)
そして、市教委や学校側の責任は、男性教諭がきちんと証言をし、校庭にいた50分間の経緯がわかった時点で、議論されるべき、とする。
前例のない未曾有の事故だからこそ、まずは共に協力し合って、事実を求め、新たな前例を作っていこうとの呼びかけだ。
「教育委員会にはその自覚を持って欲しい。ちゃんと命の話をして、子どもたちや先生方が死んだことを、俺たちが歴史のなかに意味づけしていかなきゃ」
佐藤敏郎さんの言葉に、紫桃さんも和隆さんも、大きく頷いた。
(加藤順子)
大川小学校関係者や地域の方、一般の皆さまからのお話をお聞きしたいと思っています。情報をお持ちの方は、下記までお寄せください。
teamikegami@gmail.com(送信の際は「@」を半角の「@」に変換してお送りください)
大川小遺族が指摘する「震災後の人災」
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遺族が求めるのは
「真実」と「死の意味付け」
山の脇に建つ大川小。同校の子どもたちは、昔から、この山に登って遊んでいたという。(2011年4月5日)
Photo by Yoriko Kato
市教委は、このように重要な初期情報を、1年以上にわたって公表せずにいた。
一連の聞き取り記録の中で、遺族が指摘する点だけを取りあげても、不審点がこれだけ出てくる。文書の不備や間違いを合わせると、問題点はまだある。遺族は、こうしたひとつひとつに、不信感を募らせながらの日々を過ごしてきたが、それでも、教育委員会との対立は望んでいないと言う。
「やっぱりね、生き残った先生のお気持ちをどうしても考えるわけですよ。それとね、流されてしまった先生たちの無念さも。だって、子どもを救えなかったことは、先生たちにとっては非常につらいことだったはず。子どもに対して、本当に申し訳ないと思っていると思う。私は失敗してしまったと、たぶん、あの波に呑まれた瞬間、あるいはあの世でも、そう思っていると思うんですよ」
教員である佐藤敏郎さんは、自分がそれを代弁しなければと言う。
遺族には、子どもたちが大好きだった大川小の教員を責める気持ちはないのだ。
むしろ、最後まで子どもたちのために必死で動いていたとみられる教職員たちが、なんらかの原因によって、津波が襲来するまで校庭にいるという判断ミスをする状態になったと考えるに至っている。
遺族たちが知りたい部分は、ほとんどその部分に集約される。
「暴露も対立も、子どもは喜ばない。亡くなった先生たちは、悔しいと思いますよ。ちゃんと謝ってくれよと、思っていると思いますよ。教育委員会の先生方も、それはどこかで分かっているのではないか。
俺らはそういう(対立する)関係に好きでなったわけではないんだけど、それぞれの立場で、向き合えないかなと思うんです」(佐藤敏郎さん)
そして、市教委や学校側の責任は、男性教諭がきちんと証言をし、校庭にいた50分間の経緯がわかった時点で、議論されるべき、とする。
前例のない未曾有の事故だからこそ、まずは共に協力し合って、事実を求め、新たな前例を作っていこうとの呼びかけだ。
「教育委員会にはその自覚を持って欲しい。ちゃんと命の話をして、子どもたちや先生方が死んだことを、俺たちが歴史のなかに意味づけしていかなきゃ」
佐藤敏郎さんの言葉に、紫桃さんも和隆さんも、大きく頷いた。
(加藤順子)
大川小学校関係者や地域の方、一般の皆さまからのお話をお聞きしたいと思っています。情報をお持ちの方は、下記までお寄せください。
teamikegami@gmail.com(送信の際は「@」を半角の「@」に変換してお送りください)