転載 ダイヤモンド社
ついに国主導で“大川小の惨事”検証へ
遺族が文科省に抱く大きな期待、よぎる不安
<6
「(大川小では09年度から)各方面でこうした状況が増えました。このことは3月11日の教員集団が、子どもを守る集団として機能しなかったことと無関係ではないと思いますが、検証の対象になるのでしょうか」
遺族たちが、懸命に我が子の遺体を探していたとき、年休で学校に不在だった校長は、第3配備体制にもかかわらず、震災後もずっと避難所にいて、大川小に捜索に行く保護者たちを「行ってらっしゃい」と見送っていたという。
校長が学校現場に来たのは、震災から1週間近く経った3月17日のこと。
「報道陣の車に乗って、まだ遺体捜索の続く学校に着くやいなや金庫を探し、校舎の写真だけ撮ると、立ち去って行きました」(目撃した遺族) いったい、柏葉元校長は、学校の最高責任者として、どのような理念や哲学で、学校を経営していたのだろうか。
10月28日の市教委と遺族の話し合い(第7回説明会)では、柏葉元校長は、校長ならだれもが熱く語れるはずの学校経営の理念についての質問に、こう答えている。
「子どもたちに、自分の思いが、えー、達成に向けて自分なりに頑張っていける、子どもをつくるために、えー、学校経営に当たってきました」
――学校教育目標は、校長先生になってからつくられたのですか?
「1年目は、そのまま前の学校目標ですけど、2年目については、私のほうで考えて、つくりました」
遺族は、こう問いかける。
<7
「校長先生が考えられた学校教育目標は、(具体的に)浮かばないですよね。もしかしたら、そこがいちばん大事なところだったのではないかなと」
54家族にはそれぞれの思いが詰まった20ヵ月がある。子どもが亡くなったことで、大川小のPTAのメンバーでもなくなり、学校という存在から切り離された生活を送る人も多い。
すでに1年8ヵ月が経過したが、遺族の、市教委や市に対する不信感は相変わらず強いままだ。
この4者会談は、事態の進展に期待を寄せて集まってきた遺族たちにとっては、お互いの再会の場でもあり、話し合いや情報交換のきっかけになっていくのかもしれない。
事態の解決に向け、設置されることになる検証委員会には、副大臣、官房長らによる遺族への説明やタイミング、スピード感などをみても、文科省の本気度が感じられて、ようやく一歩前へ進むことにはなりそうだ。
あの日、子どもたちや先生たちが味わった無念の思いを、決して“学校だけ”“現場だけ”の問題で片づけてはいけない。
(池上正樹、加藤順子)
ついに国主導で“大川小の惨事”検証へ
遺族が文科省に抱く大きな期待、よぎる不安
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「(大川小では09年度から)各方面でこうした状況が増えました。このことは3月11日の教員集団が、子どもを守る集団として機能しなかったことと無関係ではないと思いますが、検証の対象になるのでしょうか」
遺族たちが、懸命に我が子の遺体を探していたとき、年休で学校に不在だった校長は、第3配備体制にもかかわらず、震災後もずっと避難所にいて、大川小に捜索に行く保護者たちを「行ってらっしゃい」と見送っていたという。
校長が学校現場に来たのは、震災から1週間近く経った3月17日のこと。
「報道陣の車に乗って、まだ遺体捜索の続く学校に着くやいなや金庫を探し、校舎の写真だけ撮ると、立ち去って行きました」(目撃した遺族) いったい、柏葉元校長は、学校の最高責任者として、どのような理念や哲学で、学校を経営していたのだろうか。
10月28日の市教委と遺族の話し合い(第7回説明会)では、柏葉元校長は、校長ならだれもが熱く語れるはずの学校経営の理念についての質問に、こう答えている。
「子どもたちに、自分の思いが、えー、達成に向けて自分なりに頑張っていける、子どもをつくるために、えー、学校経営に当たってきました」
――学校教育目標は、校長先生になってからつくられたのですか?
「1年目は、そのまま前の学校目標ですけど、2年目については、私のほうで考えて、つくりました」
遺族は、こう問いかける。
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「校長先生が考えられた学校教育目標は、(具体的に)浮かばないですよね。もしかしたら、そこがいちばん大事なところだったのではないかなと」
54家族にはそれぞれの思いが詰まった20ヵ月がある。子どもが亡くなったことで、大川小のPTAのメンバーでもなくなり、学校という存在から切り離された生活を送る人も多い。
すでに1年8ヵ月が経過したが、遺族の、市教委や市に対する不信感は相変わらず強いままだ。
この4者会談は、事態の進展に期待を寄せて集まってきた遺族たちにとっては、お互いの再会の場でもあり、話し合いや情報交換のきっかけになっていくのかもしれない。
事態の解決に向け、設置されることになる検証委員会には、副大臣、官房長らによる遺族への説明やタイミング、スピード感などをみても、文科省の本気度が感じられて、ようやく一歩前へ進むことにはなりそうだ。
あの日、子どもたちや先生たちが味わった無念の思いを、決して“学校だけ”“現場だけ”の問題で片づけてはいけない。
(池上正樹、加藤順子)