不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

Macchiaioli a Villa Bardini

2011-08-30 20:09:01 | アート・文化

1800年代後半から1900年にかけて
フィレンツェを中心とした
トスカーナ地方で起こった芸術運動で
イタリアの印象派などとも呼ばれるマッキアイオーリ派。
色斑を多用して描く技法が特徴的で
風景、人物など
身近で素朴なものが題材とされる点も特徴の一つ。

展示されている48点は
これまであまり公開されてこなかった
個人コレクションからの出展多数。
しかしながら、マッキアイオーリ派を代表する
Giovanni Fattori(ジョヴァンニ・ファットーリ)、
Telemaco Signorini(テレマコ・シニョリーニ)、
Silvestro Lega(シルベストロ・レガ)、
Plinio Nomellini(プリニオ・ノメッリーニ)
などの作品も含まれていて
この時代の作品好きな人にはかなりお勧めの展示です。

展覧会のパンフレットにも使われているのは
テレマコ・シニョリーニの「Primavera(春)」。
若草色の草むらで戯れる子供二人を描いていて
1860年頃ののどかな春、
草の香りが漂いそうなリアルさがあります。

Primavera


ジョヴァンニ・ファットーリの
「Contadina fra i Pioppi(ポプラ並木の農婦)」も
ポプラの木立からこぼれる柔らかな陽射しと
夏を迎える草木の生命力が美しい作品。
何時間見ていても飽きない作品の一つです。

Fattori_poppi

それに対し、プリニオ・ノメッリーニの「L’orda(群集)」は
彼の政治的傾倒も影響していると思わせる、
1905年のヴェネツィア・ビエンナーレで高く評価された作品。
埃っぽい空気感と
群集の汗の香りまでにじみ出そうな迫力があります。

Orda

Lorenzo Gelati(ロレンツォ・ジェラーティ)の
アルノ川を題材にした作品は
下書きと完成作品が展示されています。
1870年頃にはアルノ川のあの辺りは
洗濯物が干してあったのかと
当時の暮らしぶりを垣間見る楽しみがあったりして
面白い作品です。

Arno


フィレンツェといえば
どうしてもルネッサンス芸術に偏りがちですが、
マッキアイオーリ派の作品を通して
1800年代後半の日常のフィレンツェを
覗いてみるのも興味深いと思います。

Macchiaioli a Villa Bardini
会場:Villa Bardini (Costa San Giorgio 2, Firenze)
会期:2011年10月30日まで
開館時間:10:00-19:00
休館日:月曜日
入場料:6,00ユーロ

*展覧会のチケットでVilla Bardiniの常設である
Museo Annigoniや
Museo della Fondazione Roberto Cappucciも見学できます。
Annigoni のコレクションもこれまた見応えありです。